子どもの地頭を育てる「勉強習慣」とは?
inter-edu’s eye
「自発的に勉強に取り組んでほしい!」これは親共有の願いですね。ところが、お尻を叩かないと勉強しない、勉強したことがなかなか身につかないという悩みは、とても多いようです。そこで、「勉強が好きになり、IQも学力も生き抜く力もグングン伸びる 最強の子育て」の著者、福島美智子さんに取材し、そのヒントを探ってきました。
勉強習慣は、スケジュール管理ではない!?
インターエデュ:本を書こうと思ったきっかけについて教えてください。
福島さん:私の経営する塾RAKUTOは、子どもの能力を伸ばすメソッドを開発し、よりよい方法を提供しています。ですが、その教育を行う前段階として、親御さんが子育てにおける「心がけ」が分かっていないと、メソッドが機能せず伸び悩んでしまうんですよね。そこで、子育てに関する考え方を本にまとめようと思いました。
勉強を「勉強」にカテゴライズしてしまう親御さんも多いので、勉強は「子育ての一部」であることもお伝えしたいと思いました。勉強となると、つい他人任せにしてしまうこともありますが、家での声かけや遊び方といったものがベースとなって勉強の習慣ができるということを本で述べてます。
インターエデュ:確かに勉強と子育ては別ものと考えてしまう方は多いと思います。勉強は毎日の積み重ねですから、習慣が大事になりますね。しかし、子どもに習慣をつけさせるのは大変というイメージがあります…。
福島さん:習慣というと「キツイもの」と考えてしまいますが、まずは、親御さんが「習慣づけ」の考え方とやり方を変えてくことで、ずいぶん楽になると思います。
勉強習慣を身につけるというと、「この時間にはこれをやろう」とスケジュールを組む方もいると思います。ですが、子どもはなかなか守れるものではありません。スケジュールを立てれば立てるほど、子どもはできなくなって、できなくなるとやりたくなくなる、という悪循環になります。
ポイントは、「まず一つから」です。たとえばお風呂や歯磨きなど、すでに習慣になっていることの前後に、計算をやるとか何か一つを組み込み、声かけも習慣にするといいですね。親御さんの方も、たとえば「お風呂に入りなさいと言う前に、計算をやろうと言うんだった!」と思い出しやすくもなります。
それと、子どもが自分でスケジュールを立てれば、自発的にやってくれるだろうと親は思ってしまいますが、スケジュール管理というのは、子どもの脳には不適格で、できる子はほとんどいません。未来を見通して、今これをやるんだというものの考え方、ロジックが育っていないので、難しいのです。
★RAKUTOが大切にする「書くこと」
「子どもは体験経験が少ないため、授業で先生が話したことを頭の中でイメージできず、理解できていないということが往々にしてあります。新しいことを理解するには、“書く”という作業が大切です。そして、学んだことを短期記憶から長期記憶に移行させるためには、『感情を動かす』ことが重要です。自ら意欲を持って、楽しい気持ちで書くと知識が定着します。」と福島さんは言います。
図やイラストを書くことが苦手なお子さまの場合は、トレース用のシートを使って、図を写すことから始めるとよいとのこと。
年齢に応じた勉強習慣が、一生ものの地頭を育てる
インターエデュ:「論理的思考力が大切」と盛んに言われている中で、考える力を育てるにはどうしたらよいのでしょうか?
福島さん:RAKUTOの保護者セミナーでは、小学校の6年間は、1・2年生、3・4年生、5・6年生の2年ずつで、育つもの、育てていかなければならないものが違ってくるということをお伝えしています。
プリント学習だけを低学年でやっていると、高学年になってから伸び悩むといったケースが実際あります。低学年では実験や工作をしたり、実際の生き物に触れたり、体を使って楽しく学習することが大事です。折り紙や切り紙、小さい頃遊んでいた積み木で図形感覚を身につけるというのもおすすめです。おもちゃを与えすぎないこともポイントで、何もないと子どもは自分で考えて遊び始めます。
もう一つ、低学年時で大切なのは、間違ったからといって絶対叱らないことです。叱ってしまうと間違うことを恐れてしまって、興味や好奇心が広がりません。間違えたときに「なんでできないの?」と言ってしまうことも問題です。「ここが×なのはどうしてなのかな?」と一緒に考えていく遊びになれば、子どもは嬉々として「ここがこうで、分からなかったみたい!」と言うようになります。意欲の育て方は、親のちょっとした言葉遣いだったりするんですよね。
中学年になると、論理脳を育てていくことを意識していきます。算数では、どうしてこんな解き方になるのかを一緒に考えてみたり、算数を使った手品を一緒にやってみたり、国語では読んだ本のテーマについて一緒に考えたり。そこで生まれる会話が論理脳を育てるんです。勉強でロジック的なことをやっても、いきなり頭の中は変わりません。親子での遊びの中で少しずつ論理的思考力を身につけていくことが大切です。
このように、遊びの中で自発的に考える力を身につけながら、勉強への意欲を高めていくと6年生になってぐっと伸びます。6年生は体の変化とともに脳も変わっていくんです。その時期は子どもそれぞれで、昨年は、6年生の秋の模試で志望校に届かなかった子が、12月以降にぐんと伸びて合格したという嬉しい報告もありました。
インターエデュ:なるほど、年齢に応じた遊びの中で「よい勉強習慣」を身につけること、それを12歳までに親子で一緒に作り上げることが大切なのですね。
福島さん:そうなんです。親御さんはせっかく子育ての期間なので、一緒に遊べばいいと思います。子育ては実質小学生までなので、とても短いです。その後は子どもたちが勝手に生きていきます。自立のためにも、むしろそのようにしなければいけませんし。12歳までにやってきたことが、その子の人生に一生作用すると思うので、親御さんも苦痛と思わず、楽しんで取り組んでいただきたいですね。
理想を押しつけるから親も子も辛い。楽しく習慣づけるコツとは?
インターエデュ:しかしながら、子育てが辛いと思ってしまう方も多いようです。
福島さん:子どもに理想を押しつけようとするから苦しくなってしまうんです。育児は、子どもに寄り添いながらやることです。そして、「育自」とよく言われるように、「自分育て、親育て」なんです。子どもと一緒に成長していくんだと思えば、前向きに楽しくやろうと思えるのではないでしょうか。自分視点で、「どうやったら楽しくできるんだろう」とか「どうやったら身につくのかな」ってアイデアを出していくのが子育てだと思うんですよね。実はそれだけでいいんですよね。
インターエデュ:子育てを難しく考えすぎることも、苦痛につながるかもしれませんね。
福島さん:子育てはとてもシンプルなんです。褒めるのも「自分だったらどういうふうに言われたいかな」って考えるんです。いいときだけ褒めて、成績が悪くなると途端に怒る親御さんがいますが、こんなふうに夫から家事を評価されたらすごく嫌ですよね。
自分がどんなふうに言われたらモチベーションが上がるのか、という視点で声かけを考えていくとよいと思います。いつも心に留めておくのは「I think」。声かけ集とかありますが、覚えていられませんよね。「私だったら」を思い出すことが習慣となれば、自然と子どもへの態度も変わってくると思います。
著書紹介「勉強が好きになり、IQも学力も生き抜く力もグングン伸びる 最強の子育て」福島美智子著、すばる舎刊、1,400円+税
子どもの一生は、12歳までの習慣で決まる!子どもの脳と心を磨く方法、一生モノの地頭を育てるために親がやるべきこと、やってはいけないこと、教えます! 脳の育ち方には、ピッタリな時期と順序があります。年齢ごとに習慣を変えることで、脳がグングン育ちます!
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