親子で実践! 心を鍛えて受験を成功に導く40の方法
inter-edu’s eye
受験に臨むお子さまは、試験本番で実力を発揮できるかどうか、不安になるもの。そうした不安や悩みは「メンタルトレーニングで克服できる」という本が出版されました。著者によれば、心を鍛えれば勉強の成果を上げ、不安や焦りを克服できるというのです。受験メンタルの強化策とはどんなものか。一部をご紹介しましょう。
◆親子で一緒に読みながら実践したいトレーニング法
著者の加藤史子さんは、受験生向けのメンタルトレーニングの第一人者。数多くの受験生の悩みや不安に接してきました。本書では、そうした経験をベースに、世界的なメンタルトレーナーや学者、イメージトレーニングの専門家が提唱する手法を取り入れ、受験に打ち勝つ具体的な40の手法を、下記の6章に分けてわかりやすく解説しています。
本書は、下記のような構成になっています。
第1章 勉強の成果を上げる
第2章 やる気スイッチを手に入れる!
第3章 夢を見つけてなりたい自分になる!
第4章 本番の試験への不安と焦りを解消する
第5章 試験本番に実力を発揮する!
第6章 子どもの受験を最大限に応援するために
本のタイトルや章立てを見ると、受験生向けの本かと思いますが、副題に「親と子で読む受験メンタルの教科書」「本番で実力を100%発揮する40の方法」とあるように、親子で読みながら実践すると効果を上げやすいメンタルトレーニングの手法を解説した本と言ったほうがよいでしょう。
◆良い結果は良いイメージから生まれる
さて、そのメンタルトレーニングの内容ですが、すべての章に共通するのは、徹底した「ポジティブイメージ」「プラス思考」の重視です。たとえば1章には、こんなことが書かれています。
「受験で成果を出したいなら、『自分はできる人間』『自分は成果と結果を出す人間』『夢を実現できる人間』だと思うことが大切です」
確かに人間は、自分が思う方向に向かうものです。歩いていても車を運転していても、左に行きたいと思っているのに右に行くことは、まずありません。同じように、「自分は何をやってもダメな人間だ」と思っていればダメな結果しか出ませんし、「いくら勉強しても志望校には受かりそうもない」と思っていれば勉強がつらくなります。「たぶん落ちるだろうな」という気持ちでは、受験勉強に身が入らなくなるでしょう。
受験を成功させようと思ったら、やはり「自分にはできる!」と思わなければなりません。そうした良いイメージが、勉強を「すべきもの」から「やりたくなるもの」に変えるポイントだというのが著者の主張です。
もちろん、自分に対して良いイメージを持ったからといって、必ず合格するわけではありませんが、「合格したい」「やれる」と思って挑戦しない限り、結果は出ないのは確かなのですから、ポジティブなイメージを持つことは非常に大切なことなのです。
「うまくいっている人や、夢を実現できる人、成功する人は、『自分はできる』と信じている人です」と著者は言います。ただ、いきなり信じろと言われても、なかなか信じられないものですよね。でもご安心を。メンタルトレーニングの第一人者らしく、著名なメンタルトレーナーの開発した手法や、子どもに読み聞かせるだけで暗示をかけられる言葉、子ども自身でできる、ポジティブイメージを持つための手法など、実践的なノウハウがたくさん紹介されています。
著者は言います。
「自分は勉強ができる、この教科が得意と信じていると、本当にできるようになっていくことがわかっています」
にわかには信じられないかもしれませんが、メンタルトレーナーの世界では、それが常識のようです。少なくとも、親子で最初から「勉強ができない」と信じているよりも、はるかに発展性があるはずです。
お子さまが「中学受験をしたい」と言い出したとき、親御さんがまずすべきなのは、わが子が自分に対してポジティブなイメージを持つように仕向けることかもしれません。この本には、そのための具体的なノウハウが数多く紹介されていますから、読めば実践してみたくなるでしょう。
◆人生に軌道修正はつきもの。運を引き寄せよう
とはいえ、受験は選抜試験です。いくら「この学校へ行きたい」と思っても、先生から「このままじゃ志望校は無理だ」と言われることはあります。自分にポジティブなイメージを持って試験に臨んでも、不合格になることはあるでしょう。そうなると、子どもは当然、ショックを受けます。そんなとき、どうしたらよいのか。
ここでも著者の主張は一貫していて、どんな結果からもプラスのイメージを持つようにするというものです。ティーンエイジャーであれば、いくらでも軌道修正が可能です。結果がダメだった、勉強に行き詰まったというのであれば、「今、軌道修正が必要になったという合図」と受け止めるようにすればよいというのです。
