中学受験にも役立つ名探偵コナン『難しいことば1000』
inter-edu’s eye
“小学生のうちに覚えたいことばが1000語ものっている本が人気”と聞いて、どんな参考書なのか取り寄せてみました。するとそれは、『名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000』というタイトルの分厚い本でした。昨年1冊目が発売され、あっという間に話題を呼び、今年ステップアップ編も発売。1年足らずで発行数8万部を突破したといいます。いったい人気の秘密はどこにあるのでしょうか?
◆難しいことばが1000語ものっているのに楽しい
書店には1冊目の『名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000』とステップアップ編の2冊目が並んで陳列されています。2冊とも400ページ超の厚い本ですが、ソフトカバーなので手に取りやすく、ちょっと見にはマンガ本?と思うようなカジュアルさ。ページをめくってみると、ご存知『名探偵コナン』のさまざまな場面が掲載されている見開きの右側に、穴うめ問題がのっています。5つの短い文章の一部が空欄になっていて、横にある5つの言葉のどれかをあてはめていくクイズのような問題です。
さらに、見開きの左側にあるコナンのまんがを見て、その雰囲気にあった言葉を空欄にあてはめる穴うめ問題ものっています。適当なページをめくって、ちょっと答えてみようかなと思ってしまう、そんな感じの本なのです。
読者からは、こんな感想が寄せられているそうです。
・親でもわからないことばが載っているので、一緒に勉強したいと思った。
・大人でもあいまいに覚えてしまっていることばがあり、私自身も読んでいて楽しい。
・親の私でも初めて知ることばや、改めて意味を確認できたことばがあり、とても勉強になる。
リビングやダイニングに置いておき、気が向いたときにぱっと開いて、親子でやってみると楽しそう。「こんなことばがあるんだね!」「えっ、ママも知らなかったの?」みたいな会話が聞こえてきそうです。
◆全問正解する必要なし。知らないことばに出会ってほしい
1冊目の「はじめに」に、すべての漢字にふりがな付きでこんなことが書いてありました。
この本には、みなさんの語彙力を高めるための新しいことばが、1000語掲載されています。名詞・形容詞・動詞などの単語だけでなく、慣用句、ことわざ、四字熟語、カタカナのことばなどもあります。小学校低・中学年のみなさんにとっては、少し難しいと感じられる言葉も多いかもしれませんね。
でもそれらのことばを自分のものにしたときに、あなたは自身の成長を感じることができるでしょう。新しいことばを知るということは、新しい世界を知ることでもあるのです。
また、もっと難しいことばをのせてほしいという要望もあって編集されたステップアップ編のほうには、こんなメッセージがのっていました。
一冊目の1000語と重複することなく、さらに難しいことばを集めたのがこの本です。一冊目と合わせて使えば、みなさんの語彙力はさらに高まります。
人の思考力、判断力、表現力のベースには語彙力があります。語彙力を高めるということは、考える力や、物事を正しく判断する力、そして自分のことを伝える力をつけることにつながるのです。
さらに、「最初から全部できる必要はない」「まんがが気になったページの穴うめからやってみるのも一つの方法です」とも書いてあり、こうした編集意図が、そのまますんなりと読者に受け入れられているようです。
注目の学校
◆語彙力は読解力の基礎。成績にも人生にも多大な影響が
ここ数年、語彙力がブームとなっていて、多くの専門家が大人の語彙力の低下に警鐘を鳴らしています。語彙力アップの指南書が多数出版され、ネットにもいろんな話題があります。そんな中でとても気になるのは、「子どもの語彙力は、ママとの会話で決まる」という話。
NHKラジオ「基礎英語」の講師をしていた英語学者の佐藤久美子さんという方が、就学前の6才児の語彙力を調べたところ、語彙力が一番高い子は11才レベル、一番低い子は2才児レベルと、同じ年令で9才もの差があることがわかったのだそうです。そしてその原因を調べたところ、母親との会話に原因があったのだとか。
また、3才~6才の子どもたち約200名を対象に実施した調査では、「日本語の語彙力が高い子どもは、日本語の反復が上手にでき、さらに英語の反復も上手にできる」ということも判明したそうです。その詳細はこちらで読んでいただくとして、最後にもうひとつの気になる情報をお伝えしておきましょう。
PISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査で、日本の子どもたちの読解力が低下していることがわかり、その原因について多くの専門家が「読解力の基礎となる語彙の量が不足している」と警告しているのです。エデュママブックでも、ここ数年、読解力に関する本を多数ご紹介していますが、こうした背景があります。
考えてみれば、ことばというものは、机に向かって暗記したところで、使いこなせるようにはなりません。どれだけ本を読んだか(マンガもアリ!)、どれだけ文章を書いたか、どれだけ会話をしたか(しかもいろんな人と!)で、語彙力はいつのまにか身についてくるものでしょう。だから語彙力をテストなどで判定することは、とても難しいと思います。
にもかかわらず、語彙力は確実に成績に影響を与えます。そしてもっと大切なことは、教養のありようや知性の高さとなって、その人の人生を大きく左右するということです。
子どもたちには、小さいうちからできるだけ多くの言葉に出会って、楽しみながら覚え、使いこなせるようになってほしいと心から願います。『名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000』2冊を、親子でことばに親しむ本として活用してみてはいかがでしょうか?
名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000
名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000 ステップアップ編
青山剛昌原作、戸谷述夫監修、小学館刊、各1500円+税
「しのぎをけずる」「臨機応変」「コラボレーション」――これらのことばの意味がわかりますか? 本書は、小学校低・中学年のみなさんに身につけておいてもらいたいことばを1000語掲載した楽しく学べる学習参考書です。ことばの範囲は、名詞・動詞などの単語から、慣用句・四字熟語・カタカナのことばまで。豊富な語彙の中から、重要語1000を選び抜きました。使い方は、穴あきの例文にどのことばが当てはまるのか、選択肢の中から選んでいくだけ。『名探偵コナン』の一場面もそえられていますから、このまんがを参考にして当てはまることばを選びましょう。ことばの意味は、小学生向け国語辞典売り上げNo.1の『例解学習国語辞典』をもとに、やさしく解説されています。ふだんの学習だけでなく、中学受験対策にも大いに役立ちます。ステップアップ編は、1冊目よりもさらに難しいことばを1000語集めて作りました。そして、大人気キャラクターの安室透や怪盗キッドも初登場! 2冊あわせて難しいことば2000語を覚えることができます。
語彙力のアップは読解力や表現力の向上につながり、国語だけでなく、ほかの教科の理解力にも結びつきます。総合学力をアップさせる教材のひとつとして、ぜひ本書をご活用ください。
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