作文力を身につけるため、今すぐやりたいドリル
inter-edu’s eye
『15ステップですらすら書ける 出口汪の作文講座』というドリルが発売されて話題を呼んでいます。著者は『論理エンジン』で有名な出口汪先生。“国語や作文はセンス”という傾向に真っ向から反対、論理的な文章を書く技術を受験生に伝授して圧倒的な支持を得てきた元祖カリスマ講師です。中学受験勉強を始める前のお子さまや、記述式問題・作文を苦手とする中学受験生に、ぜひおすすめしたい新刊です。
◆作文や記述式問題が怖くなくなるドリル
お子さまは作文が得意ですか、苦手ですか。アンケートなどを見ると6割以上の小学生が苦手と回答しているようで、これは昔も今も変わりません。しかし状況のほうは大きく変わってきています。これからの入学試験は、中学受験はもちろん2020年度に始まる大学入学共通テストでも、記述式問題が大幅に増えていきます。正しい文章が書けないと、大学に入れない時代がやってきていると言っても過言ではないようです。
マークシートの試験に慣れ親しんだ親御さんの中には、子どもの作文のサポートに困っている人も多いと聞きます。公立の中高一貫校を目指したいけれど、記述式の問題が多い、でも子どもは文章を書くのが嫌い、ということで悩む親御さんも多いとか。
そこでおすすめしたいのが、この春発売された『15ステップですらすら書ける 出口汪の作文講座』です。出口先生は、大学受験現代文の元祖カリスマ講師として知られ、論理力を養成する画期的なプログラム『論理エンジン』を開発された方。この『論理エンジン』は全国の先進的私立中学高校200校以上に導入され、目に見える受験実績を上げています。エデュナビでも、過去に、小学生向けの日本語論理トレーニングをご紹介したことがあります。→コチラ
その出口先生が発表された作文講座ですから、大いに期待してしまいます。パラパラとめくってみて、漢字の使い方から小学校中学年レベルに設定されたドリルとわかりました。15ステップを順にやっていけば、自然と作文が上手になるとのこと。いったいどんなふうに作文の書き方を教えるのだろうと、早速やってみることにしました。
◆順を追って文章を論理的に書くことを学ぶ
本書は、第一部が6ステップ、第二部が5ステップ、第三部が4ステップと、全部で15ステップの構成です。また巻末に切り取って使う小冊子がついていて、各ステップの「答えとくわしい考え方」がのっています。
小学生はどんなふうに解いていくのかなあと想像しながら、一問解いては小冊子の「答えとくわしい考え方」を読んで…というふうにやっていったのですが、真ん中あたりまできて、これは素晴らしい!と感激してしまいました。このドリルを楽しみながら最後までやりとげたら、作文嫌いになる可能性はきわめて低い!と、確信したからです。
なぜそう思ったのかといえば、唐突に作文を書けと言われるのではなく、その前段階がていねいに積みあげられているからです。最初は、主語と述語、言葉のつながり、指示語や接続語の問題を解いていくのですが、主語、述語、指示語、接続語という言葉を覚えるのではなく、それらがひとつの文章でどんな役割を担っているのかを、自然と身につけられるようになっています。
考えてみれば、作文はひとつの技能です。習い事の習字や絵画、ピアノなどと同じように、初心者はひとつの文を作ることから始め、次いで文と文のつながり、さらに段落の構成といった手順を踏んでいったほうがいいのです。もちろん本好きで、いろいろな文章を読んでいる子は、知らぬ間に身についていることもあるでしょう。でも、そうでない子に、唐突に「作文を書きなさい」というほうが無理なのでは? そう考えると、これまで多くの小学校で行われてきた作文教育自体が、子どもの作文嫌いを生み出してきたのではないかと思ってしまいました。
出口先生は、小冊子のステップ1「くわしい考え方」のところに、以下のように書いておられます。
(前略)
では、正確な文章とはどんな文章でしょうか?
まず日本語の規則に従って書いた文章です。そして、論理的に書かれた文章なのです。でも、おそらくみなさんは日本語の規則や論理を意識せずに、何となく自己流で文章を書いてきたと思います。だから、どれだけ練習しても、正確な文章を書くことができないでいるのです。
そうなのです。物心つく前から日本語のシャワーを浴びていれば、何となく自己流で書いて何とかなったという感じです。でもだからこそ、入試や仕事の報告書で文章を書く段になると、文章に自信がないという劣等感も生じてしまいます。そうならないためには、小さいうちに漢字を覚えるのと同じように、「日本語の規則に従って、論理的に書く」訓練をしておくのが一番です。
訓練と書きましたが、もともと日本語を知っているのですから、それほど難しいことではありません。言ってみれば、正しい書き方という基礎を“意識的に”身につけるということだけです。本書を読んで、そうか、そのための訓練は15ステップだけで大丈夫なんだと納得してしまいました。
◆子どもの勉強のサポート法がわかってくる!
