第124回 中学受験生の平均睡眠時間は?
inter-edu’s eye
中学受験をする子どもたちは、塾通いが始まると毎日が大変忙しくなります。小学6年生になると、11時、12時就寝が当たり前になる子どももいるようです。親としては大変気がかりですよね。そしてエデュママへのアンケートではやはり気になる結果が…。 睡眠時間が短いとどのような影響があるのか見ていきましょう。
◆4割の中学受験生に危険信号が!
カリスマ家庭教師の西村則康先生は、子どもの睡眠時間について、監修している中学受験サポートメルマガ「エデュまが」で、「小学4年生では少なくとも9時間、できれば10時間、5、6年生では少なくとも8時間、できれば9時間の睡眠時間を確保してあげてください。」とアドバイスしていらっしゃいます。
これに対して、中学受験を予定しているママたちに聞いた平均睡眠時間は、10時間以上が14.5%、8~9時間が半数近い47.1%、6~7時間が32.4%、5時間以内が6.1%。つまり7時間以下というお子さまが、38.5%。中学受験生の4割近くが睡眠不足に陥っているかもしれません。これはちょっと心配です。
小学生全般ではどうでしょうか。「青少年の体験活動等に関する実態調査」にある就寝時間と起床時間のデータから睡眠時間を推定すると、小学4年生で9~10時間、小学6年生で8~9時間。やはり中学受験を目指すと、睡眠時間が短くなる傾向がありそうです。
◆十分な睡眠が勉強したことを脳に定着させる
睡眠は、子どもにとっては成長ホルモンが分泌される貴重な時間。しかも脳は、睡眠中にその日に起こった事や学習したことを整理し、記憶として留めておくべき情報を定着させると言われています。さらに「睡眠時間が短い子は成績や記憶力が低め」ということも、専門家のレポートで立証されています。
なぜ睡眠が成績に影響するのか? 2012年には、その原因が脳科学の面からも解き明かされました。東北大学加齢医学研究所が、5歳~18歳の子を対象に平均睡眠時間と脳の記憶を司る部位である海馬の体積の関係を明らかにしたのです。睡眠時間を十分にとっている子どもは、睡眠時間が短い子どもに比べて海馬の体積が大きくなっていました。
海馬は、ストレスやうつ病、アルツハイマー病などで萎縮することが知られています。海馬が大きいことは、健康面からもとても大切なことであり、加えて記憶の処理を司る領域ですから、学力を向上させる面からも望ましいことなのです。
子どもにとって十分な睡眠とは、冒頭に紹介した西村則康先生だけでなく多くの専門家がすすめている「低学年のうちは10時間、高学年で9時間」です。十分な睡眠をとらないと勉強したことが脳に定着しないのです。“週末の模試のため、今週は少し遅くまで勉強しなさい”と、つい言ったり思ってしまったりすることもあるかと思いますが、成績アップのためにも睡眠を犠牲にすることだけは避けたいですね。
●国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査」
●東北大学加齢医学研究所「健常小児における海馬体積と睡眠時間の相関」
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