本物の『学力』を育てるには?
2016年8月31日発行のバックナンバーです。
エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/8/31号 本物の『学力』を育てるには? 監修:西村則康(プロ家庭教師) by inter-edu.com |
【今週の必修語】流言飛語 (りゅうげんひご)
「災害時に広がる流言飛語には困ったものだよね」
「情報の真偽を見分ける目を養わなくちゃね!」
流言飛語とは、世間に広がるでたらめなうわさ。根拠のない扇動的な宣伝やデマのことを意味します。
明日9月1日は防災の日。国民が災害についての認識を深め、地震や台風、豪雨などに備える日です。
1923年同日に関東大震災が起きたこと、また、暦の上で台風の多い二百十日に当たることから、1960年に制定されました。 防災の日を含む1週間を防災週間といい、多くの地域で防災訓練が実施されますから、積極的に参加しましょう。
ご家庭でもすでに食料・飲料水の備蓄や家具の転倒防止、家族間での安否確認方法など、さまざまな災害対策を取られていると思いますが、今一度、いざというときのための準備と確認をしておくといいですよ。
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塾によって頻度は異なれど、定期的に行われる実力テスト。成績表が配られるたびに一喜一憂しているご家庭も多いのではないでしょうか?
テストの点数や偏差値に過剰に反応してしまうのは、その時点での子どもの『学力』が数字ではっきりと示されているものだと信じられているからです。
しかし、実は、テストで測れるのは『学力』ではありません。
『学力』とは、問われている内容を的確に把握し、答えの導き方を理解し、何度でも再現できる力のことを指します。学力があっても、テストで解答欄を間違えて答えを記入したり、計算ミスをして得点できないケースは往々にしてあります。
テストの成績と『学力』は、比例しないのです。テストで測られるのは、『学力』ではなく、『得点力』です。
『得点力』とは、出題された問題に正解できる力のこと。問われていることや解法の本質を理解しているかどうかは、『得点力』の一部にしかすぎません。
解法をひたすら暗記するなどの方法でも、点数をとることさえできれば、『得点力』があるということになります。志望校に合格するためには合格点をとる必要があり、最終的には『得点力』の勝負になりますが、これに本格的にこだわるのは6年生ごろからで十分です。
それまでは、『学力』を伸ばすことを重視して、勉強を進めましょう。
なぜなら、『得点力』の上限はそれまでに蓄積してきた『学力』のレベルによって決まるからです。『得点力』が『学力』を超えることはありませんから、まずは『得点力』ではなく、『学力』を伸ばすことに力を注いでいただきたいのです。
テストの結果が返却された際には、テストの点数よりも、正解に至るまでのプロセスが正しいかどうか見極めることを重視してください。プロセスが正しければ、『学力』が養われているということになります。
見極め方は「この問題、どうやって解いたのか、お母さんに教えて」と子どもに声をかけるという、とてもシンプルなものです。子どもがしっかりと説明できれば、理解できていると判断できます。
しどろもどろになってしまったり、「先生がこの解き方でいいって言っていた」などと答えるようならば、注意が必要です。その部分の『学力』は身についていないということになります。
解法を丸暗記したり、わからなかったけど適当な答えを書いたら正解だったというかたちで点を稼いでいては、『学力』を伸ばすことはできません。『学力』が伸びなければ、『得点力』も頭打ちになります。
本物の『学力』を育てていくため、お子さまに声をかけ、暗記に頼らずに、納得感の伴った学習ができるように、サポートしてあげてください。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)
学年別・今週のスポットアドバイス
【 1~3年生 】学校のクラスに馴染めないときは……
お子さまは学校生活を楽しめていますか?
