お子さまの思考力を育むヒントの詰まった実用書
inter-edu’s eye
スマートフォン(以下、スマホ)の普及やSNSの発達によって、いつでもどこでも家族や友人とコミュニケーションがとれるようになった現代。その便利さから、お子さまが小・中学生のうちからスマホを持たせるご家庭も増えてきています。既にお子さまのほうが親御さんよりもスマホの機能を使いこなしていて、家にいる間も頻繁に学校の友人と連絡をとっているというご家庭も多いのではないでしょうか。
便利になった反面、トラブルの元になったり使い方に悩んだりすることも多いスマホやSNS。上手な付き合い方について、悩まれているという保護者へのヒントになる1冊です。
人生で成功をつかむためには
今回紹介する本『群れない。』の著者である塚本亮さんは、現代のコミュニケーションの在り方に対して、次のように述べています。
・SNSという広いようで狭い世界に縛られるより、自分の意識を内面に向けて生きよう。
・素晴らしい未来にするためには、ひとりの時間を作ることが必要不可欠だと認識しよう。
・「つながり」に惑わされなければ、自分らしい生き方ができるようになる。
・群れない。だからこそ人とのつながりが強くなる。
ひとりの時間が未来を決める
さて、著者の塚本さんは、高校時代には偏差値30台、退学寸前の問題児でした。そこから一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院で心理学を修めるという経歴をもっています。
塚本さんは、“自分が同志社大学に現役合格できた要因は、周りに合わせて日々をなんとなく過ごすのをやめ、ひとりで自分の心と向き合い、将来の夢や自分の意見を考える習慣をつけたことにある”と述べています。その上で、現代はSNSで常に誰かとつながれるせいか、ひとりの時間が確実に減っていると指摘。現代人はもっと自分の心と向き合う時間が必要であると主張しています。
特に子どもの場合、その人格形成期に自分と向き合う時間がないと「人間関係が人生のすべて」になってしまい、他人からの評価でしか自分を認められなくなる恐れがある。そう、塚本さんは注意をうながしています。
注目の学校
ひとりの時間が思考力を育む
人との調和を重視しすぎるあまり、相手と意見が違っていても自分の本音が言えないということは、子どもに限らず大人でもよくあることです。例えば、この先生は良い先生だと感じていても、ママ友の間で評判が悪かったら周囲の意見に合わせてあいづちを打ってしまうなど。
しかし著者は、たとえ人に嫌われるとしても自分の意見をきちんと伝えることはとても大切で、そうすることで思考力が育まれるといいます。
新しい大学入試では、自分の頭で答えを考え、自分の言葉で表現する力「思考力・判断力・表現力」が問われるようになります。それに伴い、中学入試でも思考力が必要な問題を出す学校が増えてきました。また、正解のない議題に対してグループで意見を交わすAL(アクティブ・ラーニング)と呼ばれる学び方を採り入れる私立の学校も増えています。
教育の現場が単に知識を覚えるだけでなく、思考力を重視するようになった理由の一つとして、AIの発達が挙げられます。PCやスマホでありとあらゆることを瞬時に調べられる現代において、知識の蓄積はAIやコンピューターに任せておけばよい。知識をたくさんもっていることよりも、“それをどう使うか”に価値が置かれるようになった。そう著者は分析しています。
もちろん、友人とのコミュニケーションは大切です。しかし、友だちと良好な関係を保つことだけにとらわれてしまうと、自分の本音や意見が言えなくなり、思考力の低下につながってしまうかもしれません。
お子さまの思考力を育むために、まずは何かのテーマについて家族で意見を交わす時間をつくってみてはいかがでしょうか。
『群れない。』
塚本 亮 著、秀和システム、1,300円+税
現代では、スマホやSNSでたくさんの人とつながることができます。ただそれは、スマホやSNSの表面的な人間関係に振り回され、人生が空っぽになってしまう危険性をはらんでいます。
本書は、ケンブリッジ大学で心理学を学んだ著者が、他人と群れず、気にせず、自分らしく生きるコツを紹介します。「疑う力に磨きをかけろ」「迷ったら、とにかく素直になれ」など超シンプルな45の自己変革術で、あなたの人生が大きく変わります!
塚本 亮(つかもとりょう)さん
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都にてグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ4000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導を行ってきている。
また、映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』のディレクター兼振付師であるトラヴィス・ペイン氏を始め、世界の一流エンターテイナーの通訳者を務めるほか、インバウンドビジネスのアドバイザリとしても活躍するなど、幅広いビジネスを展開している。
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