このドリルは、ぜひ親子で一緒に取り組んでみていただきたいと思います。その理由はふたつあります。
ひとつは、先に“楽しみながら最後までやりとげたら、作文嫌いになる可能性はきわめて低い”と書きましたが、この“楽しみながら”が何より大事だからです。このドリルは、いやいやながら各問題の答えを暗記したところで何のメリットもありません。親子で一緒にやってみることで、言葉や文章の楽しさ、それを自分で作る楽しさを演出していただきたいと思います。間違っても、どうしてわからないの!などと叱らないように…。
もうひとつの理由は、記述式問題や作文のサポートの方法がわかるということです。答えが一つではない記述式の問題とはどういうものなのか、出題者の意図がどの辺にあるのかといったことが、別冊の小冊子「答えとくわしい考え方」を読んでいくうちにわかってきます。
これは、もう国語というひとつの科目だけのことではありません。あらゆる記述式問題や、テーマを与えられて意見を書く作文すべてにあてはまります。小冊子にある出口先生のアドバイスを読んでいくうちに、これまで文章に自信を持てなかった方には、その原因もわかってくるでしょう。なんだそういうことだったのか…と。
最後に、小冊子の裏表紙にある「おわりに」を引用させていただきます。このドリルで身につける能力が、子どものためだけでなく入試のためだけでもなく、誰もが持つべき基礎教養であることが簡潔に説明されています。ぜひ親子で一緒に取り組んでみてください。
[書く」という意味が根本的に変わってしまいました。
かつて「書く」とは、たいていの場合手書きで「書く」であって、自分の文章が活字になったのは、ほんの一部の限られた人間だけだったのです。
ところが、今やメール、ブログ、SNSなど、誰もが電子情報として書く時代となりました。電子情報として書くということは、活字と同じで、まさに不特定多数に向けて書くということに他なりません。
そこで、論理的に書くという技術がこれからの時代に必須となったのです。
本書によって、子どもの頃から論理を学び、文章を論理的に書く技術を習得してください。そして書き続けることで、より強固な論理力を獲得していただけたらと思います。
15ステップですらすら書ける 出口汪の作文講座
出口汪著、小学館刊、1100円+税
出口メソッドで一生ものの作文力を! 2020年度以降、大学入学共通テストに記述式問題が大幅に導入され、大学の個別試験でも小論文を課す大学が増えていく傾向にあり、高校入試、中学入試でも記述式問題や作文が多く出題されることになります。本書は、それにいち早く備える、今までどこにもなかった画期的な作文講座です。
これまでの作文指導は、指導者の好みに左右されやすく、子どもたちも体系的に力を付けていくのが難しい状況にありました。しかし、本書では、「論理」という、指導者と子供との間に共通のルールを示しているのが特徴です。指導者も子どもも、なぜこの作文がよいのか、なぜこの作文がダメなのかがハッキリとわかるので、指導者は説明がしやすく、子どもにとっても、力をつけている実感を得ることができます。作文を書く機会が増える小学校中学年の段階で、自己流や学校任せではなく、一定の規則に従って書く練習をするのが、ベストなタイミングです。本書では、独自の15ステップで、ひとつひとつじっくりと日本語の規則を身につけながら、論理的な文章を書く練習をしていくことができます。今は、メールやSNSなど、誰もが電子情報として書く時代です。不特定多数の人間に理解される、論理的な文章を書ける力は、必ず将来お子さんの身を助けます。ぜひ、そのスキルを、保護者の皆さんが手渡してあげてください。
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著者の出口汪(でぐち ひろし)さん
1955年、東京都生まれ。大学受験現代文の元祖カリスマ講師。論理力を養成する画期的プログラム『論理エンジン』を開発し、多くの学校に採用されている。現在は受験界のみならず、大学・一般向けの講演や中学・高校教員の指導など、活動は多岐にわたっている。著書は『出口汪の日本語トレーニング』(小学一年~六年、基礎編・習熟編・応用編。小学館刊)ほか多数。
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