理系の力を伸ばすには?
2016年10月5日発行のバックナンバーです。
エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/10/5号 理系の力を伸ばすには? 監修:西村則康(プロ家庭教師) by inter-edu.com |
【今週の必修語】一心不乱 (いっしんふらん)
「伊調馨選手が国民栄誉賞を受賞したね」
「リオ五輪でも一心不乱に戦う姿がかっこよかったなぁ」
一心不乱とは、一つのことに心を集中させて、ほかのことに気を散らさないこと。『不乱』は乱れないことを意味します。
リオデジャネイロ五輪のレスリング女子58キロ級で金メダルを獲得し、女子個人種目で五輪史上初の4連覇を達成した伊調馨選手に国民栄誉賞が授与されることが正式に決定しました。レスリング界では吉田沙保里選手に続いて2人目です。
国民栄誉賞は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者」をたたえる目的で、1977年に制定されました。これまでに23人と1団体が受賞しており、プロ野球選手の王貞治さんや歌手の美空ひばりさん、漫画家の長谷川町子さんなどが受賞しています。
さまざまなジャンルの方々が受賞していますから、気になった方はぜひ調べてみてください。
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就職に有利だというデータや、物理学、生理学・医学部門などで相次ぐ日本人のノーベル賞受賞に後押しされ、近年理系の人気が高まっています。
『うちの子も理系に強くなってほしい』と願っている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
理系の力を育てるには、お子さまがさまざまな事柄に興味や好奇心を持てるかどうかが鍵になります。親御さんは日常の中で、お子さまの興味や好奇心の芽を見逃がさずに育て、広げる言葉をかけてあげてください。
「あれは何かな?」「なぜなんだろう?」「こんなことってあるんだね!」「不思議だね!」といった、子どもの頭の中に“!”や“?”マークがともる声かけです。
具体的な言葉や知識までをお子さまに伝える必要はありません。興味のある事柄や不思議な現象に出会ったとき、「すごい!」と感動して終わるのではなく、「なぜなんだろう?」と考えられることが大切なのです。
例えば皆既日食が起きたとき、「きれいだね!」で片づけるのではなく、「なんでこんなことが起きるんだろうね?」と、お子さまに投げかけます。すると、学校や塾で皆既日食について習う時に、「これ、お母さんと一緒に見たやつだ! こういう仕組みで起きるんだなぁ」と、興味をもって聞くことができます。
入ってきた知識が過去の体験とつながると、より深く理解することもできるのです。
「なぜだろう?」という疑問や好奇心は、突然持つように促しても難しいですから、親御さんが日常の中で声かけをしてあげてください。
また男の子に多いのですが、何かに強い興味を抱いて、そのことなら何でも知っているといったお子さまもいます。その場合は、せっかくの知識が雑な学びになっていないか、注意してください。
たとえば、恐竜の種類に関しては専門家顔負けの知識を持っているのに、恐竜がどのように進化していったかはまったく知らない、といった具合に、知識がコレクションアイテムのようになってしまっているパターンです。
お子さまが何かに興味を示しているときは、親御さんが「なかなかおもしろそうね! ちょっと調べてみようか?」と声をかけ、サポートしてあげてください。すると、「調べるってこういうことなんだ!」と、お子さまが学ぶことができます。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)
学年別・今週のスポットアドバイス
【 1~3年生 】リビングに筆記用具を置いておく
リビングのテーブルなど、身近なところに筆記用具が置いてありますか?筆記用具に慣れていることは、学力の土台として大事なことです。
式や図、文章を面倒くさがらずに書ける子は、成績が伸びていきやすいのです。メモをする習慣がないために、頭の中だけで処理をして、ミスを連発してしまう子も多く見受けられます。
低学年のうちから、身近な場所に鉛筆・定規・コンパスやメモ用紙を置いておき、親子で頻繁に使って、書くことに慣れていきましょう。
【 4年生 】ゆとりをもって生活する
4年生のこの時期は、時間的にも気持ち的にも余裕をもって過ごすように心がけてください。
