受験後の「今」だからこそ、親子でやっておきたいこと
… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。
- Q 中学受験で身についた学習習慣。続けさせるにはどうしたらよいでしょうか。
- A 次の目標を定めてチャレンジする楽しさを持続させることです。
中学受験後、小学校卒業後はせっかく身についた学習習慣が途切れがちです。
継続させるためには次の目標を設定して、先取り学習をすること。
今回は、小学6年生のこの時期にしておきたい、目標設定の仕方と学習内容についてお話しいたします。
「少しは休ませてあげたい…」でもこの時期にしかできないことがある
中学受験、お疲れさまでした。
悔いのない受験となりましたことを、ただひたすら願っております。
どんな結果であれ、今回の体験を人生の糧にしてより良い未来を切り拓いて行けるか否かは、「これから」の自分にかかっています。
中学受験は、3年かけて準備する長い受験です。
そのためか、毎年受験が終わってから「あっ、塾の時間だ。あっ、もう行かなくていいんだ。」なんか変な感じだと笑いながら報告してくれるお子さまがいます。
この「変な感じ」が残っているうちに、ぜひ次のステップに移る準備をしておきましょう。
「少しは休ませてあげたい」と親は思うもの。
「これだけ頑張ったんだから、今まで我慢していたこと、やっていいよ。」と親は言いたいもの。
でも、真剣に打ち込み、真剣に戦った後の彼らは、それ以前の彼らではありません。
以前どうしてもやりたかったゲームや級友との遊び、行楽は、どこか間の抜けた空虚さが伴います。
もちろん、楽しいんですよ。でも、なんか「以前ほど夢中になって楽しめない」。
これがお子さまの成長の証。
本気の勝負を挑んで結果を受け止めた彼らは、心のどこかでその厳しさに耐えた自分の力を感じています。
ですから、その静かな熱が冷めないうちに、次の目標を定めてチャレンジする楽しさを持続させることは、この時期にしかできない大事な方向づけではないでしょうか。
少し休息したら、次に向かう。それは、「かわいそう」ではなく「頼もしい」姿なのだと親も頭を切り替えましょう。
「受験終わったら勉強を全くしなくなって」とこぼすのは、この入試直後のご家庭の意識の切り替えがうまくいかなかった例です。
では、具体的にどのように次の目標を設定していけばよいのでしょうか。
「今」意識する次の目標が「将来の夢」に繋がる
小中大目標を設定する
お子さまに来るべき学校生活をイメージさせる際に大事なことは、親子で目標を立てて、その達成のためにやるべきことを明確にしておくことです。
入学直後にテストをする学校もあります。
中高一貫校の場合、この「最初のテスト」はどこのご家庭でも相当力を入れてきます。
それこそ今後6年間をうらなうテスト、という意味以上に、クラス内の立ち位置位を決める、という意味でも重要なテストです。
こちらをまずは小さな目標にします。
中目標としては、年間のテストがどのように行われるのか、授業後の復習、宿題、予習の学習計画を「今から」立てておくことです。
ご存知のとおり、中高一貫校は、授業の進度はとても早く、特に英語と数学は、学校によってはあれよあれよという間に進む二大教科です。
最後に大目標です。
お子さまと将来を考え、希望する大学を話し合っておきます。
但し、これはお子さまに「(仮)でいいよ」と言っておきましょう。
6年間の多感な時期、周囲の影響を受け、将来の夢も展望もいくらでも変化する時期ですので、敢えて固定観念を持つよりも「今のところは」の(仮)の将来の夢で十分です。
目標は高いほうが矢も高く飛ぶ。ということで、少し高めの志望校設定をし、過去の合格実績から、この大学に合格するには常に学年○番以上、と具体的な順位に落とし込んでおきます。
実際は、定期テストの結果よりも模試の結果のほうが重要になってきますから、一概に言えないのですが、そこは難しく考える必要はありません。
お子さまに目標をもたせ、「何のための勉強なのか」という点をご家庭で共有できればOKです。
先取り学習、ここを押さえれば入学後も安心!
学習習慣をつけるために
それでは、今日から始められる学習をアドバイスします。
忘れてはならないのが、知識系の先取り。
英単語、数学の公式、漢字・文法、という英語・数学・国語の3大知識を早めにとりかかって貯金しておくこと。
各塾で新中1のためのスタートダッシュ講座をおこなっていますが、活用の際は、単に通っただけ、とならないよう、カリキュラムがしっかりしているだけでなく、身についたことを確認できるところに行かせましょう。
できれば、進学先の卒業生に個別指導してもらうことで、より精度の高い事前準備が見込めます。
大学受験を見据えた場合、中学受験とは異なり、プロの講師よりも身近な先輩家庭教師のほうが、お子さまに向いている可能性もあるということです。
英語は、アルファベットの練習をし、英検の学習を始めましょう。
一日10単語覚えます。
できれば、発音を確かめられる音声付きの教材を手に入れましょう。
多くの中高一貫校で、英検は使われていますし、いずれは必要な英単語という点で今から覚えておいて損はありません。
数学も思い切って始めてしまいましょう。
どこの学校でも初めは数の性質から学びます。これを敢えて1次方程式から始めます。
なぜなら、数の性質の授業はあっという間に終わるから。理解に時間のかからない単元なので、少し先を見据えて躓きそうな単元から手をつけたほうが効率がよいのです。
国語は、学校によって学習法が異なってきますので、先取りが難しい教科です。
先取りするなら、構成に沿った文章作成の練習をしましょう。
中高一貫校では、今後多くの作文、感想文の類を書かされます。要素別に順番を押さえて、それに沿って書く練習をすれば、レポート形式の宿題も時間をかけずに高品質で書けるようになります。
構成に関しては、多くの参考書籍も出ています。探してみてください。
最後に通塾をお勧めしておきます。
また塾に通うの!?
と思われるかもしれませんが、成績が振るわなくなってから塾に投資するよりも初めから学習習慣がつき、良い成績を修めることができる、という点で結果として経済的です。
しかも、中学生のうちは、お子さまに合った塾を色々試す試行錯誤時期と割り切れば、今のうちに気になる塾の短期講習を申し込む、というのは、ひとつの道筋ではあります。
東大や医学部進学のご家庭の多くは、意識の高いご家庭です。意識の高いご家庭は驚くほど先を読んで行動が速いのが特長。
いつになったら、子育ての手が離れるの?と思われずに、中1の間は伴走し、徐々に自立を促していくのが、中高一貫校での学習サイクルがうまく回っていくコツです。
親はもうひと踏ん張り、ですね。
春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。
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