子どもたちと「ともにいること」を目指して サレジオ小学校

inter-edu’s eye
第22回では、東京都小平市にあるサレジオ小学校校長の北川純二先生にインタビュー。カトリック・ミッションスクールの教育内容、英才教育ではなく人間教育に力を入れている同校についてうかがってきました。

いつも子どもたちのそばに

信頼関係を築くうえでこころがけていること

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サレジオ小学校校長 北川純二先生。

エデュ:まずは貴校の教育の特徴を教えてください。

北川先生:本校はサレジオ修道会の創立者であるドン・ボスコの教育理念、「愛情」、「道理」、「宗教」を3つの柱とする「予防教育法」を特徴としています。3つの柱の根本は、
Assistenza(アシステンツァ)です。イタリア語で「ともにいること」という意味になります。

教員と子どもたちの距離が近く、いつも子どもたちのそばにいて、一緒に過ごし、考え方、好きなもの、楽しみ、悩み、不安などを共有し信頼関係を結んでいきます。信頼関係がないと教育はできないと私たちは考えていますので、この部分を本当に大切にしています。

エデュ:信頼関係を築くうえでこころがけていることは何でしょうか?

北川先生:「子どもたちの話をよく聞くこと」です。「先生、あのね」と言われたときに、「ちょっと待ってね」ではなく、今やっていることを中断して子どもの方を向き、どんな些細な話でも耳を傾ける。こういったことを積み重ねていけば、自然と信頼関係を築けると思っています。一見簡単なことのように思えるかもしれませんが、忙しいとおざなりになりがちなのでしっかりやっていくようにこころがけています。

エデュ:確かに一見簡単に思えるかもしれませんが、難しいことですね。貴校はどのような体制と環境で教育を行っているのでしょうか?

北川先生:まず体制ですが、一斉授業を基本としていますが、1学年22名の少人数の特徴を活かし、個々の理解の程度を把握し、それに配慮しながら指導に取り組んでいます。

環境ですが、自然の中に溶け込むような校舎になっています。1~6年生まで別棟の教室になっていて、普通は教室から一歩出ると廊下がありますが、本校は教室を出ると自然がすぐそこにある、そんな環境です。この特徴を活かし、子どもたちは少しでも時間があれば外に出て伸び伸びと遊び、自然の中で体を鍛え、感性を磨き、学んでいきます。2年生では教室の隣にある田んぼでお米を一から作る授業も行ったりしています。

エデュ:確かに教室をはじめ、校舎は印象的ですね。

北川先生:ありがとうございます。外見はコンクリートのイメージが強いですが、中は木をふんだんに使っているので温かみがありますし、ガラスが多いので日光が差し込み明るい印象を受けると思います。何よりなるべく段差をなくしているので、内と外の境目がなく、保護者さまからも「敷居が低く感じます」と言われます。

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校内見学レポート
今回、1~6年生が多くの時間を過ごす教室を見学させていただきました。北川先生がおっしゃっていた通り外見はコンクリートですが、中は木を多く使っているので親しみがあり、天井も高いので開放感がありました。教室内にはワークスペースも完備され、授業を受けた後にすぐに自分の考えを形にすることができます。また、一歩外に出れば自然の中という大人にとっては不思議、子どもたちにとっては魅力的な建物のように感じました。

何ができるかではなく、どのような人間なのか

自他を大切にする人になってほしい

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教室内の様子。

エデュ:子どもたちの印象に残る行事を教えてください。

北川先生:2つお話しします。
1つ目は年1回行われている音楽発表会です。2年生と5年生はバイオリン、チェロなどの弦楽器を演奏します。電子ピアノも1クラス分用意し、年間を通して演奏したり、歌ったりに力を入れています。
これは創立者ドン・ボスコが皆で演奏したり、歌ったり、音楽をとても大切にしていた流れで行っています。

2つ目は6年生が広島に行く修学旅行です。1年生から平和教育学習を積み重ね、その集大成として行っていますが、平和資料館、本川小学校被爆資料館見学や被爆体験講話などにより平和の大切さを学んでいきます。

エデュ:6年間の学校生活を通し、こういう大人に育ってほしいという理想像はありますか?

北川先生:「他者、そして自分を大切にする人」になってほしいですね。カトリック系の学校の研修会などで、何ができるか(to do)ではなく、どのような人間なのか(to be)という言葉がよく出てきます。自分のあり方を肯定し、他者との共存を学び、自分のできることで社会貢献をしていく。そんな大人に育っていってほしいです。

エデュ:こんな受験生に来てほしいというのがありましたら教えてください。

北川先生:こういう子に来てほしいではなく、本校に来て、こういう子に育ってほしいという思いの方が強いですね。様々な価値観を持った他者と一緒に過ごす中で得るものは大きいと思うので、間口は狭めていません。あえて言うのであれば、友達と仲良く遊ぶことができる子ですが、それさえできれば大丈夫です。

今後は内ではなく外への関わりを増やしたい

「人間教育」に自信

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エデュ:今後行っていきたい取り組みは何でしょうか?

北川先生:ボランティア活動です。たとえば「老人ホームへの慰問」です。実は昨年度末に初めて、中学校の生徒が行ったのですが、これを今年度から小学校でも取り入れたいと考えています。

本校は学校の成り立ちとしてどうしても内向きなところがあります。ですので、もっと子どもたちには色々な人と関わる体験をさせたいと思っています。歌を歌ったりして高齢者の方々に喜んでもらい、「人のために何かできる」という体験を通し、成長するうえで何かの糧になってもらえたら嬉しいです。

エデュ:最後にこれから受験を考えるご家庭に向けてメッセージをお願いします。

北川先生:本校は特別なカリキュラムを組んでいたり、英才教育を行い、高い学力を身につけさせるような学校ではありません。しかし初等教育で最も必要とされる「人間教育」を何よりも大切にしていきたいと思っています。ぜひ一度学校説明会にお越しください。

サレジオ小学校データ

学校名 サレジオ小学校
URL: http://www.salesio.ac.jp/
男子・女子・共学 共学
所在地・アクセス 〒187-0021 東京都小平市上水南町4-7-1
JR中央線国分寺駅北口より立川バス、JR中央線武蔵小金井駅北口より京王バス、西武新宿線花小金井駅より立川バス。いずれも「情報通信研究機構前」下車徒歩5分
教育理念 「愛情」、「道理」、「宗教」を3つの柱とする「予防教育法」
制服の有無
給食の有無

編集部から見たポイント

取材中も、子どもたちが元気に遊ぶ声が聞こえ、「伸び伸びと過ごすことができる学校」という印象を受けました。教室同様、学校の持つ温かみを感じたいご家庭は一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

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