第10回 『頑張ってるね!』結果ではなく経過をほめよう
第10回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年6月7日)
とてもおとなしい女の子がいました。第一志望は残念ながら不合格。滑り止めで受けた女子中学校に行くことが決まったあと、私はその親子に出会いました。親子ともちょっと落胆している様子だったため、私は「中学に入ってから頑張ればいいじゃない」と勇気づけるつもりで言いました。
ところがそのあと、その子が、「私はこれまでずっと頑張ってきたのに、また頑張るの?…」と言っていたのを伝え聞きました。私はなんと不用意な言葉を使ってしまったかと心から反省しました。十分頑張っているつもりの子に「頑張れ」と言うと、「これ以上どうやって頑張るのか」と途方に暮れ、「私なんて、いくら頑張ってもダメ」と、自己否定につながる危険性さえあります。「頑張れ」は、なかなか使い方が難しい言葉です。
この話を私の友人にすると、「おとなしい子やのんびりタイプの子には、“頑張れ”じゃなくて“頑張ってるね”がいいみたいよ」と、アドバイスしてくれました。なるほど、そういう言い方もあったのです。
「テストのたびにガミガミ30分は叱っているわ。もう私も疲れちゃう」というお母さん。「こんな点数じゃ、○○中学に合格するのは無理。なんでちゃんとやらないの?」とテストのたびに子どもを叱るお母さん。どちらも決して特殊なケースではないでしょう。お母さんも一生懸命だからこそ、つい口に出てしまうのです。でも、それが子どものためにならないとしたら…。
「頑張ってるね」という言葉を教えてくれた友人は、こんなことも言っていました。
「いつも点数が悪い子でも、経過をほめてあげることはできるわよね。頑張っても成功するとは限らないのは、大人である私たちのほうがよく知っていることだもの」。
そうなのです。テストの点数も中学入試も、頑張りに結果が伴うとは限りません。もっとも子どもの身近にいる親だからこそ、結果ではなく経過をほめてあげることができるのです。そしてそのことは、子どもの次の頑張りにつながります。
<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。
やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」 アーカイブ
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