第20回 わが子だからこそ言ってしまう「どこも受からないよ」

子どもの能力を引き出す、やる気にさせる上手なほめ方・叱り方

第20回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年8月16日)

6年生になり2学期に入って、中学受験がどんどん迫ってくると、親は子ども以上に焦ってきます。そんな折、テストで基本的な問題ができなかったとわかると、つい言ってしまいます。

「こんな簡単な問題もできないんなら、どこも受からないよ」

言ってはいけない言葉と知りつつ、多くの親が口にしてしまう言葉です。親の言い訳としては、子どもにハッパをかけるつもり、というのがあるにはあります。でも子どもは、子どもなりのプライドを持っています。だから真っ正面からショックを受けます。しかも実際にできていないのだから反論もできません。ハッパをかけるつもりが子どもの心を傷つけ、やる気を損なうだけの言葉なのです。

では、どうすればいいのでしょう? できるはずの基本的な問題なのですから、まずはどうして解けなかったのか、調べる必要があります。心まかせに「受からないよ」と口にするのではなく、カーッとした気持ちを静めて原因究明のほうに向かいましょう。単なるケアレスミスかもしれません。落ち着いた口調で話しかけましょう。

「どこを間違えてしまったのかな?」

そして子どもと一緒に問題を解いてみることです。そうすれば、できると思っていたのが親の思いこみにすぎなかったのか、それとも何かほかの事情があるのかがわかってきます。冷静さを取り戻すことで子どもの実力がわかり、どこを重点的に勉強すればいいかもわかってきます。

考えてみれば、「どこも受からない」なんて、自分の子ども以外には絶対に口にしない言葉のはず。わが子に対しては自分の分身みたいな感覚があるために、心のイライラが募ると遠慮なしにイライラを素のまま出してしまうのでしょう。そういう意味では、テストの結果を見るときは、わが子と思わず、他人の子と思うようにするのも、ひとつの手かもしれませんね。

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<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。

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