名門校を目指す本当の理由がわかる!『名門校とは何か?』 エデュママリサーチ第52回
名門校を目指す人は必読!名門の本質に迫る中学受験案内2015年3月20日
「心すっきり相談室」で中学受験の悩みに答えてくださっている教育ジャーナリストのおおたとしまささんが、新著『名門校とは何か?』を発表されました。中学受験の現場をたんねんに取材し続けている、おおたさんならではの奥深い内容です。
おおたさんから、エデュママの皆さんへメッセージをいただきました。
「学校の価値を偏差値や進学実績で判断していると、子どものことまで偏差値や通う学校名で評価してしまうようになる可能性があります。
しかし、名門校と呼ばれるほどいい学校の本質的な価値が、決して偏差値や進学実績によるものではないと、一人でも多くの人に知ってもらえれば、その風潮を少しでも改められるのではないか。
一人ひとりの子どもの可能性にもっと気付いてあげられる社会になるのではないか。
子どもたちも、目先のテストの点数ばかりに囚われなくなるのではないか。
もっと自由な生き方を模索しやすくなるのではないか。
そういう逆説的な願いこそを、本書に込めたつもりです。」
本書の中には、おおたさんが訪れた全国29の名門校レポートがあります。エデュママの中には、「あっ、母校が!」という方もいらっしゃるかもしれません。参考までに下欄に掲載校を紹介しておきました。
もちろん、この本は名門校のガイドブックではありません。ただ、それぞれの学校がこれまでにたどってきた道、先生方へのインタビューや校内の雰囲気などから、外部からはなかなか想像しにくい各校の個性を知ることができます。
おおたさんは、「名門校」は長い時間をかけて進化して「名門校」になったのであり、そこでは、その結果として真の意味の「ゆとり教育」が行われ、どこもが驚くほど個性的な学校になっていると書いておられます。
このような名門校の「いま」と、批判的かつわかりやすく解説されている日本の教育の歴史・現状とを重ね合わせてみたとき、「名門校とは何か?」の答えが心の中にストンと落ちてくると思います。
◆名門校に通わせたい本当の理由とは?
名門、いいよね。でもどこがいいの? 頭のいい子じゃないと入れないから? 難関大学の合格者をたくさん出しているから?
いえいえ違います。名門の「いい」は、偏差値や合格者数の数字では決してわからないのです。
本当の「いい」は、中学受験という入り口と大学受験という出口の間の6年間にこそあるからです。それは、そこで学んだ生徒の人生を、そうでなかった場合とは明らかに変えてしまう、もちろん「いい」ほうに変えてしまう、そんな何かです。
たとえ運悪く大学受験に失敗したとしても、少しも失われないような、そんな人生の宝物をその子の中に築いてくれます。
読み終わったあとには、この本の副題である「人生を変える学舎の条件」が、うっすらとではあっても想像がつくようになるでしょう。そして、名門校を目指している方は、ますますわが子を通わせたくなってしまうことでしょう。
おおたさんは、「おわりに」に、以下のように書いておられます。
いい学校に取材に行くと、幸せな気分になれる。すべての学校が愛おしい。結婚式に出席した後の感覚に近い。・・・(中略)
本書の目的は名門校の善し悪しを比較することではなく、名門校の叡智を紹介し、「良い学校とは何か」「よい教育とは何か」を考えるきっかけにしてもらうことだからだ。教育関係者はもちろん、一般の保護者にも、名門校の教育から得られる教訓はたくさんあったはずだ。
うちの子が通って幸せになれる名門校はどこなんだろう、ちょっと行って調べてみようか、そんな気持ちになってくるのではないでしょうか。名門校を目指す方だけでなく、「教育って何? 何が大事なの?」と思い悩む保護者のみなさまに、大事なヒントを与えてくれる本です。ご一読をおすすめします。
【掲載校一覧・掲載順】
開成(東京都・私立)、麻布(東京都・私立)、浦和(埼玉県・県立)、済々黌(熊本県・県立)
修猷館(福岡県・県立)、鶴丸(鹿児島県・県立)、修道(広島県・私立)
女子学院(東京都・私立)、雙葉(東京都・私立)、神戸女学院(兵庫県・私立)、浦和第一女子(埼玉県・県立)、
慶應義塾<普通部・高等学校>(神奈川県・私立)、筑波大附属駒場(東京都・国立)、お茶の水女子大学附属(東京都・国立)、東京学芸大学附属(東京都・国立)、
武蔵(東京都・私立)、桜蔭(東京都・私立)、東大寺(奈良県・私立)、灘(兵庫県・私立)
栄光学園(神奈川県・私立)、ラ・サール(鹿児島県・私立)、駒場東邦(東京都・私立)、聖光学院(神奈川県・私立)、渋幕(千葉県・私立)、西大和(奈良県・私立)
海城(東京都・私立)、豊島岡(東京都・私立)、鴎友(東京都・私立)、堀川(京都府・市立)
『名門校とは何か?』
副題:人生を変える学舎の条件
おおたとしまさ著、朝日新書、本体860円+税
「単なる進学校と名門校は何が違うのか?」を突き止めるべく、日本有数の名門校を実際に訪れ、名門校の生い立ち、歩み、現状をつぶさに分析して「学校とは何か」「教育とは何か」というテーマに迫ります。取材した全国29の名門校それぞれの姿が見えてきますが、単なる名門校カタログではありません。これ一冊で、明治以降の日本教育史を理解することもできます。現在の教育改革議論に対する痛烈な批判も込められています。…購入はこちらから
著者のおおたとしまささん
育児・教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立。育児・教育に関する執筆・講演活動を行う。
著書『間違いだらけの中学受験』(ベストセラーズ)。『中学受験という選択』、『進学塾という選択』(日本経済新聞出版社)。学校研究シリーズ・中学受験 注目校の素顔『麻布中学校・高等学校』(ダイヤモンド社)。『名門中学の入試問題が解けるのは、こんな子ども』(日経BP社)。『オバタリアン教師から息子を守れ』(中公新書ラクレ)
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