【前編】小学校受験合格に向けた親の心構え、関わり方とは

inter-edu’s eye
2020年度の小学校受験の結果がほぼ出揃った11月の下旬、早くも今年度の受験の振り返りと来年度の対策について、講演会が開催されました。ハイアットリージェンシー東京にて11月24日に行われた、伸芽会主催の「2020年度名門私立小学校最新入試分析報告会『最新速報!!今年の小学校入試はこう行われた』」です。本講演会を取材した編集部が、2021年度の小学校受験に向けた内容に絞り、前・後編でお届けします。

私立小学校、合格に向けて親が意識すべきポイントとは

手をつなぐ子ども

伸芽会は、青山学院初等部や学習院初等部、慶應義塾幼稚舎などの名門私立小学校に多数の合格者を輩出しており、「お受験」の世界ではとても有名な幼児教室。今回の入試分析会には800名超の保護者が参加し、会場は満席でした。

最初のプログラムは、伸芽会教育研究所所長の飯田道郎先生による2020年度の小学校受験の総括です。
飯田先生は冒頭に、受験を目指す保護者が気をつけたいこととして、次のように話をしました。

目先のいろんな情報に振り回されてご苦労なさる保護者の方が多い。一人歩きした噂というのは歯止めが効かない。たとえば補欠をつける学校があるが、補欠は絶対まわらないという噂や、とある男子校においてはお兄さんがいないと合格しないという噂が飛び交う。それがまことしやかに言われるのが非常に怖い

小学校受験は中学受験や高校受験のように、テストの結果が公にされるものでもないため、合不合に関して憶測が飛び交う傾向にあります。そういった噂レベルの話でショックを受けて、精神的に参ってしまう保護者の方が多いとのこと。それが子どもにも影響することを飯田先生は危惧されています。

そのような状況を踏まえて、飯田先生は「合格に向けてのポイント」を挙げました。最も大切な2つのポイントは、

①正しい情報をしっかりと取ること

小学校受験が合格ということだけではなく、実りあるものにすることがとても大切。怪しい情報に振り回されないようにすること。今はホームページが充実して詳しい情報が掲載されているので、そこから正しい情報を取ること。

②その上で子どもの実力を上げていく

有名校人気校の課題は幼児にとってはなかなか手ごわく、すぐに対策ができるものではない。発達段階や月例を考慮した課題で少しずつ力をつけていくこと

です。どんな生徒を求めているのか、どんな力が求められているのかを正しい情報を取得し、受験のときまでに、段階を追って子どもができることを積み上げていくこと、それが、「お受験」の王道の対策であるということでしょう。

続いての4つのポイントは

③保護者の役割を把握しておくこと

面接は学校によって異なるので、どういう面接試験なのかを知ること

④子どもがテストに慣れること

テストはどういうもので、何をしなければならないのかを子どもが理解すること

⑤子どものモチベーションを持続させること

詰め込みすぎて、受験までにやる気がなくならないようにすること

⑥コンディションを整えること

子どもなので体調不良や気持ちが不安定だと力が出せない

とのこと。この6つのポイントを小学校受験の親の心構えとして、常に念頭に置きたいですね。

小学校受験は中学受験の単なる先取りではない

本を読む子ども

飯田先生は、小学校受験において保護者が情報に振り回されることに懸念を示されましたが、もう一つ気になることがあると言います。それは、中学入試対策を4歳、5歳からという塾も出ていて、幼児教育を先取り学習と捉え、小学校受験は中学受験のためだと考える親御さんが増えてきているということです。

そう考える親御さんは、先のことばかり考えて、やらせすぎてしまう傾向にあるのでしょうか。飯田先生は、「お父さまお母さまは、子どもはここまでしかできないという確信をもとに、受験の対策を進めていくことが大事です。子どもはもちろん負荷をかけないと成長はしていかないので、伸芽会では合格に向けて幼児の段階ならここまでできますよ、という指針を保護者の方にお示しします。負荷をかけるタイミングや背負わせる量を間違えるとかえって重荷になってしまい、子どもの学習意欲が落ちてしまいます」と語気を強めていました。

最後に、これからの教育改革と小学校受験のメリットについて飯田先生は次のように話をしました。

「2020年の教育改革で公立が大きく変わる中、『主体的な学び』は私立、国立の学校が戦後やってきたこととそう違いません。今盛んに言われているアクティブラーニングや外国語教育を私立、国立はすでに実践しているので、小学校受験は追い風となっていくと思われます。また私立小学校は働くお母さまへの理解度が高くなってきており、アフタースクールを設けている学校がほとんどです。小学校受験が中学受験の先取りではいけませんが、私立・国立小学校での学びは、実は中学受験、大学受験と根っこの部分はつながっているということをご理解いただければと思います」

edu’s point
小学校受験をするご家庭はやはり少数派で、一部の過熱ぶりが小学校受験全体のイメージにもなりがちです。保護者はそのイメージに振り回されず、あくまで幼児教育の一貫として、子どもの小学校受験での成長を第一に考えることが大事だと感じました。
【後編】小学校受験合格に向けた親の心構え、関わり方とは

伸芽会は、2020年2月2日(日)に「名門私立小学校入試対策説明会Ⅰ 2021年度入試に向けて『私学教育』という選択と志望校選び」を開催します。私立小学校の先生方から直接お話をうかがう特別講演も予定されています。


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