第20回 元中受ママが伝授! 国語の家庭学習はどうすればいいの?
… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。
- Q 国語の家庭学習はどのように進めればよいのでしょうか?
- A 国語ほど家庭学習がむずかしい教科はありません。
インターエデュの掲示板でも「国語の家庭学習の方法がわからない…」という書き込みを見かけます。
もしも、このお悩みが自分の担当することになったご家庭のものであったなら、私の回答はいつも同じです。
「知識分野(漢字、ことば、文法など)は、一日15~30分程度していきましょう。読解の家庭学習は必要ありません。授業にお任せください。」
この「読解の家庭学習は必要ありません」という言葉は、とてもインパクトが強く、みなさんを戸惑わせてしまいますが、若干の条件つきではあるものの「真実」です。
そのあたり、誤解のないように説明いたします。
読解の家庭学習はとても困難!
まず、読解の家庭学習として誤ったやり方を見てみましょう。
自宅で宿題となっている読解問題を読んで解き、解答を見て丸をつける。この繰り返しに意味はありません。
なぜなら国語の解答を見て間違ったところを学習する、ということは、大変難しい作業だからです。
そもそも国語の読解力に自信がない小学生が、解答の説明を読んで、設問のパターンをとらえ、どんな素材文が出題されても解答できる力を自分で養うには無理があります。
国語は、なぜその答えになったのか、その根拠はどうやって導けるのか、という根本原理を押さえなければ、たとえ何冊問題集を解いたところで、力はつかない教科です。
そして、解答を見て自力でその根本原理をつかめる生徒はほとんどいない。
これが、国語の読解の家庭学習を困難にしている原因です。
我流で国語の問題を何題解いたところで、力にならないのですから、その時間は「まったくの無駄」です。算数や理科、社会の学習に時間を割いた方がよほど有意義です。
国語の「得点力」を上げようと思ったら、まずはどんな素材文にも対応しうる、根本原理をプロに習うのが手っ取り早い方法なのです。
逆に言えば、国語だけはプロに根本原理、いわゆる汎用的な解法を教わり、授業やテストを演習時間ととらえて、その解法の定着にあたれば、自宅で読解の学習は不要なのです。
解答の活用次第では、家庭学習でも効果あり
個別指導塾の講師である私がそんなことを言うと、自塾の宣伝臭が漂いますし、プロ講師に習う環境にないご家庭のためにも、家庭学習の比較的効果の高い方法をお教えいたしましょう。
先程、解答の説明を読んで、力をつけるのは、小学生には難しい作業だとお伝えしました。これは、逆に言えば、解答を活用さえすれば、国語の読解の家庭学習は可能だということです。
一通り解き終わってからが読解の本当の学習時間となります。
選択肢問題の学習方法からお教えしましょう。
まず、傍線部の言い換えの選択肢問題の場合です。
傍線部は「どういうことですか」と聞かれている場合、正解の選択肢と傍線部とを並べて、どの部分が重なっているのか、選択肢文を区切ってから当てはめてみてください。
このとき、傍線部と正解の選択肢を同じ内容である、ということを意識しながら、声に出して読み上げてみるのが効果的です。
次に「傍線部の結果」や「傍線部になった原因」が聞かれている場合の選択肢問題の場合、正解の選択肢と同じ内容が書かれている箇所を本文から探し当ててください。
同じく、声に出して読み比べてみることです。
この学習の肝心なところは、小学生が「言い換える」ということは「説明を足したり、別の表現に置き換えたり」することである、ということを体感することにあります。
つづいて、記述問題です。
模範解答の記述を要素に分解してから、本文のどこに同じ内容が書かれているのか探し当てて、線を引き、これも読み比べてみてください。
そして、自分の解答も要素に分解し、模範解答と照らして同じ内容があるかどうかを確かめましょう。
上記の方法は、小学生には難度が高いので、必ず親御さんが付き添って、「こことここは同じ内容だね」と言いながら、線を引く作業をサポートしてあげることです。
国語の70%以上は、「言い換え問題」です。大学入試までこれは、変わりません。
要は、どこが言い換えなのか、その換え方を確かめていくことで、少しずつ「言い換えの視点」が身についていく。そのための学習方法です。
学問に王道なし。とはいえ、どんな道にも抜け道はあるもの。
いろんな問題集をやり散らかすよりも、お通いの塾で汎用的な読解方法を学び、それを実践することこそが、国語の「解答力」を高める近道です。国語ほど、授業が大切な科目はないのです。
春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。
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