多様化する大学受験に挑む「校内予備校の老舗」

佼成学園女子中学高等学校
学校に塾講師を招き、放課後に校内予備校を新設する動きが教育界のトレンドになるなか、開講してすでに15年以上という「校内予備校の老舗」があることをご存じでしょうか。佼成学園女子中学高等学校(以下、佼成女子)には4種類の講座があり、多様化する大学受験への対応に力を入れています。特に「総合型選抜対策講座」は、学校だからこその手厚い指導で、難関大学への道を開きます。

中学生向けの校内予備校がスタート!総合型選抜対策が活況

統括進路指導部長・進路指導部長の西村準吉先生に佼成女子の校内予備校についてご紹介いただきます。

佼成学園女子中学高等学校の教員
西村準吉先生。進路指導歴は25年以上に及ぶ大ベテラン

校内予備校を開講した時期、現在までどのように運営してきたかを教えてください。

西村先生 本格的に開講したのは2007年で、当時は1種類の講座のみでした。「RG(レギュラー)講習」という名称のものです。長期留学を終えた生徒が大学受験対策をする場という意味合いがありましたが、教科ごとの講座を受講できるため、現在では難関私立大学や看護系の進路を志望する生徒、総合型選抜で筆記試験が課せられた生徒もよく利用しています。

その後、2013年に同じ学校法人が運営する男子校の佼成学園中学校・高等学校と合同で「TL(トップレベル)講習」を開講しました。こちらの講座の目標は難関国公立大学合格です。佼成女子の生徒は大阪大学、北海道大学、東京外国語大学などに合格してきました。

そして、大学受験のトレンドに合わせて、講座の種類をさらに増やしてきました。

佼成学園女子中学高等学校の校内予備校
校内予備校の講座の様子。放課後も真剣です

新しくできた講座の内容をご紹介ください。

西村先生 2023年からは中学校でも放課後講習を始めました。名称は「中学講習室講習」です。現在、私立大学の入学定員が厳格化されたことに伴い、上位大学はより難関化が進んでいます。そこで、中学生の段階から高い学力が必要になっているという背景があります。

特に人気が集まっているのは「総合型選抜対策講座」です。小論文・面接対策・志望理由書の書き方の講義と、本校の教員による個別指導が受けられます。参加人数も約80名に上ります。

学校の中だからこそ実現できた濃密な指導

一般的な塾・予備校と校内予備校の違いはどこでしょうか。

西村先生 大きな違いの一つは受講料です。例えば、一般の塾・予備校で総合型選抜対策の講座を受講しようとすると、年間100万円以上かかる場合があるうえに、受験するそれぞれの大学に特化した講座を追加して…というケースも少なくありません。ですが、本校の総合型選抜対策講座では1年間を第1期、第2期に分けて、それぞれ6万円の受講料で済みます。まだ開講3年目ですが、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学などの難関私大にも合格者を輩出しており、かなり手厚い指導ができていると自負しています。一般入試で最難関大学を目指す「TL講習」も合宿費用込みで年間10~20万円程度です。

佼成学園女子中学高等学校の面談
面談で生徒本人の意志を引き出すことにより、学習意欲を高めます

「総合型選抜対策講座」について、塾ではなく学校だからこそできる指導内容はありますか。

西村先生 小論文・志望理由書の添削については「回数無制限」で生徒からの提出を受け付けています。学校でなければできないことでしょう。さらに、基本的に原稿はデータで受け取るので、すぐにアドバイスができる即応性もありますし、タイミングが合えばビデオ通話で完成に向けて話し合うこともあります。

過去には、引っ込み思案な性格の生徒は、総合型選抜の準備に苦労するケースがありました。提出書類を準備する際、なかなか教員に対して相談できないためです。しかし、指導体制をICT化したことで、コミュニケーションが取りやすくなり、その壁を破ることができたと感じています。

卒業生チューターから具体的なアドバイスも

校内予備校は、どのような指導体制になっていますか。

西村先生 講義は塾・予備校の講師が行いますが、ご紹介したように個別指導などで本校の教員が参加する場面もあります。また、本校の卒業生がチューターとして、生徒の学習に関する悩みを聞くなどのサポート役を務めます。「RG講習」では一般入試で大学に進学した卒業生、「総合型選抜対策講座」では総合型選抜で大学に進学した卒業生がチューターになるので、具体的なアドバイスをしてくれています。多角的に生徒を見ていくことが可能な指導体制です。

佼成学園女子中学高等学校のチューター
相談しやすい卒業生チューターと一歩ずつ夢に近づけます

校内予備校を設置したことによる成果を教えてください。

西村先生 2023年11月までに判明した総合型選抜の合格実績を見ても、国公立大学、早稲田大学、慶應義塾大学などの難関私大に合格者が出ています。大学受験が多様化するなかで、偏差値に応じて大学選びをすることが適切ではない状況になってきました。つまり、生徒全員が同じように学力を高めるだけでは不十分で、生徒それぞれが自分の方向を見定めて進学先を決めなくてはならなくなったということです。比喩的に言えば、同じ船にみんなで乗る時代から、それぞれの小さな船で海へと漕ぎ出す時代へ変わったのです。そんな状況下で本校の校内予備校は、本人の目標に合わせて講座を選択でき、手厚い個別指導が受けられるという今の大学受験にマッチしたシステムを備えていると自負しています。

自分の天井を決めない!選択肢が広がる佼成女子

佼成女子に入学した後で、どのような成長が遂げられるでしょうか。

西村先生 私立中学校の1年生は、中学受験の結果によって、自分を高く見積もったり、反対に低く見積もったりするところからスタートしがちですが、この段階では将来の進路は全く決まっていません。なぜなら「中学受験の2科・4科の試験は、多様化が進んでいる大学受験と必ずしもリンクしていない」からです。

本校では、入学時には予想していなかったほど、大化けする生徒を見てきました。未完成で粗削りな生徒でも、もしかしたらそうした生徒ほど、大きな成長が望めると思います。「過度に競争させるよりも、個性を伸ばす」という方針で、生徒が変わるさまざまなきっかけを用意していることが功を奏しているのでしょう。入学後は、自分の天井を決めることをせず、自分の個性を見定めながら選択肢を広げていきましょう。

編集後記

「現在の大学受験は、偏差値に応じて選ぶ『進路』ではなく、一人ひとりが自分の羅針盤を持ち、将来の仕事も踏まえて『針路』を模索するものへと変化している」と西村先生はおっしゃっていました。これから中学生になるお子さまには、本気で進みたい道を見つけていただきたいです。佼成女子はキャリア教育や留学にも力を入れており、未来を描く準備もできる環境が整っています。

イベント日程

イベント名称 実施日時
学校説明会~入試直前! 今、何を準備しておくべきか~ 1月21日(日) 10:00~11:30