伸び悩む算数の成績を上げる方法
2016年5月4日発行のバックナンバーです。
エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/5/4号 伸び悩む算数の成績を上げる方法 監修:西村則康(プロ家庭教師) by inter-edu.com |
【今週の必修語】奇想天外(きそうてんがい)
「現美新幹線、乗ってみたいなぁ」
「『走る美術館』って、奇想天外な発想だよね」
奇想天外とは、普通では思いもよらない奇抜なこと、また、そのさま。 『普通の人の思いつかないような考えが、ふと浮かんでくる』という意味を持つ、『奇想天外より落つ』を略した言葉です。
JR東日本による、車内で現代アートが鑑賞できる新幹線『GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)』の運転が4月29日から始まりました。
新潟から越後湯沢間で運行しており、外装は写真家の蜷川実花さんがデザイン。黒地の車体全体に夏の夜空を彩る長岡の花火が描き出されています。
内装は車両ごとに異なるアーティストがデザインし、今回のために製作した現代アートで演出。13号車のカフェスペースではアートを鑑賞しながら、新潟にちなんだ食事を堪能することができるそうです。
ホームページを見るだけでもワクワクしますから、気になった方はぜひ検索してみてください。
メルマガ特集
大人でも太刀打ちできないほど難易度の高い、中学受験の算数。『子どもの成績がなかなか伸びない』という悩みを抱えている親御さんも、多いのではないでしょうか。
そんなときには、今回のメルマガでお話しする2つのポイントをチェックしてみてください。
1つめは、『問題を解くときに、式を書いているか』です。
「式を書かなくても、頭の中で計算して答えを出せる」というお子さまもいますが、このやり方が通用するのは4年生までです。5年生になるとグッと問題が難しくなり、与えられる数字や解答までの道筋が複雑になるため、式を省くクセがついているとつまずいてしまいます。
子どもの短期記憶というのは、あまり長持ちしません。
「A×BとC÷Dを計算して、その答えを足し算すれば、問題の答えが出そうだ!」と、解答までの道筋がひらめいても、A×Bを計算して、次にC÷Dをしているうちに、A×Bの答えや、そもそも何のためにA×Bをしたのかすら、忘れてしまったりするのです。
そうなるともう一度最初から考え直さなければならず、時間のロスや解法の迷走につながってしまいます。ひらめいた道筋をある程度メモして、式を残しながら問題を解いていけば、途中で混乱してもメモと式が指針になります。
途中で行き詰った場合にも、この解法でよいのか、振り返って再検討することができます。
ノートやテストの問題の余白などを見たとき、計算式の答えと思われる数字だけがポツポツと残されていたり、筆算しか書いていない場合は、要注意です。ただ式を書くように言っても、素直に聞き入れてくれないことが多いので、子ども自身に「式って大事なんだ」と気づいてもらう必要があります。
そのためには、一緒にテスト直しを行うのが効果的です。
「答えを出すための数字が出せているのに、そのあとこの数字はどこに行っちゃったの? もったいないね、式を書いていれば正解できたね」といった具合に、「式って大事なんだ」「式を書かなくて損したんだ」と、子ども自身が実感できるような声かけをしてあげてください。
2つめのポイントは、『図を描いているか』です。
算数の複雑な問題を解く際には、問題文を読んでから、それを図解して考えるのが有効です。線分図、面積図、てんびん図、ダイアグラムといった図を描くことで、長さや広がりを具体的にとらえやすくなり、問題文からわかったことを利用しやすい形にまとめることができます。
図法による考え方を身につけ、図と問題文とを行き来しながら考える力を養うためには、普段から図を描いて問題を解く習慣をつける必要があるのです。
お子さまの授業用のノートには、式だけでなく図形も写し取られているでしょうか。宿題のノートには、問題を解いているときに図がなく、いきなり式が書いてある、なんてことはないでしょうか。もし図を描いていないようだったら、描くように導いてあげてください。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)
学年別・今週のスポットアドバイス
【1~3年生】授業参観のチェックポイント
もうすぐ、多くの学校で授業参観が行われる時期です。授業参観では、次の4点をチェックしましょう。
・どのような内容を教わっているのか
・クラスになじめているのか
・どんな友達と過ごしているのか
・授業をきちんと聞けているか
この中で1番気にかけていただきたいのが、『授業をきちんと聞けているか』です。
お子さまの座っている姿勢や、聞いているときの視線に注意を払ってみてください。姿勢が崩れていないか、また、先生が話し始めたときや板書を始めたとき、意識をそちらに集中できているかを確認しましょう。
できていない場合は、授業を受けるルールとして教えてあげてください。
【4年生】『線分図』は図を描いて解く習慣をつけて
ゴールデンウィークが終わると、算数が『線分図』の学習に入ります。お母さまはお子さまがきちんと図を描けているか、見てあげてください。
たとえば、「敦子さんは優子さんの3倍のお金を持っています」という記述を線分図で表す場合、敦子さんの線を優子さんの線のほぼ3倍の長さに見えるように引けているかどうか、です。
お子さまが図を描かずに問題を解いていたら、図を描くように促してください。今号のメルマガ特集でもお話ししたように、問題が複雑になっていくと、図を描かなくては答えにたどり着けなくなります。
いまのうちに図を描いて問題を解く習慣をつけておきましょう。
【5年生】『○△×学習法』が習慣になっていますか?
