花まる学習会代表 高濱正伸氏が語る!学歴より大切なものとは?

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「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけれど、なかなか行くことができない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第14回では、年中~小学生を対象に、読書と作文を中心とした「国語力」「思考力」「野外体験」を3本柱として、将来魅力的な大人になることを理念として掲げる学習塾「花まる学習会」代表、高濱正伸先生にお話をうかがってきました。

社会に出て人の役に立つ人、求められる人、感謝される人を育てたい

将来的にメシが食える大人とは?

高濱先生

エデュ:花まる学習会の教育の特徴として、「メシが食える大人、魅力的な人」に子どもを育てるというものがありますが、どういうことでしょうか?

高濱先生:まず私が考える「メシが食える大人」の定義は2つのステップがあります。
一歩目は、大人になったときに、収入を得て、きちんと税金を納めること。
二歩目は、人の役に立つ人、求められる人、感謝される人になることです。

二歩目の人物像は、例えば、会社などの組織やチームにおいて、成果を上げるだけでなく、「何かこの人といると嬉しいな、楽しいな」と感じられる人、その人がいることで、チームの力が2倍、3倍となるような力を持っている人ということです。そうなるためには、普段からできることがあります。

エデュ:それは何でしょうか?

高濱先生:様々な経験ができるように、どんどん子どもを「外に出すこと」ですね。異性や年齢の違う人との関わり合いからもめごとを経験したり、仲直りをしたりしながら社会の厳しさを少しずつ知っていくことも大切です。親以外の大人との交流を通して、社会に出て働いている人の本音を知ることも、これから自分が生きていく世界をイメージするうえで欠かせない経験になるでしょう。
また人の役に立ったり、モテたり、そのような小さな成功体験の積み重ねが、組織で働くときに活きてきます。

そのために、花まる学習会では、親元を離れ、自然の中で子どもたちだけで過ごさせる、サマースクールを開催しています。たくましく変身していく姿には、本当に感動します。

また、「けんかなどの苦い経験をさせてあげること」も必要ですね。今はちょっとしたことでも、親が介入して”事件化”してしまうのが問題です。これでは事態が深刻化し、子どものプライドが傷つくだけです。お子さまが心配なのはわかりますが、ぜひ色々な経験をさせてあげてください。

真面目ママほど要注意!受験・子育てのイライラどうしたら?

わが子は本当に中学受験に向いているの?

中学受験

エデュ:子どもの成績が落ちてきたリ、勉強を嫌がっていたりすると、中学受験をさせるかどうか、お母さまたちは迷います。どう判断したらよいでしょうか?

高濱先生:小学校3・4年生ではまだ発達段階なので、判断することはできません。ただ最終的に見極める時期はあります。

エデュ:それはいつでしょうか?

高濱先生:小学校6年生の夏ですね。
成績の伸びには個人差があって、塾に通ってすぐに伸びる子も、小学校6年生で一気に伸びる子もいます。

「早いうちから塾にも通って、周りはドンドン成績が伸びているのに、うちの子は何で…。」と、不安になる気持ちもわかりますが、小学校6年生の夏までは見守ってあげてほしいですね。そこまでで、あまりにも幼く、自分のこととして勉強に向き合えず、その結果として成績も伸びていない、自分の甘さ、できないことに向き合うという精神的成長が受験には間に合わないと感じたら、夫婦で話し合って、中学受験をするのか、しないのかを決めればいいと思います。

ただそのタイミングで「中学受験をする!」と決めたらブレずに、最後までやり抜く覚悟を決めることが大切です。

受験期、子どもと密接状態が危険!

エデュ:中学受験でストレスが溜まってしまうお母さまにアドバイスをお願いします。

高濱先生:ストレスが溜まってしまうお母さまは、真面目な方が圧倒的に多いですね。周りのママともうまく付き合って、家事もこなし、中学受験で子どものサポートもしっかりやる。これでは非常に疲れてしまいます。

また母親というのは、わが子の「できていないこと」ばかりが気になってしまうもの。それはわが子を愛するゆえでもあるのですが、まじめなお母さまほど、子どもの勉強がうまくいっていないのは自分の努力が足らないからと自分を責めがちです。大事なことは息抜きができる空気穴になるママ友、仕事仲間、趣味をいくつ持っているかです。これが一つあるだけで違ってくることをわかってほしいですね。

実は頭の良い子に多い?あの問題に切り込む

発達障がいは障がいではない?

発達障がい問題

エデュ:中学受験の一方、エデュの掲示版でも、わが子が発達障がい(アスペルガー症候群・ADHD)ではというお悩みが見られますがどのようにお考えですか?

高濱先生:ご存じの方も多いと思いますが、日本人は発達障がいと診断される人が非常に多いと言われています。ただ、私は、そもそもそれは障がいなの?と思っています。世界的に有名な人、例えばスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツも発達障がいと言われています。

何かの分野に突出した才能はあるけれど、一方では何にもできない。この部分にイライラしてしまう先生・お母さまが多いと思いますが、育て方としては、良い所を伸ばしてほしいですね。

日本では幼少時に突出した能力はあるけれど、少し変わったところを持つ人を嫌う傾向があります。でも私はこれは非常にもったいないことだと思っています。とくに中学受験を意識するお母さまは真面目な方が多く、子どもに対しても完璧を求めてしまうかもしれませんが、良い所を見つけ、多少のことは目をつぶるという姿勢を持ってもらいたいですね。

編集者から見たポイント

1993年、2教室25名からはじまった花まる学習会は、今や300教室超。その成長の転機となったのは、「お母さんの気持ちを理解できていなかった」と気づいたことだと先生は話していました。以来、「母親学級」として精力的に講演会を行い、その子育て論に多くのお母さまが感動し、今では追っかけもいるほど。自分が住む地域に花まる学習会がないので、100人集めるから作ってください!というお母さまや、ボランティアで食事を用意してくれるお母さまたちに支えられて今日があるとも、話していました。現在は、さらに活動の幅を広げ、佐賀県武雄市で全国初の取り組みとなる「官民一体型学校」で公立校の教育改革を推し進めています。日本の教育を変えていきたい―。その力強い思いも伝わる取材でした。
興味のある方は、「花まる学習会http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/」をご覧ください。


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