応用問題が解けるようになるには?
2016年7月13日発行のバックナンバーです。
エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/7/13号 応用問題が解けるようになるには? 監修:西村則康(プロ家庭教師) by inter-edu.com |
【今週の必修語】正々堂々(せいせいどうどう)
「リオデジャネイロオリンピックまで、いよいよあと1か月を切ったね!」
「どの国の選手も、正々堂々と戦ってほしいなぁ」
正々堂々とは、行いが正しくて、態度が立派なようす。『正々』は正しく整っていること、『堂々』は立派であることを意味します。
8月5日から8月21日まで、ブラジルでリオデジャネイロオリンピックが開催されます。南アメリカ大陸でオリンピックが開催されるのは、これが初めてのことです。
リオデジャネイロオリンピックに、新種目があるのをご存じですか?それは、『7人制ラグビー』と『ゴルフ』です。
野球、ソフトボール、空手、スカッシュ、 ゴルフ、ローラースケート、7人制ラグビーの7種目が追加競技として検討され、上記の2つが選ばれました。
日本とリオは時差が約12時間もあるため、リアルタイムで応援するのは難しいかもしれませんが、4年に1度のスポーツの祭典ですから、選手の活躍をしっかり目に焼き付けたいですね。
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塾のテストで出題される問題は、大きく2つに分かれます。
問題を読めばパッと答えや解き方が浮かぶ『基本問題』と、授業中に学んだ知識や解法を複合的に組み合わせながら答えを導いていく『応用問題』です。
成績が伸び悩んでいるお子さまの中には、基本問題は解けるのに、応用問題になると太刀打ちできなくなってしまう子が多くいます。
応用問題を解くためには、“応用力”が必要になります。“応用力”と一口にいっても、2種類のものがあります。
一つは『難しいことを説明されたときに理解できる力』。
もう一つは、『塾で習った新しい解法を利用して、試してみる力』。
テストで活きるのは、特に後者です。
では、この“応用力”はどうすれば身につくのでしょうか?
基本問題を繰り返し解けば自然と応用力が身につき、応用問題が解けるようになると思いがちですが、実はこれは間違いです。応用力をつけるためには、基本問題を何回も繰り返し解くのではなく、納得感を大切にしながら解くことが大切なのです。
例えば、『5から10までに整数はいくつありますか』という問題。これに対し、「10-5=5」と式をたて、「5」と答えてしまう子は多いです。この問題を間違えて解きなおすとき、「5、6、7、8、9、10」と指折り数えれば、「6」という正解を出すことができますが、これで「理解できた」として、先に進んではいけません。
「5から10まで」だったから指折り数えて「6」という答えを出すことができたのであって、これが「5から100まで」だった場合、指折り数える方法を使うのは困難です。また、「なぜ『10-5』では答えが出なかったのか」ということを理解できていませんから、これよりレベルの高い問題を解けるようにはならないのです。
基本問題を学習する際に、「なるほど、これは難しい問題でも必ず使える。良いことを聞いたぞ!」くらいの納得感を積み重ねていけば、応用力の土台ができあがっていきます。
また、応用問題になると、長い問題文を読みながら状況や条件を整理し、何を問われているのか読み取る作業が必要になります。お子さまがこの作業が苦手だという場合は、音読などを行い、読解力をつける手助けをしてあげてください。
算数において計算問題というのは、基本問題ではなく基礎になります。スポーツで言うならストレッチや筋トレ、ランニングのようなものですから、当然やるべきものです。
でも、これだけをいくら繰り返しても、本番のサッカーや水泳が上達するわけではありません。計算をミスなく速く行う訓練はもちろん大切ですが、「計算力をつけてから、文章題に取り組めばなんとかなる」と考えるのは間違いですので、注意してください。 (塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)
学年別・今週のスポットアドバイス
【1~3年生】夏休みの日記は子ども任せにしてはダメ
夏休みの宿題として、一行日記や絵日記などの日記を課す学校も多いと思います。
日記は子どもに任せきりにすると、サボってしまったり、「今日は何もなかった」「ふつう」といった味気ない内容になってしまいがちです。きちんと毎日内容のある日記を書いているか、チェックをお願いします。
お子さまが書く内容に困っているようだったら、「今日はお友だちと何して遊んだの?」「今日のピアノのおけいこでは何の曲を弾いたの?」といった声かけをし、書く内容を引き出してあげてください。
【4年生】夏期講習のパターンにあわせた学習計画を立てる
夏期講習は、塾によって復習を中心としたものと、新しい単元を学ぶものの2種類あります。お子さまの通っている塾がどちらの種類かを確認し、学習計画を立てましょう。
復習を中心とする講習の場合は、公式や単語、答えの確認よりも、考え方や筋道の確認に比重を置いてください。できればお子さまに、「この現象はどういうものなの?」「どうやってこの答えを出したのか、お母さんに教えて」と声をかけて説明してもらう、”家庭内ミニ授業”の時間を作ることをおすすめします。
新しい単元を学ぶ講習の場合は、普段と比べてカリキュラムの進行が速いので、計画的に復習をしていかないと間に合わなくなる可能性が高いです。いつ、どの教科の宿題や復習をするのかという計画を事前に作っておくと、あとで焦らずに済みますよ。
【5年生】夏期講習のタイプをチェック
夏期講習には、復習を行うタイプと新しく単元を学ぶタイプの2種類があります。お子さまの通っていらっしゃる塾の夏期講習は、どちらのタイプでしょうか?