そのためには、自分にとってよくない結果から「プラスの意味」を見いだせるかがカギ。模試の結果が悪かったときは「弱点がわかった」ととらえればいいし、「志望校は無理だ」と言われたら「先生からのはげまし」ととらえるようにする。ネガティブな現実から、ポジティブな要素を見いだすようにすれば、自ずから運を味方につけられるそうです。
ネガティブな要素から、自分にとってプラスの意味を見つけてそれを書き出すとプラス思考の習慣が身につく。これが著者の提案する手法ですが、それを最初から自主的にできるお子さまは多くはないかもしれません。やはり、親御さんの協力が必要でしょう。親御さんも一緒になってショックを受けていてはどうにもなりませんから、親子でお互いにノートにプラスの意味づけを書き出してみて、それを見せ合ったりするとよいかもしれません。
もう一つ興味深かったのは、志望校選びについてです。著者は「ときめき」が重要だと言います。伝統校だからとか、偏差値が高いからといった要素ではなく、お子さまがその学校に入って5年間なり3年間の間、心地よく、ときめく空間なのかどうかということを重視しましょう、というのです。
親御さんが「この学校に行ってほしい」と強く思いすぎていると、子どももその感覚に合わせてしまうかもしれません。学校説明会などに参加したら、いったんは親の希望を棚上げして、お子さまがときめいているかどうかを、よく観察したほうがよさそうです。
◆親のストレスチェックはおすすめの項目
このほか、勉強に行き詰まって不安を感じたときの解消法や、試験本番で落ち着きを取り戻す方法など、細かな手法がさまざま紹介されています。そのどれもが簡単で、効果についても実績のある方法だとか。お子さま向けに書かれた内容ですが、親御さんが読んでアドバイスするのにぴったりの内容です。一つ一つの手法については、ぜひ本書で読んでいただきたいと思います。もちろん、お子さまが読みたがるのであれば、ぜひ読ませてあげてください。
最終章の6章は親御さんのみに向けられた内容ですが、ここで興味深いと思ったのが、ストレステストです。「ドライバーテスト」という名で掲載されていますが、親御さんの心の強さ、余裕度を測るチェックリストです。
「ドライバー」とは、自分の思考や感情、行動を突き動かすものといった意味の概念ですが、これが親御さんのストレスの元になっていることがあるというのです。「強くなりなさい」「もっと頑張らなければいけない」「完璧でなければいけない」といった気持ちのことです。
向上心につながるので悪いものではありませんが、この「ドライバー」が強すぎると、ストレスの度合いが上がり、親御さんがそのことに気づかないと、子どもを追い詰めることがあるというのです。
受験に挑戦するお子さまは、なにかとプレッシャーを受け、緊張を強いられます。そんなとき、親御さんも一緒になってイライラしていては、子どもも影響を受けます。ストレスを受けやすい人に対しては、その対応策も具体的に掲載されていますので、ぜひ試してみてください。
『受験はメンタルトレーニングで打ち勝て!』
加藤史子(かとう ふみこ)著、水王舎刊、1300円+税
親子に相当なプレッシャーを与える受験。長時間の勉強に耐えているのに成績が伸び悩むことだってあります。ときには模擬試験や受験本番で、緊張してケアレスミスをしたり、実力を発揮できなかったりすることもあるでしょう。どんな状況になっても実力を発揮できるような強いメンタルを持つにはどうしたらよいのか、その具体的な手法を解説した書籍です。お子さま向けの内容だけではなく、親御さんのメンタルトレーニングの方法も紹介されています。受験に臨むお子さまは、勉強で手一杯になっているでしょうから、まずお母さんが読み、アドバイスしてあげるとよいでしょう。
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著者の加藤史子(かとう ふみこ)さん
受験生向けのメンタルトレーニングの第一人者。多くの受験生の不安や悩みに接する現場の中から、実践的なメソッドを構築。それを実践の現場で活かしています。「夢を実現する心のあり方」や「緊張しても実力を発揮する方法」というテーマで受験生向けの講演や個人セッションも行っています。『こころが晴れて元気になる「ごきげんメソッド66」』(水王舎)、『あがっても大丈夫!3秒であがり症を克服する技術』(ごきげんビジネス出版)、『メンタルトレーニングで受験に克つ』(図書文化社)など著書多数。筑波大学卒業。千葉大学大学院学校教育臨床課程修了。米国NLP協会認定NLPトレーナー、TAトレーナー、行動習慣ナビゲーター、松本短期大学講師などを努める。二児の母でもある。
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