楽しみながらお父さまが受験をサポート!麻布中学校合格秘話
第32回では麻布中学校に合格した親子にインタビュー。ご自身も中学受験経験があるお父さまの関わり方は、どのようなものだったのでしょうか。なかなか本気になってくれないお子さまとの接し方などもうかがってきました。
息子に伸び伸びと6年間を過ごしてほしい
お父さまの意向で中学受験
エデュ:麻布中学校への合格おめでとうございます。はじめに中学受験をしようと思ったきっかけを教えてください。
Aくん:最初は自分の意志ではなく父の意向が大きかったです。3年生の2月頃に、SAPIXに通い始めたのですが、学年が上がるにつれ徐々に受験に対する意識が高まっていきました。
エデュ:お父さまはなぜ中学受験をさせようと思ったのでしょうか?
お父さま:私自身が中学受験を経験し、中高生活の6年間が楽しく、伸び伸びと過ごせたので息子にもそういう生活を送ってもらいたいと考えていたからです。
エデュ:お父さまご自身が中学受験経験者なのですね。SAPIXを選ばれた理由を教えてください。
お父さま:合格実績です。入塾の段階では「この学校に通わせたい」というのは決まっていませんでしたが、目指すならレベルの高い学校に行かせたいと思っていたので、一番合格実績が高いSAPIXを選びました。最初はもし合わなかったらどうしようという不安もありましたが、授業形式も息子に合い、楽しく通っていたので選んで良かったと思っています。
エデュ:麻布中学校を受験しようと思ったきっかけは何でしょうか?
Aくん:4年生のときに麻布中学校の文化祭に行ったのがきっかけです。事前情報で制服がなく、自由な校風と聞いていたのですが、実際に参加して自由な感じが自分に合うと思ったので、この学校に絶対に入りたいと思うようになりました。
エデュ:実際に入学してみていかがですか?
Aくん:イメージ通りの学校です。自由で先生も生徒も面白い、でも授業では生徒の質問に一つひとつ丁寧に答える。そんなメリハリのある学校で毎日本当に楽しいです。
土日も楽しみながら中学受験をサポート
算数と理科の苦手科目克服方法
エデュ:当時の得意科目と苦手科目を教えてください。
Aくん:得意科目は国語と社会。苦手科目は算数と理科です。
算数は分からないわけではなくて、ケアレスミスが多くて…。事前に父からのアドバイスで「何度も見直ししなさい」と言われ実践したにもかかわらず最初からミス。そのせいでSAPIXの組み分けテストでもクラスが上がったり、下がったりを繰り返していました。
理科は社会や国語の漢字の暗記はできるのですが、なぜか理科の暗記ができなくて…。自分の頭の中で「理科は苦手でできない」という苦手意識が生まれてしまっていました。
エデュ:算数と理科、それぞれの克服方法を教えてください。
Aくん:母のすすめで5年生の途中から、受験ドクターに通い克服できました。
算数は先生の「途中式をしっかりきれいに書きなさい」というアドバイスを実践していました。こうすることで、自分がどこでミスをしているのかが一目で分かるようになり、ケアレスミスが減っていきました。
理科は麻布専用の対策として、過去問を何回も解き、SAPIXのテキストを毎朝何ページ覚えようと決めて、頑張って覚える。これを何周も繰り返し、そのうえで有名中学校の問題も解いていました。幸い、麻布の理科は計算や知識は問わない記述問題が多かったので、この方法である程度克服できるようになりました。
直前期に一度だけ息子に本気で怒る
エデュ:ご家庭ではどのようなサポートをされていたのでしょうか?
お父さま:子どもに限らず、人間自分が苦手なものは避けがちなので、やるべきことの分量とスケジュール管理を中心にやっていました。土曜日と日曜日に家にあるホワイトボードに月曜日から日曜日にやるべきことを記入。例えば、朝は基礎トレーニングとして漢字学習を何ページから何ページまで。SAPIXや受験ドクターに通う日は勉強する量を調整していたりしました。それを終わったものには線を引き、その日に終わらなかったものは次の日に回したり、こういったサポートを主にしていました。
あとはSAPIXの教材で息子が苦手だと思われるところに付箋を貼り、それをファイルに入れ、渡したりもしていましたね。
エデュ:それはお父さまの中学受験の経験が活かされているのでしょうか?
お父さま:いえ、そんなことはありません。基本的にSAPIXの教材はよく出来ているので、息子が苦手そうだなと思うところを選んで、このぐらいの時間なら終わるかなと調整していただけです。
土日も近くにはいますがつきっきりで教えるわけではなく、息子が分からない部分を教えてあげたりするだけでした。
エデュ:勉強はどのぐらいやっていましたか?
