日常会話が子どもの力を伸ばす
2016年12月21日発行のバックナンバーです。
エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/12/21号 日常会話が子どもの力を伸ばす 監修:西村則康(プロ家庭教師) by inter-edu.com |
【今週の必修語】我田引水(がでんいんすい)
「美穂さんがケーキを切って分けてくれるというので任せたら、自分の皿にいちばん大きいのを配ってたよ」「彼女って、そういう我田引水のふるまいが多いんだよね」
我田引水とは、他人のことは考えないで、自分の田にだけ水を引き入れることから、自分に都合のいいことばかりを考えてふるまうことや自分勝手なことを意味します。
もうすぐクリスマスですね。クリスマスには、ケーキを食べるご家庭が多いと思います。
日本ではイチゴのショートケーキが定番ですが、これは不二家が1922年(大正11年)頃から広めたもの。昭和30年頃には関東、関西、名古屋合わせて50店舗でクリスマスケーキが販売され、不二家店舗の拡大と同時にクリスマスケーキも普及していったようです。
海外でもクリスマスはケーキでお祝いしますが、フランスは「ブッシュ・ド・ノエル」、ドイツは「シュトーレン」、イタリアは「パネトーネ」、イギリスは「クリスマスプディング」と、ケーキの種類がちょっと違うようですよ。
今年のクリスマスは日曜日ですから、ご家族揃って楽しいクリスマスをお過ごしください。
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前回の『エデュまが』でもお話ししたように、親子の会話は子どもの成長に大きな影響を与えます。
「うちはたくさん会話を交わしているし、コミュニケーションは取れているはずだ」と思っている親御さん。「ねぇ、お茶」「ほら、ごはん!」……こんな会話になってしまってはいませんか?
家族は以心伝心で、短い言葉だけでも通じ合えるから大丈夫、と思う方もいるでしょう。しかし、話し方に気をつけることで、お子さまの日本語の力を日々の暮らしの中で自然と伸ばすことができるのです。
無理に難しい言葉を使う必要はありません。ポイントは、『単語ではなく、文章にして話すこと』です。
このとき特に意識していただきたいのが、日本語の助詞『てにをは』の使い方です。これに習熟していないと、国語だけでなく、全教科の学習で苦労します。
たとえば算数で、「ある数を10で割る」と「ある数で10を割る」の区別ができず、正しく式をたてられなかったりするのです。
大人にとっては簡単なことでも、子どもにとっては難しかったりしますから、お子さまの話をよく聞いて、使い方が間違っていたらやさしく訂正してあげてください。
また、質問を重ねていくと、事実をどのように捉え、どう説明するかの訓練になります。お子さまが自分の思考を整理し、文章にして話すのを、時間がかかっても、たどたどしくても、会話を打ち切ることなくじっくり聞いてあげてください。
以下が、よい会話の例です。
母「今日は学校で何が1番楽しかった?」
子ども「うん。音楽の時間に、学内合唱コンクールの練習をしたのが楽しかったよ!」
母「それはよかったわね! どういうところが楽しかったの?」
子ども「ピアノの伴奏者が、八木くんだったんだよ。ピアノが弾けるなんて今まで知らなかったから、みんなびっくりしていたよ。しかもピアノがすごく上手で、歌っていてとても楽しかった!」
母「そうなんだ。クラスの子たちも楽しそうだった?」
子ども「みんな大興奮だったよ! 八木くんは照れくさそうにしていたよ。」
家族の中でも、ともに過ごす時間が長いお母さまとの会話は、特に重要です。普段から意識して長い文章で話し、質問を重ねて、楽しい雰囲気で会話を交わしてください。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)
学年別・今週のスポットアドバイス
【 1~3年生 】 お手伝いは子どもの力を伸ばす
年末の大掃除は、ぜひお子さまと一緒に行ってください。いろいろな体験を通して身体感覚を養うことが、子どもの学力を伸ばす土台となります。
特に掃除は、能力を高めるのに重要な指先の器用さや、段取り力を養ってくれます。
先に下の棚のほこりをとって、次に上の棚、という順序で掃除を行うと、上の棚のほこりが下の棚に落ちるのでもう一度やり直さなくてはならない、というような体験を通して、子どもは学習していくのです。
掃除のお手伝いの他にも、料理や買い物のお手伝いなど、お子さまの体験学習の場はいろいろあります。
大人だけで行ったほうが早いかもしれませんが、ぜひお子さまにたくさんの経験をプレゼントしてあげてください。
【 4年生 】 テキスト以外の勉強も大切
机に向かうだけが勉強ではありません。