熱心なお母さまは、お子さまが遊んでいたり、勉強せずに過ごしているのを見ると、それだけで心配になってしまいがちです。しかし、今の時期からスケジュールをギチギチにつめて学習していると、5・6年生になったときにパンクしてしまいます。
家庭内で会話をゆっくり楽しんだり、自分の好きな本を読んだり、外で友だちと思いっきり遊んだりすることも4年生の大切な学習です。
【 5年生 】反抗期は歓迎するくらいの気持ちで
お子さまが反抗期で困っている親御さん。反抗期は子どもの成長にとって悪いものではなく、むしろ歓迎すべきものです。
モノの見方が多様になり、語彙力が備わり、「こう言えば相手は言い返せないだろう」と先を読む力が身について、初めて子どもは親に反抗できます。
反抗期は、子どもが物事を多面的にとらえはじめた証拠なのです。反抗期を過ぎると、国語の読解力があがることが多いのです。悲観的にならず、反抗期を楽しむくらいの気持ちで、ゆったり構えていてください。
お子さまが屁理屈を言ってきたら、ユーモアや、子ども以上の屁理屈で返してあげると、お子さまの頭がより鍛えられますよ。また、本当に反抗期なのかどうか、お子さまとのやり取りを振り返ってみてください。
ただ単に、お母さまとの会話で、売り言葉に買い言葉が習慣化してしまっただけかもしれません。すべてを「反抗期だから」で片づけないことが大切です。
【 6年生 】受験本番までに自己肯定感を高める
10月に入り、受験本番が近づいてきました。この時期に親御さんにやっていただきたいことは、お子さまの自己肯定感を高めることです。
11月に行われる合否判定で合格確率が8割を超えているのに不合格になってしまう子もいれば、偏差値が達していなくても合格する子もいます。この差は、「自分はできる!」と、本人が思えるかどうかです。
前者の場合、最後の2か月、「僕は合格しないだろうな」「いまさら頑張っても無理だろう」といったネガティブな気持ちで勉強をしていた可能性が高いです。「僕なら・私なら合格できる!」というポジティブな気持ちで受験本番に臨めるよう、親御さんは受験まで、「あなたなら、頑張れば合格できそうね」と、プラスな声かけをしてあげてください。
この明るい声かけが、お子さまが勉強に向かっていくエンジンにもなります。
【 6年生難関 】記述問題は短い文をつないでいけばOK
国語の記述問題がまったく書けず、悩んでいる方はいらっしゃいますか? この場合、「短い文章をつないでいけばいいんだよ」と、お子さまにアドバイスしてあげてください。
無理に一文で書こうとするから、文章が続いていかない子が多いのです。
「短い文章を書いて、接続語で結んでいくといいよ」と言ってあげると、だいたいの子は解答を書くことができます。『箇条書きの文章に、接続語を少し入れてつなぐ』くらいの感覚でOKだということを、お子さまに教えてあげてください。
これで成功! 先輩ママの声かけ実例
長男が精神的にも体力的にも最も追い詰められたのは、6年生の9月頃です。夏休みに一生懸命勉強したにもかかわらず、まとめのテストで思うように成績が伸びませんでした。
「ここからまた頑張ろう!」と親子ともども気合を入れなおしていたところ、10月の運動会でリレーのクラス代表に選ばれたのです。
毎日昼休みや放課後にリレーの練習を行い、帰宅したらすぐに塾に向かうというハードなスケジュールで、長男は日に日にやつれていきました。
見るに見かねて、「受験もあるんだし、リレーの練習を減らしてもらったら?」と勧めたのですが、「チームのみんなと優勝しようって約束してるから、練習は絶対に出る!」と、長男。
リレーへの熱い想いを知り、「じゃあ、運動会が終わるまで勉強量をちょっと減らそうか?勉強もリレーも健康な状態で挑まないと、力が発揮できないんじゃないかな?」と諭しました。
やるべきことを厳選してスケジューリングをし、元気を取り戻した長男は、運動会のリレーでチームのアンカーを務めて、優勝に貢献。体も心もいい状態で再び受験勉強に本腰を入れることができたからか、受験本番までに順調に偏差値を伸ばし、第一志望校に合格しました。
受験を半年後に控えた時期に勉強量を減らすのは不安でしたが、あのまま勉強を続けていたら、長男は体調を大きく崩していたと思います。子どもの調子がよくなさそうなときは無理をさせず、勉強量を減らして、立て直すことをおすすめします。(てつこママ)
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