難関中学校の入試問題、現役東大生が解いてみた!
inter-edu’s eye
御三家をはじめ、12の難関中学入試問題と模擬解答を紹介する、インターエデュの「解答速報」。今年は初の試みとして、現役東大生の方々に、2月1日・2日・3日の入試当日、実際に問題を解いてもらいました。「こんなに難しかったっけ?」「学校の特徴が表れていて面白い!」という感想も聞かれ、会場は大いに盛り上がりました。
東大生をもうならせ、好奇心をくすぐる難関中学校の入試問題。東大生からのアドバイスや大人でも解いてみたくなる入試問題をご紹介します。
出身校の入試問題、ポイントはここだ!
問題を解いてくれた現役東大生の学部、学年、出身校はさまざまです。寡黙に取り組む方、明るく楽しげに取り組む方と、なんとなく出身校のカラーがにじみ出ている気もしました。
1教科をあっという間に完成させ、他の学校、教科の問題を次々に解いてくれる方もいて、さすがは東大生と感じました。解答後にうかがった感想と受験生へのアドバイスをご紹介します。
【解いた方】渋谷教育学園渋谷中学高等学校出身、文科三類在籍
【解いた問題】渋谷教育学園渋谷中学校「算数」
【感想・アドバイス】教科横断型の学習を意識しているので、算数にもマイナンバーという時事的な話が入っているのが渋渋らしいなと思いました。中学1年生からディベートが始まることも影響しているのか、論理的に考える問題があるのも特徴だと思います。
【解いた方】筑波大学附属駒場中・高等学校出身、理学部 物理学科在籍
【解いた問題】筑波大学附属駒場中学校「算数」
【感想・アドバイス】一筆描きの問題は中学入試では有名ですが、こういった有名・典型問題の根本的なところの理解を求めるのは、筑駒らしい気がします。正直40分で全て解き切るのは難しく、例年より発想力も計算力も求められていて、レベルが上がっている気がしました。対策としては、有名問題・典型問題について、ただ解けるだけで終わりにせず、なぜその計算で解けるのか?その解法がほかの解法と比べて優れているのはどんなことなのかを考える習慣をつけることが大事だと思います。
【解いた方】開成中学校・高等学校出身、理科一類在籍
【解いた問題】開成中学校「理科」
【感想・アドバイス】全体的に実験結果に基づく思考や結果の解析力、結果を疑う力を求められていて、面白いと思いました。理科の大問〔1〕は高1のとき地学の先生が嬉々として語っていた内容に完全に一致していて面白かったです。
【解いた方】栄光学園中学高等学校出身、教養学部在籍
【解いた問題】栄光学園中学校「社会」
【感想・アドバイス】全体の構成から細部に至るまで、学校の特徴が反映されていたと思います。栄光については母校ということもあり、あの社会科の先生が作ったのかなと妄想しながら楽しく解きました。
出身校の問題を解いた東大生は、学校での学びが入試問題に色濃く反映されていたことを感じたようです。
入試対策としては、次のような声が聞かれました。
【解いた方】理科二類在籍
【解いた問題】桜蔭中学校「算数」
【感想・アドバイス】やはり都内最高峰の女子校だけあって、とっつきにくさは感じました。対策としては基本から形が変わっても対応できる応用力や、別角度から問題を見られる観察力、そして計算力、そのすべてが必要だと思います。
【解いた方】文科二類在籍
【解いた問題】聖光学院中学校「社会」
【感想・アドバイス】日ごろから興味関心を持って教科書や本、地図帳を読むことが必要だと感じました。やらされて勉強する子よりも、自分から好きで勉強する子になるといいと思います。
そのほか多くの学校の対策として「論理的思考力」「正確な計算力」「応用力」「発想力」という言葉があげられていました。難関校では一歩踏み込んだ学習も必要なようです。 また各学校に出題傾向があるため、過去問に取り組むことはとても重要とのこと。
過去問対策に関しては、プロ家庭教師の山本祐先生が次のように述べています。「中学の入試問題は、学校ごとに個性があり、6年生の2月の時点で、こういう問題が解ける段階に達している子に入学してほしいという、学校からのメッセージです。それに合わせて、私はこういう勉強をして準備してきましたと、受験生側としてはアピールする場となります。その問題が解けたら合格できるということで、目的がはっきりしていきますので、過去問は必ず研究すべきものなのです。」(「中学受験の過去問、いつから・どのように取り組めばいいの?」より)
過去問対策が間に合わない!という声も毎年聞こえてきますので、特に新6年生は過去問対策を早め早めに意識しておくとよいでしょう。 「解答速報」では、12の難関中学入試問題を2015年から(一部の学校は2012年から)の問題・模擬解答をご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
中学入試問題で「コーヒーの淹れ方」!?
学校のカラーが反映される入試問題、ほかにはどんな特徴があったのでしょうか。
今年の入試問題で話題となったのは、麻布中学校の「理科」です。なんとコーヒー豆の焙煎から挽き方、ドリップ方法までを題材にしています。「焙煎の度合いに応じて、コーヒーの苦み、酸味はどのように変化するか」「エスプレッソを淹れる際にふさわしい豆の挽き方は」といった問題も出されました。コーヒー好きの方にはたまらない内容ですね。
問題の最後には、『コーヒーは好みに合わせた楽しみ方がまだまだあるので、みなさんも大人の味覚がわかるようになったら、楽しんでみてください 』という一文も添えられています。小学生から中学生となる、大人への第一歩を感じてもらいたいのか、はたまた、日常の生活を科学の目で見てほしいというメッセージなのか…。麻布の先生はどんな思いでこの問題を作られたのかを想像すると楽しいですね。
栄光学園中学校の「理科」の問題にも受験生へのメッセージを発見しました。石積みの壁を題材にした問題ですが、問題用紙の最後に、水を抜くための穴に空き缶が詰まった写真が掲載されています。『栄一君は穴からごみを取り出し、家に持って帰りました。』 という一言が添えられています。最後のページにこの写真を載せることで、学校の求める生徒像を表しているような気もしますね。
鳥のシルエットから、ツバメとカラスはどれかを答えさせる筑波大学附属駒場中学校の「理科」にもメッセージ性を感じます。シルエットは飛んでいる姿なので、図鑑とはまた見え方が違うでしょう。ふだんの生活で空を見上げ、「あの鳥はなんだろう、こんな特徴があるんだ。」と関心を持っていないと、大人でも案外間違ってしまう問題です。机上だけでなく、もっと広い視野で物事を見てほしいというメッセージがあるように思えてきます。
このように、難関校の入試には、ふだんの生活で目にするコト・モノを深く観察し考える力を養ってほしいというメッセージが込められています。問題をひたすら解いて知識を詰め込むような学習ばかりが受験勉強ではないという学校側のメッセージがあるのかもしれません。
入試で合格点を取るために、テクニックを磨くというのも一つの受験攻略法ではありますが、入試問題という学校からのメッセージを受け取って、お子さまが先々に伸ばしていける力を受験勉強でも養っていけるように、意識してみることも大切ではないでしょうか。
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