小学校受験のバイブルは、季節と暮らしの図鑑たち:エデュママリサーチ第40回

小学校受験のバイブルは、季節と暮らしの図鑑たち2014年9月19日

小学校受験のバイブルは、季節と暮らしの図鑑たち

就学前~低学年向けのロングセラー『きせつの図鑑』『せいかつの図鑑』が、小学校受験のバイブルになっていることをご存じですか? 幼児教室に通うお子さまをお持ちの方には、「そんなの常識よ!」と言われてしまいそうですが、今年、同じ編集方針の新刊『よのなかの図鑑』が発売されたと知り、なぜ小学校受験のバイブルなのか、どんな方々に支持されているのかを、これらの図鑑の編集長、青山明子さんに話を聞いてみました。

◆季節の行事の知識、大丈夫ですか?

「2007年に『きせつの図鑑』を発刊したのが、幼児向けの図鑑のスタートでした。編集方針には、私自身の体験も大きく関係しています。実は、いま考えるとなんと大胆な、と叱られそうですが、たいした準備もなくわが子を受験させてみたところ、試験には季節ネタがとても多かったのです

季節の花や生き物、食べ物や行事に関する知識って、親は知っていても子どもには話していなかったり、親自身も忘れていたりすることが多いですよね。あわただしい生活の中で、放置していたり無視しちゃったりすること、私だけでなく誰でも案外多いのではないかと思います。でも、それじゃいけないのかなって気持ちもあったりして…それが親心ってところでしょうか(笑)。

実は、家族でキャンプに行ったとき、大浴場でこんなことがありました。低学年ぐらいの女の子ふたりが、「やだ、このお風呂、ネギが入っている!」と大声を出したのです。5月の端午の節句のことでしたから、もちろんネギではなくてショウブ(菖蒲)です。そうしたら近くにいたおばあさんが、連れのお孫さんらしい男の子に小さな声で、「あれは、ネギじゃなくてショウブなんだよ。菖蒲湯って言ってね…」と、端午の節句に欠かせない菖蒲湯のことを教えていました。

見ていた私は、もうお母さん世代では教えられない、おばあちゃんじゃないと伝授できない暮らしのことってあるのだなあと思ったのです。私自身、菖蒲湯は知っていても、菖蒲湯のショウブが、花ショウブとは全く違う植物だとは知りませんでした(笑)」(編集長・青山明子さん)

そんな思いで編集された『きせつの図鑑』には、春夏秋冬の行事や自然が、大きな写真やイラストで収録されています。ページをめくっていくうちに、「えっ!そうだったの」と思う説明もチラホラ。大人なら知っていて当たり前なはずが、実はうろ覚えの知識もずいぶんあることを気づかされました。

◆小学校受験で扱われる項目がわかる

『せいかつの図鑑』は、大きく「衣・食・住」に分かれています。「衣」では、服の歴史から素材の知識、洗濯のしかたや簡単な縫い方、蝶結びのやりかたなどを紹介。「食」では、箸の正しい使い方、食事のマナー、料理の仕方から後片づけ、「住」では、からだのケアやぞうきんの絞り方などの掃除、おつきあいに関することなど幅広く子ども向けに解説してあります。

また新刊の『よのなかの図鑑』は、「仕事」「町で出会うもの(電車や道路、駅など)」「世の中のしくみ(お金や店、郵便、メール、選挙など)」の3章に分けて、子どもが家から一歩外に出て見たり体験したりすることを網羅。大人にとっては当たり前でも、子どもにとっては初体験なことばかり。この図鑑があれば、親がきちんと説明してあげることもできるし、子どもがひとりで素朴な疑問を解決することもできるでしょう。

そして、この3冊に共通しているのが「おうちの方へ」という欄があることです。そこに「体験につなげるヒント」「おうちの方向けの解説」とともに、小学校の生活科などでよく扱われる項目、小学校受験でよく取り上げられる項目が示してあります。「小学校受験に活用される場合は、よく受験で取り上げられる項目をチェックなさるといいと思います」(青山さん)

◆豊かな体験と高い学力を育むきっかけに

どの図鑑も、大人の目で見ていくと、こういうのが毎日の生活のベースであり、生きるための基礎知識なのだと、しみじみ感じることができると思います。にもかかわらず現代的な便利な生活、都市型の生活を続けていくうちに見落としているものがなんと多いことか! 「日本で生活するのに、とても役立つ」と、在日外国人の方々に大人買いしてもらっているという青山編集長の話もうなずけます。

「それにしても、小学校受験って、親のほうが、きちんとした生活をしていますか? 生活の基礎を教えていますか?って試されているみたいですよね(笑)。受験のサポートにもなればと工夫した図鑑ではありますが、真の狙いは、図鑑で見たことをきっかけにさまざまな体験をしてほしい、そうすることで頭でっかちではない、本当の生活力と豊かな知識を身につけてほしいということです。お母さま方も毎日が忙しくて、ついうっかりということがありがちな今、親子で一緒にさまざまな生活経験を積むお手伝いができればと願っています」(青山さん)

なお、『よのなかの図鑑』は、今なら初回限定で「ドラえもんのおしごとてにぐい」がついていて、2014年いっぱいは、表紙や中のページでスマートフォンをかざすと見られる画像(動画や声が聞こえる)も楽しめるようになっているそうです。この3冊、書店でお子さまと一緒に見てから購入するのもいいし、おじいさま、おばあさまに贈り物としておねだりするのもいいかもしれませんね。

小学館の子ども図鑑プレNEOシリーズ 小学館刊
小学館の子ども図鑑プレNEOシリーズ小学館刊

楽しく遊ぶ学ぶ きせつの図鑑 本体2800円+税、監修/長谷川康男
学力に直結する本格的「きせつ体験」の図鑑。季節にまつわる一年の行事や暮らし、食べ物や自然など、絵本のような楽しさで、普段の生活から子どもたちの興味を引き出して無理なく知識を育み学力を高めます。小学校受験用にはもちろん、幼児から高学年まで長く使えます。
楽しく遊ぶ学ぶ せいかつの図鑑本体2800円+税、監修/流田 直
今どきの子に不安な「生きる力」の総復習図鑑。子どもたちが苦手な、大人も教える自信がない「衣・食・住」の基本を収録。小学校の受験問題に取り上げられた題材や、小学校の教科書に掲載されているものもマーク。入園・入学・進級祝いにもぴったり! 知らないと恥をかく…ような内容なので、幼児・小学生だけでなく大人や保育者・先生にも、実はおすすめです。
楽しく遊ぶ学ぶ よのなかの図鑑本体2800円+税、監修/寺本潔
身近な世の中の「はてな?」が楽しくわかる、子どもの素朴な疑問に答える図鑑。<しごと>なぜ子どもは学校に行くの?社長ってどんな人?お仕事の制服図鑑etc.<まちのなか>道路の下はどうなっている?働く車の中図解etc.<よのなかのしくみ>電気や水はどこからやってくる?1年はなぜ365?etc. さらに関連する伝記やことわざを網羅、お受験や教科書掲載の有無もわかってキャリア教育の導入にも役立ちます。