クラスに馴染めていなくても、低学年のうちから「うちの子は集団生活に向いていないんだわ」と、決めつけるのはよくありません。学校の今のクラスがたまたま馴染みにくいだけかもしれませんし、習い事や塾などの学校とは違う集団では馴染んでいける可能性があります。
それにお子さまは、子どものうちはもちろん、大人になってからも、なんらかの集団の中で生きていかなければなりません。集団生活に馴染めるよう、親御さんがサポートをしてあげてください。
親子で先生やお友達のいいところを見つけて言ってみたりするのがいい方法です。集団生活に馴染めないままでいると、物事を否定的に見たり、「私は悪くない、あの子が悪いんだ」と責任転嫁のくせが身についてしまったりすることがあるのです。
他人を肯定的に見ることができるようになると、集団にも馴染みやすくなり、コミュ二ケーション力も育っていきますよ。
【 4年生 】 やらされ感いっぱいの学習はNG
「宿題はやったの?」「その程度の勉強じゃダメ!」といった言葉を、お子さまに向かって言ってはいませんか?お母さまが先回りをしたり、叱るばかりでほめてあげないと、やらされ感いっぱいの学習になってしまいます。
やらされ感いっぱいの学習を続けていると、誰かに言われないと勉強しなくなってしまいますし、そのうちに言われても勉強しないようになってしまいます。5・6年生になると修正するのが難しいので、この時期に確認をお願いします。
もし、すでにやらされ感いっぱいの学習になっているようでしたら、先回りの指示を控えて、まずは少し待ってあげてください。
そして、何かを促したい場合は、「宿題をすぐにやると気持ちいいわよ!」「もう一度、この3問を解き直せば、テストに出ても大丈夫ね!」というように「〇〇すれば、〇〇のようないいことが起きる」という言い方に変えましょう。
そして、勉強をしたあとには、それがどんなに少量でも、「頑張ったね」と、努力を認めてあげてください。
【 5年生 】2学期に向けて生活プランの見直しを
9月になるこのタイミングで、1週間の生活プランの見直しを行いましょう。5年生の2学期は、入試に直結する重要な単元が連続して出てくる大切な時期です。どの週も、気が抜けません。
夏休みと同じ感覚で、「時間は十分にあるだろう」と計画を立てずに勉強していると、どうしてもやり残しが出てきてしまいます。
1週間の各曜日に何をどのくらい学習するのか、お子さまと一緒に再確認しておきましょう。
【 6年生 】過去問を始める前に知っておくべきこと
2学期に入ると、過去問を解く宿題が出始めます。次の3つのポイントを意識して、学習を進めていただきたいと思います。
1つ目は時間配分を知ることです。どういったペースで問題を解いていけばいいのか、お子さま自身が感覚を掴むことが大切です。
2つ目は、志望校の問題の特徴を知ることです。途中式を書く必要があったり、簡単な問題と難しい問題がランダムに配置されていたり、必ず最後に長い記述の問題が出てくるなど、それぞれの学校に特徴があります。
その特徴を知ると、「第一志望校の入試問題には記述が多いから、記述の宿題はていねいにやろう」といった具合に、日ごろから意識しながら勉強を進めることができます。
3つ目は、問題の量・レベルに慣れることです。問題量が多ければ、正確に、かつスピーディーに解いていくことに慣れなければいけません。記述が多い学校なら、選択問題よりも記述の練習に重きを置く必要があります。
以上の3つのポイントを意識して、効果的な過去問学習を進めていってください。
【 6年生難関 】塾の講座で優先すべきは『志望校別日曜特訓』
2学期からは通常授業だけではなく、志望校別日曜特訓や、苦手分野や強化したい分野を学習する単科講座など、プラスアルファの講座がずいぶんあるかと思います。
あまりにもたくさんの講座があり、どれが大事なのかわからないと悩む親御さんもいらっしゃるかと思いますが、必ず参加すべきは志望校別日曜特訓です。現段階で参加しておらず、これからでも受講が可能であれば、ぜひ参加申し込みをしてください。
というのも、難関校の入試問題は、学校ごとの特徴がはっきりしているからです。志望校別日曜特訓は、各塾が十分にその特徴や傾向を分析して、テキストやカリキュラムを作成しています。
また、その講座を受け持つ先生も、学校についてよく研究しています。志望校別日曜特訓でその学校特有の入試問題をお子さま自身が体感して、慣れることができるので、受講することをおすすめします。
これで成功! 先輩ママの声かけ実例
娘の中学受験を通して大切だと感じたのが、テスト中の気持ちのコントロールです。
ある日、返却された娘の算数の解答用紙を見ていたところ、問題が進むにつれて解答欄の文字が汚くなっていくことに気づきました。娘は習字を習っていることもあり、字がきれいなので、「時間が足りなくて急いで書いたとしても、ちょっと汚すぎるな」と思い、本人に理由を聞いてみることにしました。
とりわけ字の汚かった最後の問題は図形の角度を求める問題だったのですが、「これはちゃんと計算して出した数字なの?」と尋ねると、「計算はしてない。なんとなくそれくらいの角度かなって思った」と言います。
そこで、「選択肢の問題だったら適当に書いて正解することもあるかもしれないけど、算数は当てずっぽうじゃ無理よ。残り10分になったら焦らずに深呼吸して、目の前の問題に集中したほうが、点数もアップするんじゃないかな?」と話しました。
このアドバイスに娘も納得してくれ、次のテストで実践してみたところ、最後まで落ち着いて問題が解けたと大喜びでした。
テストは時間との戦いですから、本来の実力では解けるような問題でも焦ってしまい、得点できないことが多々あります。最後まで落ち着いて問題と向かうことができるよう、テスト終了時刻が近づいてきても焦らないようにアドバイスしてあげるといいのではないでしょうか。(けいちゃんママ)
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