第14回 元中受ママが伝授!受験後のお子さまの心のケアは?

… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。

Q 希望の学校に入れなかった場合の子どもに対する心のケアは?
今年の中学受験が終わりました 。希望の中学の入学切符を手にし損ねたご家庭は、今が一番耐え時かもしれません。明けない夜はない、という言葉通り、未来は開けているのに、気持ちが沈みがちになる。それは、自然なことだと思います。今回はお子さまに対しての受験後の心のケアについてお話ししていきます。

親は子の鑑!まずは親御さんが前向きに

前向きに

私自身、わが子の不合格は、生徒の不合格とはまた異なるショックを受けました。
頭では納得できているのに、心にぽっかり穴が空いたような空虚さがあって、胸のあたりがスースーするのです。でも、それでもやはりこうお伝えしたいと思います。まずは保護者が、前を向くところをお子さまに見せてください。

希望の中学に入れなくて落ち込む気持ちは、親子で同じようでいて、少し違います。親は、はじめは、子どもへの不憫さ、自分を責める気持ちでいっぱいになるでしょう。
ですが、時間とともに、社会の一員である以上、かけた時間や費用に気持ちが行ったり、周囲の目が気になったり、お子さまの将来に不安を感じたり、という心の動きになる可能性があります。

でも、お子さまからすると、一番つらいのは、「親の期待に沿えなかった自分」なのです。もちろん、お友だちの目も気になる、自分も目指していた学校に行きたかったけど行けなかった、その残念な気持ち、でもそれ以上に何よりお子さまが気にするのは、親の反応です。

子どもの立ち直りを邪魔しているのは親?

邪魔しているのは親

私たち大人は、ときに子どものたくましさに気づかないことがあります。少々の傷に対しては、子どもはしなやかに立ち直ります。それを邪魔するのは、親の落ち込み。親がいつまでも不合格を引きずることです。

「もっと勉強しておけばよかったね」などという言葉は、つい口をついて出てきます。
でも、「あのときああしておけばよかったのに」という後悔の言葉は、お子さまの傷となって残ります。
もちろん、バネにしてがんばる、そんなお子さまもいるでしょう。
先ほど書きました。子どもはたくましい、と。
でもね、子どものたくましさ、生命力をいとも簡単に折ることができるのは、親だけです。それくらい、子どもにとって、親は大好きで大切で、期待に応えたい存在なのです。

子どもだって知っています。自分のために、親がどれだけ頑張ってくれたか。
その期待に応えられなかった、その落ち込みが深ければ深いほど、数こそ少ないものの、こじれて、ねじれて、暴れたり、不登校になったりする子も出てきてしまうのです。

親は、泰然自若と構えろ、と申し上げるつもりはありません。
落ち込んでもいい、悲しんでもいい、でも引きずらないこと。
「まっ、人生、こんなこともあるさ」という割り切り、振り切り、切り替えを、お子さまの前で鮮やかにやってのけてください。

中学受験は失敗しても幸せな受験?

幸せな受験

大切なのは、「努力は無駄ではない」ということを教えられるかどうか。
偉人たちの言葉を引用してもいいかもしれません。きれいごとと感じてもそれでいい。理想はすべからくきれいごとで、そのきれいごとこそが、人を未来へ駆り立てるのです。

「人は何度やりそこなっても、「もういっぺん」の勇気を失わなければ、かならずものになる。」(松下幸之助)私はこの言葉に心動かされます。

「もういっぺん、もういっぺん」来るべき次のチャンスに備えよう。努力し続けよう。
中学受験は、行き先のない大学受験とは異なり、行き先が待っている幸せな受験です。挑んで失敗したら、またその先で別の形のチャレンジができる。
もちろん、行かせたかった学校に行けるチャンスはもうないかもしれません。
でも、これから先、いくらでもまた本人に別の形で行きたい学校、場所、国ができるでしょう。そのときは、「もういっぺん」がんばる、努力する。そしてまたダメだったら「もういっぺん」。そうやってあきらめなければ、最後は成功する、というのが松下幸之助の哲学であったようです。
親もお子さまの「もういっぺん」の力を信じてあげてください。
大好きな両親に信じてもらえている、それこそが子どもの努力の原動力となるのですから。

中学受験ギモン解決所

春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。


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