家族旅行での「旅育」が中学受験にも活きてくる!
inter-edu’s eye
夏休みを前に、旅行の計画をしているご家庭も多いことでしょう。どこへ行こうか、何をしようかと考えるだけでワクワクしますよね。一方、中学受験の勉強で忙しいし、そんな気持ちの余裕がない!というご家庭もあるかもしれません。そこで、「旅育」を意識した一味違う旅行を計画してみてはいかがでしょうか? アンケート結果や「旅育」に関する論文を踏まえ、中学受験勉強中でも「後ろめたくない」旅行を提案したいと思います!
中学受験生、家族旅行は小学6年生で「控えめ程度」
Q. 今年家族旅行を計画していますか?
インターエデュで行ったアンケート結果を見ると、小学1~3年生と小学4年生では、「1泊以上の国内旅行」…約40%、「海外旅行」…約30%、「日帰り旅行」…約6%とほぼ同じ割合になりました。
小学5年生では、「1泊以上の国内旅行」…47.6%、「海外旅行」…26.0%、「行く予定はない」…10.4%で、小学6年生では、「1泊以上の国内旅行」…33.5%、「海外旅行」…15.1%、「行く予定はない」…27.4%となりました。
それぞれの結果を比較すると、小学5年生で「国内旅行」が増え、小学6年生で「行く予定はない」というご家庭が増えているのも分かります。その理由として、
・6年生になると中学受験勉強が忙しくなり、5年生のうちに旅行をしておこうと考えるため。
・大手塾へ通う6年生では、年間約100万円の費用がかかり、支出を抑えるため。
・6年生ともなると、思春期で、子どもが親と一緒の旅行を嫌がるため。
といったことが考えられます。
そうはいっても、アンケート結果から、小学6年生で、比較的少なくなるといった程度でしょう。
中学受験生とはいえ、小学校最後の年に家族旅行を控えるのはちょっと寂しいですよね。中学生になると家族旅行の機会も少なくなりますし、小学生のうちにできるだけ家族旅行に行っておきたいという気持ちもあると思います。
そこで、旅行は子どもを成長させ、中学受験にも役立つという視点で考えてみましょう。
「旅育」で子どもは伸びる!
ここ数年「旅育」という言葉を聞くようになりました。旅行会社の販促用の言葉のようにも思えますが、実は研究結果から、旅行には教育的価値があることが証明されています。
東洋大学国際地域学部国際観光学科の森下昌美教授の論文「“旅育”の現状と定義を考える」では、子どものころの旅行経験と成人後の志向・性格との関連性において、
「適応力、自主性、コミュニケーション力、向社会性・社会性、思いやり・精神の安定性の5つの点において、自分自身を肯定的にとらえている割合が家族旅行経験の多い層で高くなっている。」
という調査結果が報告されています。
旅育の定義としては、「旅は人間性の成長を促すとする考え方で、旅によって得られる知識や興味・価値観の広がり、共感力を人の成長に役立てようとするもの。」とし、「旅育」には3つの要素があるとして、
「①旅の体験(異文化・ 非日常体験、旅先での交流など)、②人との時間共有(家族・友人との共通体験、 想い出づくり、日常と比較した共有時間の長さなど)、③旅を素材とした教育(職業教育、郷土教育、地理・歴史教育、国際化教育など)、最も効果的な旅育にするためには、これら3つの要素を全て満たすことが必要である。」
と述べています。
「旅育」の定義からすると、人格が形成される子どものうちに、多くの旅を経験することが大切だと思えてきますね。
次に、「旅育」の3つの要素も踏まえながら、中学受験に活かせる家族旅行について考えてみましょう。
中学受験にも活かせる「家族旅行」のコツ
「旅育」を意識した家族旅行は、子どもを伸ばせる機会であり、メリットがあることが分かりました。さらに中学受験に活かせれば、旅行に行っている場合ではないのでは…という後ろめたい気持ちもなくなりますよね。
では、家族旅行を中学受験にどう活かしたらよいのでしょうか。
掲示板「【1191404】受験社会に役立つ国内旅行先教えて下さい」に寄せられた投稿から、「中学受験にも活かせる『家族旅行』のコツ」を考えてみたいと思います。
※掲示板からの引用文は、一部の編集をのぞき、原文を尊重して、そのまま掲載しています。
連れて行く時期(学年)にもよるかも知れません。上の子は、塾で歴史が始まったばかりの5年冬休みに京都へ旅行したところ、歴史嫌いから一転、歴史好きになりました。下の子は、新5年の春休みに連れて行きましたが、早過ぎたのか、何を解説してもちんぷんかんぷんのようす。歴史の授業が始まっても、特に効果は感じられませんでした。(投稿者: 歴史さん)
本に載っている内容を実際に見たり、体験したりすると、「このことか!」と子どもは興奮しますよね。そこで興味が湧いたり、覚えたりするので、タイミングは大切かもしれません。
上の子の受験を考えたときは、47都道府県全国制覇しました。だからといって、地理や歴史が得意になったかというとそうでもなく…。理由はただ漫然と観光していたからなんですね。京都、奈良では「もう、お寺はいやだ」と言う始末…。自分が行きたいところ、興味を持ったところなら覚えているのでしょうが。(投稿者: しろくま先生へさん)
受験に役立つからと言って、親ばかりが張り切ってしまうと、その効果は薄くなってしまうかもしれませんね。とはいっても、誘い出さなければ興味も持てないので、そこはトライ&エラーでしょう。また、子どもの興味を引き出し、自分から「行ってみたい」と言える環境作りも大切ですね。
我が家も世界遺産はたくさん行き、 夏休みの宿題に、写真をのせて旅行記をつくりました。 金閣寺や銀閣寺、平等院はもちろん清水寺、法隆寺、厳島神社、原爆ドーム…。結果的にサピに載っている歴史的建造物はかなりの数訪れたこととなりました。
アトラス片手に新幹線で、富士山はどちらに見えるか、東海道新幹線が開通した時代背景など説明した覚えがあります。(投稿者: 終了組さん)
旅行をレポートにすると、さらに記憶に残るのはもちろんのこと、分析してまとめる力も身につきます。旅行の移動中というと、子どもがゲームをして、親は寝る時間というご家庭も多いのではないでしょうか。せっかく長く一緒にいられる貴重な機会ですから、このように会話を楽しみながら、学習にも役立てられるよう意識してみるといいかもしれませんね。
世界遺産や歴史的建造物を訪れることで、異文化や非日常を味わえます。また、親と共通の体験ができ、学ぶことができます。まさに「旅育」を意識し、中学受験に活かせる旅行になりますね。
掲示板「【1191404】受験社会に役立つ国内旅行先教えて下さい」では、旅行先のアイデアもたくさんあるので、ぜひご参考にしてみてください。
今の小学生は習い事に塾にと、なにかと忙しい毎日を過ごしていますが、その教育的価値と同じぐらい、旅行にも価値があるように思います。夏休みの旅行の計画を立てたご家庭も、これからのご家庭も、「旅育」を意識して、準備をしてみてはいかがでしょうか。
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