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学校訪問記

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【第49回】西武学園文理中学・高等学校

http://www.seibu.bunri-c.ac.jp/

西武新宿線新狭山駅からスクールバスで約8分。入間川を渡ってすぐにある学園は非常に広々とした敷地にある。各方面へ向けたスクールバスの発着場はさながらハブ駅に並ぶバス停群のよう。校門から少し歩いたところには路線バスの発着場もあり交通の便は良い。1月の晴れた日、川にかかる橋からは遠く秩父の山並みもくっきり。そんな初春のある日、中学2年生の道徳の授業を見学にお邪魔した。

実は西武文理ではお菓子メーカー大手の協力を得て製品開発の勉強をするなど積極的に外部機関と協同で授業を行っている。そのような学校であるから今回の道徳の授業も普通の授業ではない。なんと中学生に模擬裁判を体験させようというのだ。

今回の授業には現役の検察官・主任捜査官・裁判官・弁護人を招いて、実際に30分程度を使い裁判の流れを再現してもらっていた。それに先立って、都内の大学法学部生や呼びかけに応えて参加した保護者を裁判官役に配置し、生徒もそれぞれの役割に別れちょっとした模擬裁判を行った。(裁判官・裁判員役の生徒もおり、ぎこちなく審理を進めていた)

中学2年生が一堂に会して行っていたが、討論中以外は雑然とすることもなく授業は進んでいた。生徒同士の模擬裁判を覗いてみると「おい、そこで認めちゃったら終っちゃうだろ」と被告人少年A役の生徒が弁護士役の生徒にたしなめられたり、何をどう聞き出せばいいのか悩む検察官役の生徒、議論の流れを作ろうと裁判官役というより司会者さながらに生徒たちを導こうとする大学生がいたりと各班各様でなかなか面白い。

専門家による模擬裁判を傍聴後、最後には班ごとで話し合って量刑を決めなくてはならない。最後の最後で皆大いに頭を悩ませている様子。それもそのはずで、「これ」という正解はないからである。担当の先生が繰り返し生徒に指示していたのは判決の理由をきちんと考えること。確かに今までは「この問題をどう解くか」を長いこと訓練してきている。どちらかといえば未知の問題に取り組む力をつけるというよりは解法を覚えることについつい力を注ぎがちになる。そんな彼らとしては資料と専門家の模擬裁判を見て自分たちなりの見解を持ち、それに妥当な量刑を決め、周囲を納得させられる判決理由を示せるかを問われる今回は新鮮な経験であろう。

少年(今回の被告人は15歳の少年A)として裁くのか、大人として裁くのか。先生の問いかけに挙がった手の数は少々前者のほうが多かったように見受けられる。弁護人はそれほど被告人が少年であることを強調しなかったこと、検察官が迫力のある追求をしていてポイントを浮き彫りにしたこと、その影響もあるかもしれないが大人として裁くべきとの意見が案外多かった。裁判官が「大人として裁くのなら無期なり死刑もありえる。」との指摘もあったことを考えると、何班かの意見にあった大人として扱って懲役10数年という判決は現実問題としてありえないのだろう。しかしながら少年Aとほぼ同じ年齢の彼ら自身が「大人」扱いを求めだし、とはいえその後の人生に復活できる懲役年数にするという若者らしい未来への可能性も信じた量刑を自然と考え出した結果かもしれない。

Written by ニワトリ