復習タイプの場合は、1学期の弱点克服を目指しましょう。たとえば、1学期に習った単元の中で『速さ』が苦手だった場合、夏期講習ではいつ『速さ』を学び直すのか、チェックしておきます。
そして、講習中に『速さ』を学ぶとき、「この夏休みのうちに自分のモノにするぞ!」という気持ちで、念入りに復習をしてください。まったく新しい単元を学ぶタイプの場合は、入試に直結する大切な単元を、普段より速いペースで学ぶことになります。
丸暗記にならないように注意して、勉強を進めましょう。宿題を“やっつける”という感覚ではなく、十分に時間をかけて復習し、『なぜそうなるのか』を理解しながら先に進んでください。
【6年生】ハードな夏期講習は復習の仕方がポイント
6年生の夏期講習は期間が長いうえ、授業のコマ数も多く、予定表を見るとびっくりするくらいハードです。ここで着実に力をつけるためには、復習の仕方がポイントになります。
以前『エデュまが』でもお話しした『○△×学習法』が身についているか、再確認をお願いします。『○△×学習法』とは、授業中に取り組んだ問題に、次も確実に解けそうなら『○』、すこし自信がなければ『△』、わからなかったら『×』をつけるというもの。
この習慣がついていれば、復習の際に問題の取捨選択をして、効率的に家庭学習を進めることができます。
【6年生難関】難関校国語の対策は『岩波ジュニア新書』
難関校の国語の素材文は、扱われるテーマ自体が難しいことが多いです。説明文でよく扱われるテーマとしては、『日本的なものと西洋的なもの』『個人の幸福と社会の幸福』などがあります。
こうしたテーマは子どもが日々暮らしている世界とはかけ離れているため、ある程度知識を持っていないと解けません。対策としては、過去問から出典を調べて、その本1冊をまるまる読んだり、岩波ジュニア新書から入試のテーマに使われそうなものを読んでおくことです。
他の教科の勉強で忙しい時期ですから、1か月に2冊程度を目標にしてください。完璧には理解できなくても、日常とかけ離れた世界があるんだ、こういうことを考えている人がいるのだ、ということを知るだけでも効果があります。
これで成功! 先輩ママの声かけ実例
几帳面な性格が、受験勉強では裏目に出ることがあります。うちの長女がそうでした。
年の離れた妹がいることもあって、同学年の子と比べてもしっかりしている長女は、宿題や予習・復習を自ら進んでやる手のかからない子でした。そのため、私は何も口を出さずに見守っていたのですが、頑張っているのに成績がまったく上がりません。
「きっと、あとから伸びるタイプなんだわ」と楽観的に考えていたのですが、ある日ひょんなことから成績が上がらない理由がわかりました。
塾から帰宅した娘に「今日は何を勉強したの?」と何気なく質問したところ、「ちょっと待って、いまノート見るから」という答えが返ってきたのです。 「授業の内容についてすぐ答えられないなんて、適当に授業を受けているのかしら」と疑いましたが、娘のノートを見ると、その日受けた授業の内容がとても丁寧に書いてあります。
「どうしてノートはきちんと書いてあるのに、授業の内容がすぐに答えられないの?」と聞いてみると、「ノートをきれいにとっていると、いつの間にか先生の話が終わっているの」と。
ノートをとることに力を注ぐあまり、先生の話を聴いていないのでは本末転倒だと思い、娘にこう言って約束を交わしました。
「ノートをとることも大切だけど、先生が話し始めたらお話に集中しようね。お母さんもどんな授業を受けているか知りたいから、家に帰ったら内容を教えてくれるかな?」
はじめの頃は帰宅した長女に授業の内容を聞いても、「今日は虫の勉強だったよ」といった簡単な答えしか返ってきませんでしたが、日を追うごとに「今日は鎌倉時代の勉強をしたんだよ! 北条政子っていう人が面白くてね……」と、授業の内容を詳しく、楽しげに話してくれるようになりました。
授業後にその日の内容について話す習慣は、親子のコミュニケーションを密にしてくれるとともに成績もアップと、よいことづくめでした。うちの長女のように女の子はノートを丁寧にとることに集中するあまり、授業を聴くのがおろそかになってしまうことがあるようです。
「今日は何を勉強したの?」とさりげなく尋ねて、きちんと授業が聞けているか、一度確認してみるのがおすすめです。(ラビット)
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