開成、鷗友学園の元校長先生がアドバイス。思春期の子どもとどう接する?自己肯定感を高める育て方とは?~子どもの自己肯定感を高めるのは親次第
子どもの自己肯定感を高めるのは親次第
2冊の本には、子どもの自己肯定感を高めるための実践的な親の接し方が紹介されているだけではなく、それぞれの学校での取り組みも紹介されています。
鷗友学園では、入学直後から席替えを実施しています。しかも3日に1回。いつもとは違った人と授業中に意見交換できるようにする取り組みです。女子が安心するヨコ型の人間関係を培うのが目的です。こうすると、自己肯定感が低く、人と話のできない女の子でも、コミュニケーションがとれるようになるのだとか。
開成中学・高校では中高一貫校のメリットを生かして、生徒にロールモデル、つまり「お手本」となる先輩を見つける機会をたくさん作ったり、勉強以外の価値観を見つけさせたりする工夫をしています。そうした機会を作り、自分でやり遂げた体験や失敗した経験、失敗から立ち直る経験をさせているのです。
こうしたさまざまな取り組みをベースに、家庭でもできる手法を解説したというのが、今回紹介した2冊です。『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』の著者、柳沢さんは、「まえがき」でこんなふうに語っています。
「開成のような、地域トップの学生ばかりが集まる学校では、放っておくと子どもの自己肯定感は下がってしまいます。なぜなら、トップの成績しか取ったことのない生徒が、初めての挫折を味わうのがこの学校だからです」
難関校と言われる名門校でも、生徒たちの自己肯定感を高めるための方法を試行錯誤しながら探っていることに最初は驚いたのですが、柳沢先生の説明を読むと、難関校には難関校ならではの難しさがあるのだと、改めて気づかされました。
そして、おふたりの著者が共通して語っているのが「親自身の自己肯定感が低い家庭の子は自己肯定感が低くなる傾向にある」ということ。と同時に、「親の自己肯定感が低くても子どもの自己肯定感を伸ばすことはできる」とも語っています。
子どもの自己肯定感を高めるということは、親自身の自己肯定感を高めることでもあるのですね。今回紹介した2冊には、そのための実践方法も随所で紹介されます。みなさんも、本書を読んで、できそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。
『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』
柳沢幸雄著 実務教育出版刊 1,300円+税
男子教育のスペシャリストである開成(東大合格者数38年連続1位! ※刊行当時)の校長先生が、ハーバード大、東大で長年教鞭を取ってきた経験から、日本人の「自己肯定感」をマクロ視点で分析。男の子の「自己肯定感」の高め方、将来を見据えた思春期男子の育て方を丁寧に解説。日常の言葉のかけ方から褒め方、勉強で悩んでいるときの対応法など、男の子のポテンシャルを高める実践的なアイデア満載です。
柳沢 幸雄(やなぎさわ ゆきお) さん
1947年生まれ。開成中学校・高等学校校長(刊行当時)。東京大学名誉教授。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年、システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに複数回選出)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て2011年より現職。シックハウス症候群、化学物質過敏症研究の世界的第一人者。自身も2人の男子を育て、小学生から大学院生まで教えた経験を持つ。主な著書に『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』(秀和システム)、『東大とハーバード世界を変える「20代」の育て方』(大和書房)などがある。
『女の子の「自己肯定感」を高める育て方』
吉野明著 実務教育出版刊 1,300円+税
思春期に下がる傾向のある女の子の自己肯定感。それをいかに高いレベルで維持するか、具体的な方法を記したのが本書。私立鷗友学園女子中学高等学校で40年以上にわたって教鞭をとってきた著者の経験から導き出された方法とは? 本書で紹介されたコツをつかめば、女の子の自己肯定感を高め、未来をポジティブに生きる子に育てることができるでしょう。
吉野 明(よしの あきら) さん
私立鷗友学園女子中学高等学校名誉校長(刊行当時)。東京三鷹生まれ。一橋大学社会学部を卒業し、鷗友学園の社会科の教師となる。以来、44年間、女子教育に邁進。鷗友学園における高校3年生時点での文系・理系選択者はほぼ半々という、女子校の中では極めて高い理系選択率を実現。女子の発達段階に合わせて考えられたプログラムなどにより、女子生徒の「自己肯定感」を高め、“女子が伸びる”学校として評価されている。
注目の学校
いつもエデュナビをご覧いただきありがとうございます。
この度「エデュナビ」は、リニューアルいたしました。
URLが変更になっているので、ブックマークやお気に入りの変更をお願いいたします。
これからも、皆さまの受験や子育てをサポートできるよう、コンテンツの充実とサービスの向上に努めてまいります。