こんにちは。
SS-1副代表の馬屋原と申します。
最後は、この状況の中で保護者さまがどうストレスと向き合っていったらよいか、というお話で締めくくりたいと思います。
長期戦のカギは保護者のストレスマネジメント
自由に外に出られないお子さまのストレスはもちろん大きいでしょう。でもそれ以上に、自分だけでなくお子さまの健康管理にも神経を尖らせていらっしゃる保護者の方のストレスたるや、尋常ではないかと思われます。
保護者の方のストレスは、遅かれ早かれ確実にお子さんに伝播します。ですから保護者の方のセルフケア、ストレスマネジメントも非常に大切になってきます。
ストレスフルな状況を乗り越えるためのひとつのカギは、まず、目の前の課題を「変えられるもの」と「変えられないもの」とで区別してとらえることです。
たとえば「対面での授業」のほとんどは、現状、提供不可能です。これは「変えられないもの」ですから、この状況が続く限り「オンライン」と「対面」を比べるのは不毛です。まずは、私たち大人がオンラインで提供されるメニューをうまく使う方法を考え、どうしてもダメならその中でも「変えられること」を見つけて実行していくしかありません。
また、「変えられるもの」と「変えられないもの」の話の中で、一つ誤解しやすいことは、自分の「感情」は、実は多くの場合「変えられないもの」に入るということです。不安や焦り、イライラは自然にわいてくるものですから、それ自体はどうしようもありません。
変えられるのは「行動」や「環境」、そして「言葉」です。
たとえ、塾の対応に何らかの不満があったとしても、それを子どもの前で口に出すわけにはいきません。親の塾に対する不満は子どもが勉強しない言い訳になります。動画のクオリティに関しても同様です。親が「つまらない」と言った瞬間、それは子どもにとって「見なくてもよいもの」になってしまいます。
オンラインお茶会で、お互いの話を聞き合っている方もいらっしゃれば、twitterで鍵アカを作って不満を吐露されている方もいらっしゃいます。そのまま発信するかどうかは別として、自分の感情を言葉にするだけでも前に進むきっかけになることがあります。
SS-1で毎月行っている保護者様との面談も、順次、オンラインに切り替えてさせていただいてきましたが、全体的にいつもより面談の時間が長くなっています。たまに臨時で行うオンラインの集団授業に、画面に食いつくように参加してくださるお子さんも少なくありません。多くの方が外部とのコミュニケーションに飢えているように感じます。
家族以外の人と物理的に対面することが難しくても、「無いよりはマシ」の精神でオンライン上の「窓」を開くのです。そのように工夫してなどして自分自身のストレスを処理しつつ、お子さんに向き合う心の余裕をわずかでも作りましょう。なかなか簡単なことではありませんが、保護者の方の「ひとりの時間の確保」も重要になってきそうです。
また皆で会える日を楽しみに待ちながら、この苦しい時期を乗り越えていきましょう。
馬屋原吉博(うまやはら よしひろ)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校・進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。
必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりをもち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。
著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)、『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。