過去問は受験の1年前ごろ、早めに目を通しておくのが吉!
Q. 過去問に取り組む目的について教えてください。
中学の入試問題は、学校ごとに個性があり、6年生の2月の時点で、こういう問題が解ける段階に達している子に入学してほしいという、学校からのメッセージです。それに合わせて、私はこういう勉強をして準備してきましたと、受験生側としてはアピールする場となります。その問題が解けたら合格できるということで、目的がはっきりしていきますので、過去問は必ず研究すべきものなのです。
また、入試問題が合うということは、学校が入学してほしいと思っている生徒像に重なり、学校の校風が合うということなので、志望校選びにも役立ちます。学校選びに迷っているときや、甲乙つけがたいというときは、問題を見て選ぶという手もあります。
Q. いつから取り組んだらいいのでしょうか?
出版社から過去問がほぼほぼ出そろい、塾からもそろそろ過去問をやりましょう、という指示が出始めるのが8月の終わり頃なので、実際に問題を解くというのは秋以降になると思います。それまでは、普段の学習が塾のペースに追われていて、実際取り組む時間もないでしょうし、お子さま自身もまだ早いと思って、身構えてしまいがちです。
ですが、早めに目を通しておくことをおすすめします。塾のカリキュラムの進度にもよりますが、新6年生の2月ごろには、受験に必要な学習の範囲はほとんど終わっています。その段階で過去問に目を通し、できる問題があれば自信がつきます。できなかった問題は、残り1年間でできるようになればいいと目標がはっきりします。志望校の出題スタイルに合わせて、特に重点的にやった方がいいことも見えてきます。
親御さんもぜひ目を通してみてください。中学受験の算数は難しくて、見ても何もアドバイスできないと思ってしまいますが、問題の並びの特徴はつかめるでしょうし、国語・理科・社会に関しては、大人の経験値で理解できる内容も多いです。特に近年、家庭生活に結びつく問題が増えています。たとえば、野菜は植物のどの部分を食べているかについて、たまねぎに関する問題が過去問にあったことを、親子で知っていると、食事の時間に話題にできますし、一緒に受験に立ち向かっていく感じが出ます。
さらに、「2月にこの試験に挑まなければならないのね。」「こんな大変なことをやっているのね。」と違った角度からお子さまの受験へ取り組みを見ることができ、声かけも変わってくるでしょう。
早めに見ておくと、対策期間がもちろん長くなります。理科で写真の問題が多く出題される学校の場合、日ごろから図鑑を見る、実際のものに触れておくことが必要となってきますが、夏休み以降だとなかなか時間がとれません。たとえばGWに過去問をみておくと、夏休み中に対策ができます。
Q. どのように取り組んだらいいのでしょうか?
第1志望校の過去問に関しては、朝起きたときから受験当日と同じスケジュールで、国算社理を実際の入試の時間割通りに、休憩時間も同じようにとって、1日のシミュレーションをするとよいでしょう。気分的にも盛り上がりますし、本番を意識できるのでおすすめです。
そうはいっても、4科目をまとめて一気にやる時間をとるのはとても大変です。少なくとも1科目を、50分の枠として時間どおりに練習することが大切です。なるべく定期的に、何曜日に過去問をやろうという決まりがご家庭であるといいと思います。
志望順位が低い学校の過去問は、いつ手をつけたらいいのか分からずに受験を迎えてしまった…ということも多いので、しっかり予定に組み入れるようにしましょう。
また、塾での過去問への取り組み方は、教室、先生によってもかなり異なります。志望校対策に特化したコースなどは別ですが、過去問をやって提出したけれど、先生方も忙しいので、なかなか答案が返ってこないとか、質問に長い列を作って並ぶなどということもあります。塾での過去問対策は、過去問を行うペースメーカーの役割として役立てていく方がよいでしょう。