成績を伸ばす『勉強に取り組む姿勢』

2017年1月25日発行のバックナンバーです。
本連載は今回を持ちまして最終回となります。ご愛読誠にありがとうございました。

エリート育成「中学受験」サポートメール 2017/1/25号
成績を伸ばす『勉強に取り組む姿勢』
監修:西村則康(プロ家庭教師)
by inter-edu.com

【今週の必修語】本末転倒(ほんまつてんとう)

「哲也くん、明日は試験だよね? そろそろ勉強を切り上げたらどうだい?」
「そうするよ。前日に夜遅くまで勉強して疲れ果てて、入試本番で力を発揮できなかったら、本末転倒だもんね。」

本末転倒とは、重要なこととどうでもいいことを取り違えてしまうこと。『本』は大事なこと、『末』はどうでもいいことを意味します。

いよいよ東京都や神奈川県の学校の入試本番が近づいてきました。天候や交通機関なども含めて当日は何があるかわかりませんから、しっかり準備をしましょう。

学校までの道のりは寒くても、教室に入ると暖かい可能性が高いですから、暖房に対応できるように、暖かくて着脱しやすい服装がおすすめです。

お子さまが緊張しているようすだったら、今まで使ってきたノートやテキスト、参考書などを目の前に積み上げて、「こんなに頑張ってきたんだから、大丈夫よ」と声をかけてあげてください。

前日には、なかなか寝付けない子もいます。たとえ眠りに入らなくても、目を閉じて横になっているだけでも、身体を休める効果はあります。

「眠らないと」と思うと余計に眠れなくなりますから、焦らなくてもいいとお子さまに教えて、心に余裕をもたせてあげてください。

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もうすぐ塾で新しい学年がスタートしますね。新学年が始まる前に、お子さまが勉強に取り組む姿勢を改めてチェックしておきましょう。

「やればいい」「終わればいい」といったような『早く終わらせたい感覚』で勉強をしていても、成績はあがりません。大切なのは『ていねいに行うこと』です。

以下のことができているか、見てあげてください。

・教科書やプリントをきちんと整理整頓する
・字を読みやすく書く
・あとからでも見やすいように考えて、テキストや問題用紙の余白へ書き込む
・やさしい問題でも問題文をきちんと読む
・落ち着いて解答欄の中央に答えを書く

これらは受験本番まで大切にしていただきたいことです。すべてが完ぺきにできていなくても構いませんが、昨日より少しでもていねいに行えるように、やさしく導いてあげてください。

ていねいに行うことは、正しい答えについて興味を持つことだともいえます。お子さまが、『勉強は終わらせることに意味がある』と思わないようにすることが大事です。

そのためにも、解答に至るまでの過程を大事にして、導き出した答えをていねいに書き込むように促してください。

ていねいに勉強する習慣は、小学校低学年のうちから、毎日決まった時間帯に一定量の学習を行っていると、自然と身についていきます。親御さんは、習慣がつくまで付き添ってあげてください。

習慣がつけば、多少目を離しても平気ですが、子どもはつい楽な方に流れてしまうものなので、『もう大丈夫』と感じても、1週間に1度くらいはようすを見るようにしてください。

また、5年生になってから成績が伸び悩んでしまい、悩んでいる親御さんも多いかと思います。原因としては、それまでの学習がカンに頼ったものだった可能性が考えられます。

とくに男の子には、カンに頼って直感で解くタイプの子が多いので、注意が必要です。

「ここは直角に見える」「こことここの長さは等しいだろうな」といったようにカンに頼って問題を解き進めたり、「この計算は簡単だから暗算でいいや」と式を省いたりしているようすはありませんか?

5年生になると、問題がグッと複雑になるため、過程をおろそかにしていると成績が伸び悩んでしまいます。

式や図を書かずに、いきなり計算を始めているようでしたら、カン頼りになっている可能性があります。学習の分量を減らしても構いませんので、できるだけ早いうちに、ていねいに解く習慣をつけさせてください。

女の子の場合は、授業を聞くよりもノートを美しくとることに一生懸命になってしまい、授業内容の理解がそっちのけになってしまう子がいます。注意して見てあげてください。

中学受験をするお子さまをサポートするための具体的なヒントをお届けしてきた『エデュまが』。毎週水曜日の配信を3年に渡って続けてきましたが、今号をもって終了することになりました。

これまでの配信が少しでも皆さまの受験に役立っておりましたら幸いです。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師集団・名門指導会 代表 西村則康)

学年別・今週のスポットアドバイス

【 1~3年生 】子どもを塾嫌いにしないために

塾に通うことになったら、せっかくですからお子さまには楽しく通ってもらいたいですよね。お子さまを塾嫌いにしないために親御さんに気をつけていただきたいのが、お子さまへの声かけです。

お母さまが「早く勉強しなさい」「こんなミスばかりしているから成績があがらないのよ」などと言ってしまうと、子どもは「塾に行っているから叱られるんだ」「塾に行かなきゃ怒られないのに」と思い、塾嫌いになってしまう可能性があります。

これから通塾する方も、すでに通塾している方も、こうした言葉に注意をお願いします。お母さまは穏やかな笑顔でお子さまを労い、受験勉強を支えてあげてください。

【 4年生 】ダブル塾はじっくり検討する必要あり

集団指導の進学塾に加えて、1科目だけ教える単科塾などに通う『ダブル塾』を検討している方はいらっしゃいますか?

