子どもの「放課後の居場所」をどう選ぶ?
inter-edu’s eye
共働きのご家庭にとって切実な問題である、子どもが低学年時の放課後の居場所。単なる時間つぶしではなく、安心して楽しく過ごせる「心の拠り所」であってほしいですし、その場所で成長できたら親としても嬉しいですよね。
そこで今回は、エデュママのお子さまが放課後どこで過ごしているのか、またその場所を選択する上でチェックしておきたいポイントを確認しながら、放課後の在り方を一緒に考えていきましょう。
共働き家庭、お子さまの放課後の居場所は?
【共働きの方へ】小1~小3のお子さま、放課後は主にどこで過ごしていますか(過ごしていましたか)?
アンケート結果の上位3つは、放課後児童クラブ…43.4%、自宅…21.1%、民間学童…10.5%となりました。
約4割がいわゆる「学童」で過ごすという結果ですが、それ以外は、さまざまな居場所を選択していることが分かります。
実は、学童をめぐっては、「小1の壁」と言われるぐらい、保育所と同じような待機児童問題があります。また、学童で長時間預けられるところは少ないこともあり、アンケートの結果には、そういった影響があるのかもしれません。
学童での過ごし方について、アンケートの自由回答では、
「満足いくまで、遊んでいたようです。運動スペースもあるところだったので、エネルギーも発散! 漫画もいっぱいあって、親がうらやましいくらいでした。コマやけん玉などの日本の文化にも触れられました。また、学校ごとでない学童では違う小学校にも友達ができ、うちの子たちには、とても良い場所でした。」
と、充実した放課後を過ごせたという声もありました。
放課後を過ごす場所は、やはり安心して楽しく過ごせることがとても大切です。
そこで、アンケート結果の上位3つの居場所について、現状はどうなのか、また選ぶ上でチェックしておきたいポイントをまとめました。
放課後の居場所、選択のチェックポイントはここ!
放課後児童クラブ
先ほど触れた放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童問題。平成28年放課後児童クラブの実施状況によると、待機児童は17,203人となっていますが、学童に申請していない、預け先がないから働きたくても働けない潜在的な人数はもっと多いと思われます。
そういった働く意欲のある女性たちが活躍できるようにと、文部科学省、厚生労働省で「放課後子ども総合プラン」を策定し、学童の数を増やす取り組みを行っています。
具体的には、2018年度末までに放課後児童クラブにて新たに30万人分の受け入れ体制を整備し、放課後子供教室を約2万か所、そのうち放課後子供教室との一体型を1万か所以上にすることを目指しています。
放課後子供教室とは、放課後や土曜日に小学校の特別教室等を活用して、子どもたちの安全・安心な居場所をつくり、地域住民等の協力を得て、子どもたちとともに読書・学習の場の提供やスポーツ・文化活動等を展開する事業です。
自治体によって異なりますが、地域のボランティアの方が昔遊びを教えたり、フラダンスや囲碁を習えたりと、さまざまな体験プログラムが用意されています。
安心して預けられ、さらにさまざまな体験学習ができたら、充実した放課後生活を送れそうです。
しかし、“一体型”はまだ発展途中で課題も多くあります。
放課後の小学校を活用したアフタースクールを開校している、放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん「学童保育はなぜ足りないのか」の記事では、
「少しずつですが、学校の中の学童保育は増えている状況と言えますが、学校内の余裕教室の状況に変化もあり、急速に増えているとは言い難い状態です。また『学校ですべて放課後が完結する』ことや『学童保育を学校で行うことで大規模化する』ことへの懸念の声もあります。学校に学童を作ったらすべて解決、というわけではなさそうです。」
と、問題点も指摘されています。
また、何十年も運営している地域からの信頼も厚い学童との一体化においては、変化への対応に親御さんへの負担も予想されます。
自治体や地域によって事情は異なりますので、住んでいる地域はどうなのかしっかり情報を掴んでいきましょう。
自宅
お子さまの祖父母と同居している、もしくは祖父母やシッターが来てくれるケースは安心ですが、やむを得ず子ども一人で自宅にいるケースもあるでしょう。その場合は防犯対策を考えておく必要があります。
また、学童では学習時間や外遊び時間が決められ、メリハリのある放課後を過ごすことができますが、自宅では子どもが自由に過ごせる分、だらだらとテレビを見たり、ゲーム漬けの心配も。
自宅で一人で過ごすことは、子どもの自主性を育てるというメリットもあるので、スケジュールを一緒に作ったりしながら、どう過ごしたかをしっかり見ていきたいところです。
民間学童
近年民間学童も増えてきており、鉄道事業者や学習塾、スポーツクラブが運営する学童など、その母体は多種多様です。
駅に隣接した学童ですとお迎えに便利ですし、預け先で習い事や学習が行えるのは、忙しく教育熱心な親御さんにとってメリットがあるでしょう。
しかし高額なところや、開所から間もないところも多く、利益重視で質を伴わない施設もあるようなので、安心して預けられるかどうかは念入りなリサーチが必要です。
特に「保育」をどれだけ重視しているかが見極めポイントとなるでしょう。
これからの放課後の在り方とは?
放課後の居場所を通じて、学校、家庭とはまた異なる人とのふれあいや体験は、子どもを大きく成長させてくれることでしょう。
また子どもにとって、第二の家のような居場所になると心の安定にもつながるのではないでしょうか。
子どもたちが安心して楽しく過ごせる場所づくりを推進している、放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さんに、これからの放課後の在り方についてうかがいました。
今、放課後の世界は、残念ながら子どもたちが自由に過ごし方を選ぶのが難しい状況にあります。
こうした状況を私たち大人がしっかりと理解し、かつての日本にあったような、自由で伸びやかで豊かな放課後の時間を社会全体で作り上げていくことが重要だと思います。
もちろん時計の針を戻すことは出来ませんので、現代に合った形の放課後の世界を実現していくことが必要です。
そして、居場所の環境づくりにおいては、友だちと思いきり遊びたい子、一人でのんびり過ごしたい子、何かに挑戦したい子、それぞれにあった過ごし方ができ、また見守る大人が「子どもたち一人ひとりの良いところや得意なところをみつけて伸ばしてあげられること」が大切だと考えています。
親世代が子どもの頃は、子どもたちだけで自由に遊べる安心な環境がありました。
その中で社会性や自主性、想像力など生きる上でも大切な力が育まれてきましたが、今はその実現が難しい時代です。大人が意識してその環境を作っていかないと、ますます子どもたちは窮屈な放課後を過ごすことになります。そして放課後がつまらないものになってしまうと、かつて放課後を通じて身につけることができた力を失うことにもなりかねません。
共働きで忙しい毎日の中では、保育所のように預けていれば安心という環境を求めていきたいところですが、発展途中の今、親の視点が必要です。
一緒に作り上げていく気持ちで「放課後の居場所」に関心を寄せてみてはいかがでしょうか。
■参照元:厚生労働省 平成28年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
■協力:放課後NPOアフタースクール
2005年に活動をスタートさせ、8年間で17校のアフタースクールを開校、プログラムを提供した小学校は100校以上にも上る。アフタースクールが地域社会にもたらす女性活躍支援や、組織の働き方改革が評価され、東京都女性活躍推進大賞「地域分野」大賞も受賞。今後の活躍が期待される。
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