ゴールデンウィークが終わってから夏休み前までの期間に、塾の学習内容が非常に難しくなります。
以前も『エデュまが』でお話しした『○△×学習法』が身についているかどうか、今、再確認をしておきましょう。なぜなら、授業を一生懸命聞いても、よく理解できない問題や、なんとなくわかったけれど自信がない問題がたくさん出てくるからです。
『○△×学習法』とは、授業を受けながら、「この問題がテストに出たら正解できる!」という問題には『○』、「ちょっと自信がない」という問題には『△』、「解説を聞いてもわからない」という問題には『×』のマークをつけておき、復習の際に役立てる、というもの。
そろそろ宿題となったすべての問題を解く時間の余裕がなくなってきていますから、授業中に『○』『△』『×』をつけて、効率よく勉強していきましょう。
【6年生】成績が低迷…勉強に向かう『マインド』の見直しを
「6年生になって成績が下がってしまった」とお悩みの親御さん。お子さまの勉強の仕方を、今一度見直してみましょう。
ただ、6年生の場合には5年生と違い、勉強の『量』と『質』だけでなく、勉強に向かう『マインド』も見直す必要があります。『マインド』とは、気持ちに余裕がなくあたふたと勉強しているのか、じっくり構えて勉強ができているのかどうかです。この『マインド』は、勉強の『質』を大きく左右します。
お子さまの成績が下がってきたら、『量』『質』『マインド』の3つの観点からチェックしてください。
【6年生難関】『自己肯定感』を育む声かけ
難問に立ち向かうときに大切なのは、『ぼくには・わたしには解けるはずだ』という自己肯定感です。「あなただったらできるはずよ」という言葉をかけ、お子さまの自己肯定感を高めてあげましょう。
難しい問題は、簡単には解法がわかりません。問題文を読み、式や図法を用いながら、どうやったら解けるのかを根気強く検討していかねばならないのです。
簡単に見つからない解法を探すためにさまざまな可能性を検討していくこの作業には、大きな気持ちのエネルギーを必要とします。このエネルギーの元になるのが、『ぼくは・わたしはできる子だ』という自己肯定感です。
実は、この自己肯定感が難関校に受かるためにとても大切になります。
これで成功! 先輩ママの声かけ実例
長女は小さいころから本番で緊張してしまうタイプでした。
習い事のピアノでは、練習で上手に弾けていても発表会になるとミスを連発。小学校でクラスごとに行った劇の発表では、本番でセリフが飛んでしまい、帰宅してから大号泣……。
そんな娘の強い希望で受験勉強を始めたものの、きちんと入試本番で実力を発揮できるのか、不安で仕方ありませんでした。案の定、6年生の全国模試で志望校の合格偏差値に届く成績をとれてはいましたが、本人も本番に弱い自覚があるようで、受験が近づくにつれて娘の顔がこわばっていきます。
「これだけ勉強したんだから、大丈夫よ!」と、明るく声をかけ続けましたが、なんと1月のお試し受験で不合格。1つ合格をもらい、自信をつけてから第1志望校に臨もうとしたのに、逆効果になってしまいました。
第1志望校は3回受験するチャンスがありましたが、またもや最も倍率の低い1回目で不合格。
「あと2回受けても、絶対に合格できないよ」と、諦めかけている娘に、私はこう言って明るく励ましました。「もう今までの受験は練習だったと思おう! 第1志望のA中学校も1回目は落ちちゃったけど、1回受けたからイメージはつかめたでしょ? それが次の試験に絶対役立つから、最後まで諦めないで頑張ろうよ」と。
すると、ずっと暗い顔で弱音を吐いていた娘が「そうだね。明日が本番だと思って、頑張ってくる!」と吹っ切れたような笑顔で言ってくれたのです。結果、2回目の試験で、第1志望校から合格をいただくことができました。
受験中のまさかの不合格は、親の気持ちが折れてしまいそうになることもあると思いますが、そこは気持ちを切り替えて、「次の試験は合格できそう!」と子どもが思える声掛けをして、気持ちを明るくしてあげることが大切だと思います。(SAKURA)
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