ハズレ担任・オバタリアン教師からわが子を守る!:エデュママリサーチ第32回

ハズレ担任・オバタリアン教師からわが子を守る!2014年5月16日

問題教師、ハズレ担任からわが子を守る!

「中学受験 心すっきり相談室」でアドバイスをしてくださっているおおたとしまささんが、とても興味深い新書を発表されました。題して『オバタリアン教師から息子を守れ』。副題が“クレーマーとは呼ばせない親の心得”。

刺激的な書名ですが、良識あふれる内容で、今の子どもたち、親たち、そして教師たちが置かれた厳しい状況を冷静に分析しています。そして何よりもうれしいのが、第4章「ハズレ担任との賢い付き合い方」。

教育ジャーナリストとして、学校・教師への取材を続けながら、イクメンの先達として子育てにも主体的に取り組んできたおおたさん。犯罪や懲罰(体罰やわいせつ行為など)の対象にはならないけれど、あきらかに子どもを害している問題教師が一定数存在すること、そして問題教師には中高年のオバタリアン教師が多いことを明確に指摘しています。

さらに、そうした教師のターゲットになりやすいのが男の子、ことに元気なやんちゃ坊主であることも!


◆今年の担任、どうも、ちょっとと思っている方へ

オバタリアン教師が誕生した背景や、体罰ではなく言葉や生徒を利用して陰湿にやんちゃ坊主をいじめる手口については、ぜひ本書を読んで理解してください。ひとりの問題教師を断罪するだけでは片づかない今の社会の病巣も見えてくるはずです。

そして「問題教師というほどではないけれど、でも、今度の担任、どうも、ちょっと…」と思っているすべてのお母さまに参考にしてもらいたいのが、第4章の「ハズレ担任との賢い付き合い方」です。教員資格に加えて心理カウンセラーの資格を持つおおたさんならではの、かゆいところに手が届くアドバイスが多数掲載されているのです。

たとえば、「子どもから正確な情報を聞き出すコツ」「焦って感情をぶつけるとクレーマー扱いされる」「我慢することよりも上手に伝えることが大事」「電話がいいか、連絡帳がいいか?」など。「どんな教師が要注意か」「教頭や校長に伝えるには?」「よその子が犠牲になっていたら?」「子どもと一緒に対策を考えるとき」と、小学生の親なら、そうそう、そういうことってよくあると思う事態への対処法が、手続き、話し方、気をつけるべきことまで、とてもていねいに書いてあります。

オバタリアン教師、子どもに害をなす教師、わが子と相性がよくない教師が担任になったとき、親の心は千々に乱れます。でも「子どもを人質にとられているから」と親同士で悪口を言ってみても何も解決しません。子どもと一緒に先生の悪口を言い続けるのは、子どもにとってよいことではありません。少しでも子どものためになる方向へと思うならば、おおたさんも書いている「大人力」を発揮して、沈着冷静に対処するしかありませんよね。

◆「学校はサービス業」と勘違いしていると危険

最後にもうひとつ、おおたさんは「親の“お客様”意識が子どもを不幸にする」(2章・5章)と警告しています。保護者が学校をサービス業だと思ってしまうと、それでなくても忙しい先生の負荷が格段に増え、そのしわよせが子どもたちに行ってしまうということです。

「教師と保護者、子どもたちの三者が、ともに理解しあい、手を携えられるようになるための一助に、本書がなれれば、幸いです」(はじめに)というおおたさんの思いに共鳴するすべての方に、ご一読をおすすめいたします。


中公新書ラクレ『オバタリアン教師から息子を守れ』

中公新書ラクレ『オバタリアン教師から息子を守れ』
副題「クレーマーとは呼ばせない! 親の心得」。おおたとしまさ著、中央公論社刊、820円(税別)、オバタリアン教師は陰湿で、限りなくクロに近い指導法で生徒を支配する。ターゲットにされた「やんちゃ坊主」は、たちまち草食化。あるいは「モンスター親」の登場で壮絶バトルに…。なぜ女教師は「やさぐれる」のか? 元気な男子を活かす方法は? 学校現場を徹底調査した著者が贈る、貴重なアドバイス。…購入はこちらから

おおたとしまささん

著者のおおたとしまささん
育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラー、近著は、『間違いだらけの中学受験』『進学塾という選択』(日経プレミアシリーズ)学校研究シリーズ・中学受験 注目校の素顔『麻布中学校・高等学校』『開成中学校・高等学校』『武蔵高等学校中学校』『灘中学校・高等学校』、小説『もし中学受験で心が折れそうになったら』。そのほか『中学受験という選択 (日経プレミアシリーズ) 』『男子校という選択(同)』『女子校という選択(同)』など多数。著書一覧