親子で読みたい！東大に『合格する技術』：第32回

2016年8月5日

inter-edu’s eye
アイドルを続けながら東大を受験、東大生として4年間過ごした地下アイドルの桜雪さん。彼女の幼少期から東大卒業までの物語が本になりました。悪戦苦闘の末に編み出した合東大格のための勉強法は、とても参考になります！

◆アイドルと東大受験を両立？

地下アイドルグループ「仮面女子」に所属する桜雪さんが書いた『地下アイドルが1年で東大生になれた！　合格する技術』という本が出版されました。地下アイドルとは、小規模なライブがメインでメディア露出がほとんどないアイドルのことで、その中でも「仮面女子」は人気のグループ。熱烈なファン層を持っています。

“アイドルが東大に”というと、いわゆる芸能人が東大に入ったみたいな印象を持ってしまいますが、桜雪さんの場合はちょっと違います。ふつうの家庭の女の子が、学業では東大を目指し、それと同時に大好きな合唱の道を進んだ先にアイドルという選択をしたと見るのが、より事実に近いようです。

桜雪さんは、小学生のときから合唱に惹かれ、中学校の合唱団では全国大会で金賞を受賞。高校時代はNHK東京児童合唱団に入団して幅広く活動した経験の持ち主です。そして高校3年のときに東大受験を決意して予備校に通い始めました。しかし児童合唱団の活動終了後も音楽に関わりたい気持ちは強く、今所属している事務所の門をたたいたのだそうです。アイドルとしてブログを更新しながらの現役受験では、残念ながら不合格。でもその不合格体験を生かして再度チャレンジして、1年後、晴れて東大生になったのです。

◆東大に入りたい！音楽もやりたい！

本書には、1992年生まれの桜雪さんの幼少期から現在までが、彼女の言葉で飾り気なく率直に語られています。小学校受験で三重大学の付属小学校に入学したというのですから、教育熱心なご家庭といえるでしょう。でも、だからといって勉強ばかりを求めるご両親ではなかったようで、アイドルになるきっかけとなった事務所の面接には、ご両親についてきてもらったとか。

本書を通読してまず思ったのが、これはママ以上に、お子さま本人に読んでもらいたいということでした。わかりやすく書いてあるので小学校高学年以上ならだいたい理解できると思いますし、自分がこれからどんな道を歩むのか想像するのにとても参考になりそうです。

◆受験生自身が編み出した合格する勉強法

さて、お子さま自身に読んでいただきたいと思う最大の理由は、本書のタイトルにもなっている、東大に「合格する技術」です。それは、「浪人が確定した私は、ずっと東大摸試がE判定だったことで、がむしゃらに勉強するだけでは成績がなかなか上がらないことを痛感していました。（P78）」で始まる第三章に語られています。5項目の見出しを紹介してみましょう。

技術1　各科目で推しメンを増やす
技術2　受験勉強で遊ぶ
技術3　全てを関連させて覚える
技術4　参考書をやたらと買わない
技術5　ルーティンをつくる

それぞれの内容はきわめて具体的かつ個人的。受験生自身が見いだしたテクニックであって、塾や予備校の講師など教える側のアドバイスとはだいぶ違います。しかしだからこそ、受験する当人が読めば、自分の場合に即して取り入れることができるものになっています。

5つの技術において主要テーマになっているのは、受験勉強へのモチベーションをあげること、メンタルを上手にコントロールすることです。多感な年頃、長丁場である受験という試練に打ち勝つには、自分をいかにセルフコントロールできるかが大きなカギ。そのあたりは、親御さんもご自身の過去を振り返ってみれば思いあたるでしょう。これはその前哨戦である中学受験でも同じですね。

正直、初めて手にとったときと読み終わったときの印象が、これほど違う本も珍しいと思いました。おかげで今どきのアイドルへの印象も、だいぶ変わってしまいました（もちろんよいほうにです）。東大生とアイドルが、何の支障もなく同居してきたことには、桜雪さん自身の豊かな資質が大きく関わっているのでしょう。でも、東大受験のために好きなことを断念するのではなく、そのふたつを両立したいという思いは、受験生に共通するものだと思います。その方法が、この本の中に紹介されているのです。

東大を4年で卒業した桜雪さんは、「東大でできた友達は、私の大きな財産です。(P146）」と語り、「本気で芸能活動をやって、エンターティンメントで国際貢献していくタレントになろう。これが、私のこれからの目標です。（P147）」と決意をのべています。そんな彼女から、エデュママのみなさんへのメッセージをいただきました。

特に勉強に行き詰まった時、私がどうやって勉強を克服したか。その工夫を紹介しています。
少し工夫するだけで勉強の効率、面白さが倍増します！
この本を参考にお子さんに勉強のアドバイスをしてみてください。
きっと勉強に興味を持ってくれるはずです！
さらに、合格した年と落ちた年の模試の成績も載せているので、将来どの程度の点数を模試で取れるようになったら良いのか、東大受験のイメージができますよ！

最後に、親御さんがお読みになるときには、桜雪さんのお母さまが行ったサポートにも注目していただきたいと思います。控えめながら、素晴らしい側面支援だなあと感心してしまいました。ぜひ親子でお読みになってくださいね。

地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術
桜雪　著、辰巳出版、1620円＋税

最強の地下アイドル・仮面女子に所属し、東大出身アイドルとしても注目を集る桜雪（東京大学文学部卒業）が、E判定《再考圏》から1年で東大に合格。センター試験を100点アップさせた5つの技術を初公開。効率を大幅に上げる勉強法、合格する受験生の共通点、愛用した参考書、そして合格後の大学生活まで、東大を目指す方に役立つ情報を網羅しました。「ほんのちょっとの楽しむ気持ち、ほんのちょっとの冷静さ、ほんのちょっとの粘り強さ、ほんのちょっとの工夫。それだけの初期装備があれば、十分東大入試で戦えるようになります。この本には、私が実践した『ほんのちょっと』をぎゅっと詰め込みました」（はじめにより）。Z会東大進学教室のカリスマ講師・根木島正之先生との対談も収録！
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著者の桜雪(さくら・ゆき)さん
アイドルグループ・仮面女子/アリス十番所属。1992年生まれ。三重県出身。東京学芸大学附属高校を経て、東京大学文学部卒業(心理学専修)。高校3年生の夏、アリスプロジェクトに所属し、受験生アイドルとしてブログ「桜雪の東大一直線」(現・「桜雪の東大のすすめ」)を開設。1日10万PVを突破し、アメブロ受験カテゴリーで1位を獲得するなど一躍人気ブロガーに。現役時代はE判定のまま東大受験に失敗するも、1年で学力を大幅アップさせ東大文科三類に合格。在学中は現役東大生アイドル、現在は東大出身アイドルとしてメディア出演多数。目標は、エンターテインメントで国際貢献すること。