たとえば、苦手な子の多い理科の豆電球の単元です。実際に豆電球を買ってきて、光らせてみると、子どもは「わかった!」となることも多いです。
鉄心にエナメル線をぐるぐる巻きつけて、電流を流して電磁石を作ってみることもオススメです。ぜひ冬期講習の前にやってみてください。
また、4年生のこの時期から、『まんが日本の歴史』を読んでおくと、5年生で歴史の単元を習うときに効果的です。特に中世から明治にかけての範囲は入試に頻出ですから、まんがで楽しく歴史の流れをつかんでおきましょう。
【 5年生 】算数は暗記に走っていないかチェック
冬期講習の算数では、図形やニュートン算など、苦手意識を持つお子さまが多い単元を学習します。
「この問題は、こう解く」といった暗記に走ることのないように、時々「この問題、どうしてこう解くの?」「この式で何が出たの?」などとお子さまに質問して、教えてもらいましょう。
こうすることで、お子さまが本質を理解しているかどうかがわかります。
図形問題が苦手なお子さまには、テキストに描いてある図を使うのではなく、まずノートにフリーハンドで大きな図を描かせてから解かせるようにすると、効果的です。
また、線分図、面積図、てんびん図、ダイヤグラムなど、問題を解くときにきちんと図が描けているかもチェックしてあげてください。
【 6年生 】重大ニュースの参考書は2冊買うべし
2016年はリオオリンピックやオバマ大統領の広島訪問、熊本地震、伊勢志摩サミット、東京都知事選など、いろいろなことがありました。
その年に起こった大きな出来事や、社会現象は入試に頻出です。その年のニュースを切り口とした総合問題が出ることも多いので、しっかり勉強しておきましょう。
重大ニュースに関する参考書は、通っている塾から配布されることが多いですが、1つだけに頼るのは危険です。2種類持って、読み比べておくことをオススメします。
【 6年生 最難関志望 】模試の合格可能性はあくまで目安
塾で行われる合否判定テストでは、志望校の合格可能性がパーセンテージで出ることが多いです。みなさん、この数字に一喜一憂しているのではないでしょうか?
常に合格可能性が80%を超えていれば、ひとまず安心。30~60%なら、心配ですね。
でも、この合格可能性の数字は、あくまでも目安です。80%を超えていても、当日の体調や精神状態、これからの40日間の勉強内容によっては思わぬ結果になることがあります。また、30~60%でも、これからの充実した学習によって、合格を勝ち取ることが可能です。
塾での最終テストが終わってから入試本番までの1ヶ月間で得点力は大きく変化します。ですから、親御さんはお子さまが慢心していないか、悲観していないか、お子さまの表情の変化に注意を払ってあげてください。
これで成功! 先輩ママの声かけ実例
小学5年生の夏休み明けから、息子の算数の成績がじわじわと下がりました。
ほかの教科の成績は順調に伸びていましたが、塾では「算数が受験のカギです」といわれることも多く、算数の成績が振るわない状況に親子ともども不安でいっぱいでした。
せめてクラスの平均点ぐらいはとれるようにと、算数の勉強の仕方を見直しましたが、計算練習も毎日続けているし、宿題も読みやすい字できちんと途中式まで書いており、悪いところが見当たりません。それでも、公開テストだけでなく、復習テストでもクラスの平均点がとれない状況が続きました。
頭を悩ませていたある日、テストの回答用紙を見て、あることに気づきました。それは、数に対する感覚がとても乏しいこと。
速さの問題で人が歩く速度を求めるのに時速100kmと答えを出していたり、角度を求める問題で図を見ると、どう見ても90度以上の角度なのに40度と答えたり、2割引きなのに定価よりも高い金額になっているなど、常識で判断してありえない答えを平然と書いているのです。
息子にそのことを指摘すると、「ほんとだ。でも、テスト中は気づかなかった」と言います。
自分の答えに違和感を覚えることができれば、解き直すことができると思い、「答えを回答欄に書く前に、自分の出した答えがおかしくないか、1回冷静になってみてごらん」とアドバイスしました。
これを実践するようになってから、振り返りに時間がかかるためかテストの問題を最後まで解くことができずに空欄が増えましたが、解答できた問題の正解率はグンとアップ。クラスの平均点は安定してとれるようになりました。
人間が歩く速さや図形の角度、原価や定価など、日常生活にあふれている数字は大人にとっては当たり前のことが多いですが、子どもは意外とこういった感覚が乏しいようです。数字に対する感覚を磨き、間違いに自分で気づくことのできるよう、導いてあげてください。(サン)
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