2014年の東大・京大合格者を振り返る

inter-edu’s eye

今年もいよいよ東大・京大の合格発表の日がきました。毎年、狭き門を争う受験生たち。今年の結果はどのようになるのでしょうか。まず2014年の東大・京大の入試結果から、昨年の傾向を振り返ってみましょう。

安定志向による東大離れ？
東大合格常連校に地方国公立大医学部志向が!?

東大合格者ランキングのトップは、2014年も開成高等学校でした。2位の筑波大学附属駒場中・高等学校（104名）、3位の灘高等学校（103名）を抜かし、ダントツの158名。しかし、ここ数年、2012年203名⇒2013年168名⇒2014年157名と東大合格者の減少傾向が見られます。

開成高校の大学合格者数を例にあげると、東大合格者数が減っている要因として、現役生、OB問わず大学受験生の安定志向による東大離れが考えられるでしょう。

特に、2014年の東大合格者にOBがいなかった理科三類（医学部）でみると、地方の国立大医学部志向が考えられます。私大、東大以外の国公立大ともに医学部への合格者を出した大学数は、年ごとに若干の増減があるものの、平均して私大は12大学、国公立大は16大学。しかし、私大医学部の合格者数が2012年74名（うちOB：29名）⇒2013年74名（うちOB：42名）⇒2014年73名（うちOB：24名）と横ばいなのに対し、東大以外の国公立大医学部は、2012年44名（うちOB：16名）⇒2013年44名（うちOB：25名）⇒2014年53名（うちOB：22名）と増加傾向にあります。

この結果から、東大の価値が落ちたわけではありませんが、“浪人してまで何が何でも東大”ではなく、できるだけ現役での大学合格を目指している安定志向がうかがえます。

関西から東大、関東から京大へ
関西を中心に、地方高校からの合格者が増加

2014年は、駒場東邦中学校・高等学校が2013年59名⇒2014年75名と前年比127%となる合格者を排出するなど、合格者数が大きく伸びた学校が多くありました。首都圏ではこのほかに合格者が伸びた学校として、神奈川の聖光学院中学校・高等学校、栄光学園中学校・高等学校がありますが、昨年は特に地方の学校に合格者数伸長校が目立ちました。

福岡の久留米大学附設高等学校は2013年24名⇒2014年36名、北海道の北嶺中・高等学校にいたっては2013年6名⇒2014年17名と前年比300%の合格者数増加に。また、京大への合格者数が最も多い洛南高等学校も、東大合格者数を2013年15名⇒2014年24名（現役：2013年14名⇒2014年19名）と大きく増やしました。同校進路指導担当の先生はインターエデュの取材に対し、「景気回復の影響なのか、本年度は関東方面の大学進学を志望する学生が増えました」とコメントをくださいました。一方、関東からは東大合格者を減らした麻布が2013年11名⇒2014年13名（現役：2013年3名⇒2014年9名）と京大合格者を増やしており、2014年は関東から京大・関西から東大という流れが見られました。

今後の主流は東大現役合格!?
2014年の合格者数伸長校は現役合格率が高い

東大合格者数を現役合格率でみると、東大合格者ランキングでは1位だった開成高等学校が4位（26.1%）となり、1位は同ランキングで2位だった筑波大学附属駒場中・高等学校が逆転する結果に。現役東大合格率は圧倒的な50.6%を誇り、卒業生の半分が東大に進学していることがわかります。ちなみに、2位は灘高等学校（34.5%）、3位は東大合格者数ランキングで8位だった栄光学園中学校・高等学校（26.4%）です。ここで注目すべきは、現役東大合格率でみると、合格者数伸長校の久留米大学附設高等学校が9位（11.3%）、北嶺中・高等学校は10位（10.4%）と、ランキング上位に入ることです。

北嶺中・高等学校の進路指導担当の先生は、躍進の理由について「生徒たちの第一志望への気持ちを切らさずに切磋琢磨できる環境を作ることができました」と答えています。他の合格者数伸長校も、生徒のモチベーションの維持や手厚い指導が功を奏したと答えている先生が多く、現役で志望校に合格させようという想いが強い学校が、実績を伸ばしたようです。生徒の安定志向が垣間見られる中、単純な合格者数の多さだけでなく、現役で合格をさせてくれる学校というのも、今年は注目校になっていくのではないでしょうか。