私立高校授業料を実質無償化へ:エデュママリサーチ第14回

私立高校授業料を実質無償化へ2013年8月20日

◆実質無償で私立へ通える!?

家計

公立高校授業料無償化の見直しをめぐり、政府・与党が低所得世帯の私立高校授業料を実質無償化する案を検討していることが分かりました。
内容は、平成22年度より施行された「高等学校等就学支援金」について所得制限を導入し、捻出した財源で低所得層に約6万~12万円、中所得層に約6万円の増額、および新たに「給付型奨学金」を支払うというもの。
世帯年収250万円までの低所得層については、「高等学校等就学支援金」(増額後:年間29万7,000~35万6,400円)と「給付型奨学金」(私立高校:年14万円)を合わせると、私立授業料(年間平均:約38万円)が実質的に無償化されることになるのです。

〈世帯年収250万円までの層〉

高等学校等
就学支援金(年間)
給付型奨学金
(年間)
合計 私立授業料
(年間平均)
実質負担額
現行 23万7,600円 なし 23万7,600円 約38万円 約14万円
検討案 29万7,000~
35万6,400円
14万円 43万7,000~
49万6,400円
約38万円 なし

◆公・私立格差解消の影響とは

公立高校の授業が「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」により無償となって早3年。上記の案が施行された場合、低所得層においては、高校授業料による公立と私立の格差がほぼなくなると言えるでしょう。

インターエデュの連載『はじめての中学受験vol.10前半』で、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、近年人気の公立中高一貫校の魅力について「学費に対して期待値を越える教育、つまり『お得感』」と述べられました。公・私立の格差解消により、中高一貫校においては中学受験者にも影響があるかもしれません。
政府・与党は、平成27年度からの実施を目指しているとのこと。どのように展開するのか、これから受験を控えるご家庭にとっては、とても気になるところでしょう。

◆所得ラインで我が家はどうなる?

今回の案が可決されると、高校授業料に対する実質負担額は世帯年収によって、無償になる層・負担減になる層・現状維持の層・負担増になる層の大きく4つに分かれます。現在、その4つの層を決める切り札となる要素について、自公両党間で結論が出ていません。「高等学校等就学支援金」において所得制限をかける基準額を自民党は900万円、公明党は930万円と主張し、増額対象となる中所得層の上限を自民党は600万円、公明党は500万円と主張しています。

公立高校授業料無償化の見直しがきっかけで検討されている今回の案。そのポイントとなるのは低・中所得層支援の充実です。取組みの財源は高所得層への制限により捻出するという点を忘れてはならないでしょう。
インターエデュをご覧いただいているエデュママの世帯年収は、8割が800万円以上。所得制限の基準額がどう確定するかによって、「高等学校等就学支援金」の対象から外れることも考えられます。いずれにしても、今後の動きに注目ですね。

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