志望校の選定に役立つ情報「学力を伸ばしてくれる学校」

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中学受験研究の分野で定評のある、森上教育研究所が調査した受験に役立つデータをお届けします。 今回は志望校選定に役立つ情報として、中学入学時の偏差値と比較して、高い大学合格実績を出している「学力を伸ばしてくれる学校」について分析していただきました。

「学力を伸ばしてくれる学校」人気国公立大学編

志望校の選定を大学合格実績で行うためには、どのような大学にどれだけ合格したかで決めることが多いと思います。しかし、入学した生徒の学力(中学入学時の偏差値)が高ければ高いほど大学合格実績は高くなるので、中学の偏差値にも注意して検討しなければなりません。

【表1】は、中学入学後どれだけ学力を伸ばしたかを算定し、ベスト20を一覧表にしたものです。

①6年前の中学入学時の首都圏模試偏差値と、③その生徒の大学合格実績を変換した首都圏模試偏差値、その差④で「学力を伸ばしてくれる学校」を計算します。

【表1】対象校…首都圏私立・国立・公立中高一貫校 対象実績…人気国公立大

学校名 ① 2011年首都圏模試結果偏差値 ② 2017年卒業生100名当たりの合格者数 ③ ②の合格者数で標準的な偏差値 ④ 標準的な偏差値との差=③‐①
中央大学附属横浜 48 15.8 64.8 16.8
清真学園 48 15.1 64.3 16.3
東京都立三鷹 54 22.4 68.4 14.4
宝仙学園共学部理数インター 50 13.1 62.9 12.9
神奈川県立平塚 51 13.4 63.1 12.1
神奈川県立相模原 57 23.1 68.7 11.7
茨城県立並木 59 25.3 69.6 10.6
東京都立立川国際 58 22.8 68.5 10.5
茗溪学園 54 14.4 63.8 9.8
帝京大学 58.5 21 67.7 9.2
千代田区立九段 56 16.2 65.1 9.1
東京都立大泉 56 16.1 65 9
東京都立南多摩 56.5 16.6 65.3 8.8
開智未来 48 7.2 56.8 8.8
東京都立富士 55 14.1 63.7 8.7
さいたま市立浦和 59 20.8 67.6 8.6
淑徳 50 8.5 58.5 8.5
東京都市大学付属 58 17.2 65.6 7.6
成城学園 58 16.6 65.3 7.3
東京都立両国 61 21.5 68 7

【表1】で1位の中央大学附属横浜は、①の偏差値が48で14位の開智未来と同じですが、卒業生100名当たりの人気国公立大学合格者は2倍強となっています。開智未来の大学合格実績が決して低いわけではなく、首都圏全体からみると14位でむしろ高い方なので、中央大学附属横浜がいかに人気国公立の実績がよいかが分かります。

ベスト20校のうち公立中高一貫校(背景オレンジ色)が11校もあります。

「学力を伸ばしてくれる学校」早慶上智編

【表2】対象校…首都圏私立・国立・公立中高一貫校 対象実績…早慶上智

【表2】は、【表1】と同様の「学力を伸ばしてくれる学校」を早慶上智の合格実績で作成したものです。

学校名 ① 2011年首都圏模試結果偏差値 ② 2017年卒業生100名当たりの合格者数 ③ ②の合格者数で標準的な偏差値 ④ 標準的な偏差値との差=③‐①
中央大学附属横浜 48 23.7 57.9 9.9
玉川学園 45 14.9 54.8 9.8
かえつ有明 45 14.1 54.4 9.4
神奈川県立平塚 51 30.2 59.5 8.5
開智未来 48 17.7 56 8
東京都立三鷹 54 43.4 61.9 7.9
東京都立南多摩 56.5 53.8 63.4 6.9
神奈川県立相模原 57 53.2 63.3 6.3
成城学園 58 61.7 64.3 6.3
本庄東高等学校附属 45 8.7 51.2 6.2
東京都立大泉 56 44 62 6
広尾学園 57.5 54.4 63.5 6
帝京大学 58.5 62.9 64.4 5.9
千代田区立九段 56 41.5 61.7 5.7
東京都市大学付属 58 55.5 63.6 5.6
攻玉社 63 117.2 68.6 5.6
淑徳 50 16.3 55.4 5.4
宝仙学園共学部理数インター 50 16 55.3 5.3
東京都立富士 55 33 60.1 5.1
東京学芸大学附属国際 61 78.3 65.9 4.9

私立が12校、国立(背景黄色)が1校、公立中高一貫校(背景オレンジ色)が7校で、早慶上智の合格実績では、公立中高一貫校よりも私立・国立校が多いことが分かります。

やはり、公立中高一貫校は人気国公立大学の受験に優位性があると言えます。

公立中高一貫校の偏差値は、首都圏模試の結果偏差値一覧表を参考にしています。しかし2011年当時は、首都圏模試に適性検査の模試がなく、公立中高一貫校の受験者があまり試験対策をしていない2科4科の模試結果を参照しているため、偏差値が低くでている可能性があります。

そのため、ベスト20校には、2011年当時に開校していた公立中高一貫校の学校数18校のうち、人気国公立大では11校(【表1】)、早慶上智では7校(【表2】)もランクインしていると考えられます。【表1】、【表2】はあくまで参考としてください。

以上の理由もあり、公立中高一貫校のみで比較したのが下記の【表3】です。

「学力を伸ばしてくれる学校」早慶上智編 公立中高一貫校のみ

【表3】対象校…首都圏公立中高一貫校 対象実績…早慶上智

【表3】は公立中高一貫校のみの「学力を伸ばしてくれる学校」を早慶上智の合格実績で作成したものです。

学校名 ① 2011年首都圏模試結果偏差値 ② 2017年卒業生100名当たりの合格者数 ③ ②の合格者数で標準的な偏差値 ④ 標準的な偏差値との差=③‐①
東京都立三鷹 54 43.4 60.1 6.1
神奈川県立平塚 51 30.2 57 6
東京都立南多摩 56.5 53.8 61.9 5.4
神奈川県立相模原 57 53.2 61.8 4.8
東京都立大泉 56 44 60.2 4.2
千代田区立九段 56 41.5 59.7 3.7
東京都立富士 55 33 57.8 2.8
東京都立立川国際 58 39.3 59.3 1.3
東京都立桜修館 60 47.7 60.9 0.9
東京都立武蔵 59.5 42.6 59.9 0.4
東京都立両国 61 43.5 60.1 -0.9
東京都立白鷗 57.5 27.4 56.2 -1.3
東京都立小石川 63.5 55.2 62.1 -1.4
千葉県立千葉 68 82.8 65.6 -2.4
さいたま市立浦和 59 28.1 56.4 -2.6
茨城県立並木 59 27.2 56.1 -2.9
千葉市立稲毛 58 20.9 53.9 -4.1
埼玉県立伊奈学園 51 1.4 30.9 -20.1

① 2011年首都圏模試結果偏差値は低めに出ていますが、公立中高一貫校のみで比較するのであれば、④の学力の伸びについては、参考になるデータと言えるでしょう。

また公立中高一貫校の模試は、2015年から始まりましたので、6年後の2021年の大学合格実績で正確な分析ができると思います。

④が入学時よりも3以上伸びている東京都立三鷹神奈川県立平塚東京都立南多摩神奈川県立相模原東京都立大泉千代田区立九段は、顕著に「学力を伸ばしてくれる学校」と言えます。

同程度の偏差値であれば、学力を伸ばしてくれる学校を志望校とするのが、将来の大学受験に有利となると言えます。

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