Aくん:実は6年生の春ぐらいまではいまいちスイッチが入らなくて、遊んでばかりいました。そのせいで先ほど父が話していたタスクも全然できなくて、土日に一気に片づけるようなことをやっていましたね。6年生の夏期講習頃から危機感を感じ、平日で3時間、休みの日は6時間の勉強時間を目安にしていましたが、実際にはできていませんでした…。父が書いたメニューをやるかはどうか自己責任。30分勉強しては10分遊んだり、音楽を聴きながらやっていたので、母に怒られてしまうこともありました。
ただ朝の6時30分に起きてやっていた「基礎トレーニング+アルファ」は毎日欠かさずこなしていましたね。時間は30分ぐらいで漢字ドリルや計算ドリルや学校の宿題をするのですが、朝ということもあり集中してやっていました。
エデュ:準備したものをこなしていなくて、叱ってしまうようなことはなかったのでしょうか?
お父さま:ありませんでしたね。やるべきことを準備し、息子の机の後ろに朝私が会社に行く前にセット。私が帰ってきたら「これをやるんだよ」と息子に渡してはいましたが、やったかどうかはチェックしていませんでした。親として応援している立場ですし、私の性格的にも楽しんでやるタイプなので。妻は生真面目なので怒ったりしていましたが、私はある程度緩くやっていました。
ただ一度だけ私も本気で怒ったことがあります。直前期の雪が降った日に、勉強しないで遊びに行ったことがあって。勉強はしないし、直前期で風邪を引く可能性も考えていない。そんな姿を見て「今までの苦労が水の泡になるけど、何を考えているの?」と怒りましたね。さすがに反省したのか、次の日からは気が引き締まったようです。
遊ぶのが大好きな子どもに対してどうすれば?
中学受験における親の役目とは
エデュ:麻布対策でこれはやっておいて良かったというものはありますか?
Aくん:算数で、SAPIXの「スタンダード問題集」です。規則性や場合の数、数の性質などジャンル別に分かれていて、規則性の20回のプリントを2周解いていました。最初は簡単なのですが、徐々に難しくなってきたり、計算式をたくさん書かせる問題があったりして、大変でしたが本番ではやっておいて良かったなと感じました。
あとは算数や社会の記述問題は息抜きに見ていた、「ガイアの夜明け」、「カンブリア宮殿」のジャーナリストの方が話していた内容が意外と役に立ちました。
エデュ:受験を振り返った際の成功談を教えてください。
Aくん:麻布の受験当日、受験生の中で一番早く学校に着いたことです。とくに早く行ったからといって何かあるわけではありませんが、講堂に誰もいなくて幸先が良いと感じましたし、気持ちにも余裕がありました。
お父さま:徐々にギアを上げていったことです。どういうことかというと、先ほど息子も話していましたが、とにかく遊ぶのが大好き。映画を観たり、読書をしたり、あとバスケットボールのクラブチーム練習に6年生の夏まで参加していたり。でも、これらのことをいきなり抑えて勉強時間に充ててしまうと本人もつらいと思います。だけど勉強時間も確保しないといけない。だから「本番も近づいてきて、遊ぶ時間が少なくなるけど、一旦趣味はやめようか」と言って、1つずつやめさせていきました。子どもも受験は自分のことと分かっていますので、時期が来ればスイッチが自然と入ってきます。その手助けをするのが親の役目だと思っています。
エデュ:お父さまから見て中学受験とは、何でしょうか?
お父さま:子どもにとって初めての真剣勝負ですね。長い期間勉強して1回だけの本番に臨む、その緊張感は計り知れないものがあると思います。この経験は子どもにとって大きな経験値になるのではないでしょうか。
エデュ:最後にこれから受験するご家庭に向けてアドバイスをお願いします。
Aくん:中学受験では数多くのテストを受けますが、そのテストで結果がでなくても、最終目標は第一志望校に合格することです。落ち込んでしまってもあきらめてしまうのではなくて、すぐに気持ちを入れ替え、日頃の勉強に精を出して頑張っていれば努力は報われると思います。
お父さま:長い期間、わが家でいうと3年間、ずっと家族でやっていくのは大変でした。でも終わってみると、充実した期間で楽しかったので、貴重な経験を積める場として臨んでほしいですね。先ほども話しましたが、思うように勉強しなくてイライラしてしまうこともあると思いますが、受験生自身に時期がくればやる気が芽生えてきます。ただまだ子どもなので甘えてしまったり、さぼってしまうところが出てくるので、そこを親がサポートしてあげるといいと思います。
- ■取材協力
- 受験ドクター 由緒正しいプロ講師による中学受験専門の個別指導塾(代々木校・自由が丘校・吉祥寺校・東京校・成城学園校・白金高輪校・横浜校・たまプラーザ校・南浦和校・三軒茶屋校)と家庭教師センターを運営。2018年度 開成中学校 10名、桜蔭中学校 9名と個別指導塾として高い合格実績を記録。 プロ講師による無料の学習相談も受付中。(http://www.chugakujuken.com)
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