このような悩みを抱えている親御さんは多いでしょう。
特に、小学校4年生頃のギャングエイジを迎えた子どもは、扱いが難しいもの。「幼いうちからしっかりとしつけをしておくべきだった…」と後悔している人もいるかもしれません。
しかし、作文教室の草分け的存在である「言葉の森」を開講し、小学生から大学受験生まで1万3000人もの子どもたちを育ててきた中根克明先生は、今回ご紹介する『小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと』において、「親のしつけが重要になってくるのは、むしろこれから」と述べています。
子どもの成長に合わせ、親はどう対応していくべきか、本書にはそのヒントが詰まっています。
小学4、5、6年生は対等な信頼関係を築くチャンス
本書は2017年に本コーナーにて紹介した『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』の待望の続編です。
「小4・小5・小6の過ごし方が未来を決める」と題されている第1章の中表紙を見て、「やはりこのあたりから本格的に勉強を始めなければならないのか」と考える人もいるかもしれません。
しかし、中根先生は「勉強はほどほどがいい」とし、むしろしっかりとした親子関係を築くべきだと強調しています。
中根先生によると、小学校4年生以降は親子中心の社会関係から離れ、友だちという社会関係の中で生きるための準備をする移行期間。
この時期は自分の意見を言う力がついたことを試してみたいという気持ちから、親の考えに反対意見を述べることがあるものなのだそうです。
しかし、だからと言って、もう親の手の届かないところに行ってしまったと考えて放っておくのは良くないと中根先生は主張しています。
子どもはこれまでのように一方的に親に庇護される立場からは卒業するものの、頭も心も成長する分、より親と対等に関われるようになります。
そのため、この時期にしっかりと子どもに向き合えば、新しい対等な信頼関係を築くことができるというのが中根先生の主張です。
中根先生はそのための方策として「親自身の子どもの頃のエピソードを話す」という大変ユニークな方法を提案しています。
たしかに、親が自分と同じくらいの年の頃の話というものは、自分の知らない親の一面を知ることができてワクワクしたり、自分との共通点を発見して親近感が湧いたりするもの。
自慢したいエピソードから恥ずかしいエピソードまで、夕食の時間などに子どもが体験した出来事に紐づけてぽつりぽつりと話してみてはいかがでしょうか。
きっと、子どもも心を開いてくれるようになり、しつけも幾分かスムーズにできるようになるでしょう。