知能も人間性も育む英才教育とは?聖徳学園小学校
第10回では、武蔵野市にある聖徳学園小学校校長の和田知之先生にインタビュー。たびたび各種メディアで取り上げられるほど注目を集めている英才教育の内容や、育てたい人物像などをうかがってきました。
私立小学校で行われる英才教育
ゲームで行う知能訓練
エデュ:まずは貴校の教育の特徴を教えてください。
和田先生:本校は「一人ひとりの子どもの個性を育てる」、「知能を伸ばし、創造性豊かな人間性を育てる」、「豊かな感性と自立心を育てる」。この3つの教育目標を掲げ、長年築き上げてきたノウハウとメソッドのもと、「英才教育」を行っているのが特徴です。
エデュ:英才教育…何か厳しいイメージがありますが、どのようなことを行っているのでしょうか?
和田先生:確かに英才教育と聞くと、先生が一方的に教えるいわゆる「詰め込み型の教育」のような厳しいものを想像する方が多いと思います。実際に導入した1969年には「頭でっかちの子になるのでは?」、「学力は上がるけど、それ以外の面は大丈夫?」という声がありました。これは今でも少なからずあります。でも本校の英才教育は詰め込み型ではなく、子どものやる気や自主性を尊重し、自分で考える力、知能を伸ばし、創造性豊かな人間性を育むことに主眼を置いています。
エデュ:実際にどのような教育を行っているのでしょうか?
和田先生:たくさんありますが、2つお話しします。
1つ目は「知能教育」です。本校では勉強をするのであれば、「考える力」を身につけた後に勉強した方が良いと考えています。例えば、考える力が普通の子と普通の子の2倍ある子がいた場合、力のある子の方は同じようにやっても半分の時間で勉強が終わったり、深い学習をすることができます。こういったことができるように、低学年のうちから1週間に1回、90分授業で行う「知能訓練」の授業を取り入れています。
知能訓練というと先生がストップウォッチを片手に、何か訓練させられるようなイメージを持つ方がいるかもしれませんが、そうではなく「ゲーム」を通し楽しみながら行っています。ゲームと言っても今時のパソコンやテレビなどを使ったゲームではなく、オセロや将棋、トランプやかるた、パズルなどゲーム性をふんだんに取り入れた授業です。ゲームは楽しいだけでなく、先を見通す力や発想の切り替えなど考える力を大いに刺激することができます。また複数人でやることで、相手の表情を読むことや、駆け引きをすることが必要になるので、コミュニケーション力や社会性も育ちます。
2つ目は「リーダーシップ教育」です。 いくら考える力が身についたとしても、理屈ばかりで自分のことしか考えないようでは本校の教育目標を達成することができません。そのために、リーダーシップ哲学の研究者だったスティーブン・R・コヴィー氏が出版したビジネス書『7つの習慣』という本の『リーダー・イン・ミー』を取り入れ、学力ではなく、心を育てていくリーダーシップ教育を行っています。リーダーシップというと社長や政治家のような「人の上に立つ」ようなものをイメージされるかもしれませんが、そうではありません。一人ひとりが自分自身のリーダーとなり、自分に自信を持ち、主体的に行動できるようなものを目指しています。
エデュ:知能だけでなく、心の教育も行なっているということですね。
卒業生65名のうち10名が東大合格
子どもたちの個性を伸ばす教育
エデュ:貴校は男子・女子御三家をはじめ、難関中学校へ数多くの合格者を輩出しています。何か特別な受験対策をしているのでしょうか?
和田先生:進路指導として保護者の方と面談をしたり、アドバイスはしていますが、何か特別な時間を設けて受験指導をしているわけではありません。それにも関わらず結果を残せているのは「考える力」を身につけることを低学年から行っているからではないかと思っています。
「考える力」を持っているということは、それだけ子どもたちに好奇心があり、理解力、推理力、総合的な判断力も備わっているということになります。学習面はもちろんですが、入学したい中学校が見つかった時に、この身につけた力を発揮し、フルパワーを出すことができる。このあたりが進学実績の高さの秘密ではないかと思っています。
エデュ:貴校を卒業した生徒がどのような進路に進むのか気になります。
和田先生:これは私たちも驚いているのですが、今年3月の入試で、6年前の卒業生65名のうち10名が東大に現役合格しています。
エデュ:すごい数ですね!
和田先生:ありがとうございます。実は保護者の方から中学受験、高校受験、大学受験などの進路について問い合わせが非常に多いので、調べて把握できたものを本校のホームページに載せています。有名校、難関校に合格する例も多いのですが、大学の名前や偏差値の高さで進路を選んでいるような子はいないように感じています。実際に進路先は多岐に渡っています。これは本校の教育目標である「一人ひとりの子どもの個性を育てる」ことの賜物だと思っています。
エデュ:どういうことでしょうか?
和田先生:本校では入り口の入試で「考えることが好きな子」を集めています。これは全校生徒に共通していることと言っても過言ではありません。でもどうしても学習能力には差が出てきますし、当然ながら一人ひとり興味や関心のあること、そして個性も違います。本校ではここを均一にするのではなく、能力に応じた指導をしています。そのために少人数クラス編成・2人担任制・教科担任制・教科による能力別(習熟度)指導・選択制の授業等を行っています。この結果子どもたちは自分の能力を活かして、興味のある分野を見つけて進路を選ぶことができているのではないかなと思っています。
勉強以外に大切なものとは?
聖徳学園小学校が求めるご家庭像
エデュ:こんなご家庭は貴校に向いているというものはありますか?
和田先生:親御さんは本校が行っている英才教育や知能教育システムに関心があって、支持していただける方。お子さんは考えることが好きで、好奇心が強い子が向いています。また本校では「転入学制度」というのもあります。公立小学校に入学したけど、授業の内容が簡単すぎる、授業中に出された課題がすぐに終わってしまうような、いわゆる浮いてしまうようなお子さんも向いていると思います。
あともう一つ重要なことがあります。それは勉強よりも大事なこともあるというのをしっかり考えられているご家庭です。それは我慢する力だったり、他者への思いやりだったり、そういう学力以外の面も大事だと思っているご家庭は向いていると思います。
エデュ:最後に貴校がこれから行おうとしている取り組みを教えてください。
和田先生:心を育てていく取り組みとして行っている「リーダーシップ教育」をさらに充実させていきたいと思っています。本校では弁護士を呼んで人権問題について話してもらったり、警察官に防犯について指導をしてもらっています。学力はもちろん大切ですが、心を伸ばしていく、育てていくような指導をしていきたいです。
聖徳学園小学校データ
学校名 | 聖徳学園小学校http://www.shotoku.com/elementary/s_lp.html |
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男子・女子・共学 | 共学 |
所在地・アクセス | 〒180-0023 東京都武蔵野市境南町2-11-8 JR中央線・西武多摩川線「武蔵境駅」南口より徒歩5分 |
教育目標 | 「一人ひとりの子どもの個性を育てる」、「知能を伸ばし、創造性豊かな人間性を育てる」、「豊かな感性と自立心を育てる」 |
制服の有無 | 有 |
給食の有無 | なし |
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