単科塾は独自のカリキュラムで進んでいくことがほとんどですから、ダブル塾の場合は、進学塾のカリキュラムと単科塾のカリキュラムの2つを並行して学習していくことになります。

今の学習に余裕があればいいのですが、進学塾の学習だけで精一杯の状態だと、効果は期待できません。子どもの状態をよく見て、慎重に判断してください。

【 5年生 】目指してほしい学校がある場合は……

ぜひ行ってほしい中学校があるのに、子どもはまだ乗り気になっていないと悩んでいる方も多いと思います。

この場合、「○○中学校を目指しなさい」といったように、強制するのはよくありません。お子さまの学習意欲を奪ってしまう可能性があるからです。

お子さま自身が「○○中学校を目指したい!」という気持ちを持てた方が、その目標に向かって努力することができます。

ぜひ行ってほしい中学校がある場合は、子どもの中にその中学校のいいイメージがふくらんでくるような話をたくさんしてあげるのが効果的です。

たとえば「○○中学校はグラウンドが広いから、サッカー部の練習が思う存分できるんだって」「○○中学校は修学旅行で海外に行くそうよ」「○○中学に通っている△△くん、毎日学校が楽しいって言っていたわよ」といった具合です。

また、天気のいい日に学校見学に連れて行くのもおすすめです。明るい情景が子どもによいイメージをもたらします。

【 6年生 】ネガティブな言葉はNG! 肯定的な表現で接して

第一志望校の受験が目前に迫っているこの時期は、お子さまへの声かけはいつも前向きな言葉でお願いします。「そんなことをしていると、受からないわよ」といった、否定的な言葉は避けてください。

否定の言葉はネガティブな気分を招き、子どものやる気を奪ったり、不安にさせたりします。

何か直してほしいことがあるときは、「こうすると、あなたなら合格できるわよ」といったように、前向きな表現でお子さまに伝えてください。

たとえば、お子さまの字が汚い場合、「そんなに字が汚いと、合格できないわよ」ではなく、「字をきれいに書くと、合格できるよ」といった具合です。

肯定的な表現にすると、お母さまの言葉がぐっとお子さまに届きやすくなります。

【 6年生 最難関志望 】予想外の結果にショックを受けているときは

すでに試験を受け、それが予想外の結果になってしまった方もいらっしゃると思います。肩慣らしのつもりで受けた試験に落ちてしまった場合のショックは、非常に大きいものです。

お子さまが立ち直るためには、信頼する親御さんの声かけが鍵を握っています。

「次は○○すれば大丈夫よ!」というせりふを、自信たっぷりに言ってあげてください。

「次は時間配分に注意すれば大丈夫よ! 10分ぐらい経ったと思ったときに時計を見ようね」「次は解き方が見つからないと思った問題をとばせば大丈夫よ! 3分くらい考えてわからないと思ったら、勇気を出して次の問題に進もうね」。

このような具体的な行動をアドバイスしながら、親御さんの笑顔と自信に満ちた口調で励ましてあげてください。お子さま自身が悪かった結果を教訓としてとらえることで、ショックから立ち直り、自信を回復することができます。

これで成功! 先輩ママの声かけ実例

第一志望校の受験へと向かう電車の中で、娘が「どうしよう、上履きがない」と言い出しました。昨晩も親子で入念に持ち物をチェックしたのですが、朝、お弁当箱を入れるために一度上履きをリュックから出して、そのまま置いてきてしまったと言うのです。

受験雑誌などによく載っている失敗を、まさか自分たちがしてしまうなんて思ってもいませんでした。どうしようかと慌てましたが、集合時間まで余裕があったので、学校へ向かう途中にあったコンビニで上履きを探しました。でも、売っていませんでした。

普段はしっかり者で落ち着いている娘ですが、上履きを忘れた動揺は激しく、「どうしよう、どうしよう……」と繰り返していて、私までパニックになりそうになりました。

しかし、そこはぐっとこらえて、「学校の中に入ったら、先生に上履きを忘れたって伝えてごらん。きっとスリッパを貸してくれるはずだから」と、笑顔で諭しました。

それでも娘は、「面接のときにスリッパだったら上履きを忘れたことがバレちゃうよ。減点されるかもしれない。もう絶対受からないよ」と、半泣き状態。

娘の言葉を聞き、「確かに忘れ物は減点されるかも……」と私も思ってしまいましたが、「そんなことないわ。どれだけあなたが頑張ってきたか、お母さんは知っているもの。きちんと試験で実力が出せれば合格できるから、そんなこと気にしなくて大丈夫よ!」と、努めて明るく励ましました。

すると、学校に着く頃にはなんとか娘も落ち着き、「頑張ってくる」と校舎の中に入っていったのでホッとしました。

試験終了後に娘に聞いてみると、「私以外にも上履きを忘れている人が何人かいたよ~。先生はすごく優しくスリッパを貸してくれたよ」と、笑顔で話してくれました。

幸い合格をいただくことができましたが、当日のハプニングで動揺し、実力が出せなかったら悔やんでも悔やみきれません。

学校によってはスマートフォン持ち込みの可否や、時計、定規、コンパスなど必要な持ち物が異なるので、出かける直前にも確認することをおすすめします。

また、受験当日に子どもが不安なようすを見せても、親は動揺することなく、どんと構えて、笑顔で試験会場へと送り出してあげてください。(あやちゃんママ)


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