試験当日、最後まで問題が解けない!を解決(国語編) 第25回
… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。
- Q 試験で、国語はいつも時間が足りなくて、最後まで解けません。
- A 国語の試験にあった時間配分をマスターしましょう。
国語、算数、理科、社会。
学校によるけれど、中学受験に必要な4科目のなかで、「時間が足りなかった!」の筆頭に上がるのが、「国語」という教科ではないでしょうか。
もちろん算数だって時間不足で解ききることができなかった、というお声はよく聞きます。
でも、算数の時間不足と国語の時間不足とでは、同じ不足でも、実は質がまったく異なります。
今回は、国語の試験時の時間不足解消法についてお話いたします。
算数の時間不足と国語の時間不足の違い
模試などでは、算数は計算問題に始まり、問題番号が大きくなるほど難易度があがる。が定番ですね。
しかし入試本番では、難易度が順番通りになっていないことが多く、そのため、「捨て問」と言われる「難度が高くて直接合否に関係しない問題」、すなわち「解かなくてもよい問題」と「差がつきやすく、合否にダイレクトに関係する問題」、すなわち「解くべき問題」とを見分ける力が必要になるのです。
きちんと捨て問を見極め、解くべき問題のみを解ききったとき、算数は得点できるのですね。
それに比して、国語は、漢字・語句問題の知識系以外は、大問2題の「文学的文章(物語文・一部の随筆文)」と「説明的文章(説明文・論説文・一部の随筆文)」です。
接続語や擬態語などの空欄補充問題が前半に出やすく、大型記述は最後の方、というざっくりとした規則性はあるものの、基本、国語の問題はすべて解ききって初めて得点になるのです。
算数と異なり、どれが捨て問だったか、というのは正答率を見るまでわからない。
もしかしたら一見難しそうでも、実は解けた、ということは国語ではよくあることで、捨て問、という発想自体、国語にはありません。
ですから、試験時の算数の時間不足は、捨て問を見極めることができずに、無駄な時間を費やした結果、空欄が目立つ、という状態であり、逆に国語の時間不足は、1問当たりのかかる時間が微妙に延びて、最終的に後半駆け足になって、結局記述の空欄ができた、という状態なのです。
では、国語の試験時に時間内に解ききるには、どうすればよいのでしょうか。
国語の試験時に時間内で解ききる方法
1. 読むスピードは、「理解できるスピード」でOK
よく、国語の試験時の時間不足解消に「速く読むこと」を推奨する方もいますが、これは実は危険です。
本文の流れが頭に入らないスピードで読んでしまうと、どのみち設問を解くときに非効率で、傍線部の周辺から結局読み直すことになってしまいますし、正答率も下がってしまいますよね。
本文を読むスピードはお子さんの理解できるスピードでいいのです。
ただし、リミットは決めて心持ち急ぎ気味で読むようにアドバイスしてください。
いや、うちの子、読むのは遅いので、それじゃあ間に合わない。
いえいえ。試験時の時間調整は、本文を読むスピードでおこなうものではないのです。
国語の時間調整は、設問の処理スピードを上げること。
では、そのあたり、詳細に説明いたします。
2. 解答用紙をまず見て、時間配分する
「ようい、はじめ!」の声で試験が開始されたら、まずは落ち着いて解答用紙を見ましょう。
解く順番は(1)漢字・語句知識(2)記述が少ない方の大問(3)記述が多い方の大問が定番です。
まず、(1)は目標5分、どんなに時間がかかっても7、8分で片付けます。コツは、考え込まないこと。忘れていたら、後で思い出すこともあります、先に進みましょう。
残り時間約40分を大問の数2で割ると20分ずつですね。
(2)18分(3)21分、この微妙な差がこれまたコツ。
(2)は記述が少ないのなら、選択肢問題が多いということ。気持ち急いで選んでいきます。そして、18分経って(2)が解き終わらなくても、とにかく一旦、もう一題の大問に進んでください。(3)は、若干余裕のある21分。気持ちゆったり始められますね。
記述は時間がかかるので、文末を先に決めて、問題番号の上に大きく書いておきます。「こと」「点」「性格」など。
本文で記述に使えそうなか所に線を引きます。必ず、線を引いて、視覚化してからまとめます。少々ぎこちないつなぎ方や、足りない情報も気にすることはありません。記述で大切なのは、部分点狙いです。
選択肢は、下から比べましょう。選択肢の選択のコツは、違いを浮き彫りにして比較することです。本文から解答と思われるところに線を引いておくのですが、おそらく選択肢部分の言いかえが本文にあるはず。キーワードを手掛かりにして探し、線を引きましょう。
それから、吟味します。選択肢文が、本文の線を引いたところで正確となる言い換えの形のものを選びましょう。
すべて計画通りに解き終わったとき、おそらく時間は多くて5分くらい残っているはずです。
この残り時間で、不安だった問題、記述のつけたしなど、やりのこしたことをガッとやると、あら不思議。制限時間ぴったりに終わりました。ということになります。
国語の点数が一番伸びるのが、この「時間ぴったり、空欄なし」という状態のとき。
不思議なものですね。
自宅での練習は?
国語を制限時間内に解ききる練習は、過去の模試を使うか、受験予定のない学校の入試問題を使ってください。
国語の家庭学習にあまり時間をかけすぎるのも、非効率です。まずは、大問1題を20分以内で解く、というところから始めてみてください。
難度は、実力よりやや易しめの問題を選ぶのがコツです。
解ききるときの「感覚」を身につけるのが大切だからです。
国語は、一旦力がつくとまず落ちることのない、しかもメンテナンスが少なくて済む、非常に有能な入試の味方になります。
志望校に合わせて、設問形式を見極めて攻略すれば、短時間でも得点が期待できる教科でもあります。
そこも算数と違うところ。
ぜひ、国語の試験を楽しんでください。
春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。
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