ものづくりへの好奇心と楽しさに満ちあふれた『LITALICOワンダーメイクフェス6』開催レポート

inter-edu’s eye
年長・小学生〜高校生向けのIT×ものづくり教室「LITALICO(りたりこ)ワンダー」では11月9日(土)〜10日(日)の2日間にわたり日本科学未来館(東京・港区)において、子どもによるIT×ものづくりの祭典『LITALICOワンダーメイクフェス6』を開催しました。
2020年度より、プログラミング教育が必修化されることで、最近では習い事としてプログラミング教室に通う子どもも増えてきました。そうしたプログラミングへの関心の高さを表すように、多くの来場者を集めた同イベント。熱気あふれる様子をレポートします。

直接発表する展示からオンライン展示まで誰もが発表できる場

「LITALICOワンダー」を展開する株式会社LITALICOは「障害のない社会をつくる」というビジョンの下、障害者向け就労支援事業や発達障害ポータルサイト「LITALICO 発達ナビ」など、障害分野でさまざまなサービスを提供しています。さらに一般教育領域において「LITALICOワンダー」を2014年4月に開校。現在、15教室合わせて約3,000人の子どもたちが通っています。

『LITALICOワンダーメイクフェス』は教室に通う子どもたちの作品発表の場でもあります。今回で6回目の開催となったイベント。子どもによる作品発表ということで、受付や会場案内は子どもたちが主体となって元気よく活動していました。

生徒たちの作品は、会場で直接見られるプレゼンテーション発表、ブース出展、ポスター展示のほか、オンライン発表というものもあり、待ち時間でも、また家に帰ってからでも見られるようになっています。こうしたポスター展示やオンライン発表は、人前で離すのは苦手という子でも発表できる機会があり、誰もが平等に発表できる場が整っていると感じました。

発表ゾーンの様子
発表ゾーン
ブース出展の様子
各ブースの出展者が作品を説明
数々のフィードバックシール
作品を見た来場客はフィードバックシールで作品を評価
ポスター展示を見る子ども
ポスター展示の作品にもフィードバックシールを貼っていく

そのほかAmazon、embot、toio、コクヨ等の最新テクノロジーが体験できる企業出展ゾーンもあり、大変な賑わいとなっていました。子どももまた一緒にきているお父さん、お母さんも興味深げな様子。ただ体験するだけでなく直接企業の人と話しができることも大いに刺激になっているようでした。

企業出展ゾーン
Amazonやtoioなど、企業出展ブースも大変な賑わいに
クラーク記念国際高等学校のブース
企業出展ゾーンにはクラーク記念国際高等学校も出展。AIロボット専攻、ゲーム・プログラミング専攻の生徒たちが自分たちの作った作品を説明

「作りたいと思ったら作り続ける」ことによって広がる世界

エデュナビ編集局では2日目午前中の発表を取材しました。

この時間のプレゼン発表は「ロボットクリエイトコース」「ロボットテクニカルコース」「デジタルファブリケーションコース」に通う16組。プレゼンテーションでは、何を作ったのか、なぜ作ったのか、大変だったところなど、スライドを作成し(場合によっては動画も制作)、きちんと要点をまとめて発表していたのが印象的でした。

最年少はトップバッターで発表したクリエーターネームSpeedyさん5歳。最初の発表ということでさぞかし緊張してしまうのでは?と思いましたが、堂々とした発表ぶりでした。

Speedyさんプレゼン
最年少のSpeedyさんがレゴで作ったのは「すごいエレベーター」。どうやったらうまく動くのか考え抜いて作っていた
にわか兄弟プレゼン
発表が終わると掲げられるフィードバックシート

次に発表したのは「にわか兄弟」という二人組。彼らが作ったのは駐車場(ただし車が駐車場に入る部分のみ)。入場ゲートの前で車が自動的に停止する、その車が来たことを感知しゲートバーが自動的に開くといった動作を、ロボット担当、プログラミング担当に分けて作り上げたとのこと。またこの作品を作るために実際に駐車場に行き、バーの色や仕組みの観察もしたそうです。その観察した成果が作品に生かせていました。

それぞれの発表が終わると審査員の講評以外に、観客も作品を審査します。作品の魅せ方やデザインが良ければ「ナイスデザイン」、アイデアや着眼点がユニークであれば「ナイスユーモア」、作品に世界観がある、共感するという場合は「ナイスストーリー」、プログラミングや技術がハイレベルと思ったら「ナイステクニック」と書かれたフィードバックシートを掲げ、すべて良いと思ったらそのシートを頭上で大きく振ります。観客は自分の感想をそのシートで伝え、発表者は自分の作品に対する評価をステージ上で確認できるのです。

すべての作品発表が終わると、特別プレゼンとしてロボットテクニカルコースのcolaさんの発表が行われました。

colaさんは現在高校2年生。LITALICOワンダーに入って4年になります。colaさんは小学校から中学校にかけて不登校になった経験があり、そのときに親御さんのすすめでLITALICOワンダーのロボットテクニカルコースに入り、もともとものづくりが好きだったこともあり、すぐに夢中になってロボットづくりにのめり込んでいったと話します。そうしてロボットを通じ人との交流や、ワンダーメイクフェスで審査員賞を受賞するなどの経験を経て、学校に復帰。現在は工業高校に通い金属加工で部品をつくるところから手掛け、さらに3DCADでの設計など、ロボット製作を突き詰めています。

colaさん特別プレゼン
colaさんのつくったロボット実演

講演ではこれまで手掛けた作品を紹介。実際にいま手がけているロボットのデモンストレーションも行われました。「近くで見ていいよ」というcolaさんの声掛けで、一斉に壇上に上がる子どもたち。colaさんのロボットをかぶりつくように見ていました。子どもたちにとってcolaさんはきっと憧れの先輩なのでしょう。

最後にcolaさんは子どもたちに向け、「(これを)作りたいと思ったら、作り続けていって欲しい」というメッセージを送り、ロボットづくりによって、いかに自分の世界が広がり、そしていろいろなことにつながっていったのかその経験を話しました。

さてプレゼン発表では発表者の中からその子らしい挑戦やオリジナリティがある発表を表彰する審査員賞と、会場で一番みんなをワクワクさせた発表を表彰するワンダー賞が選ばれます。

表彰式

ワンダー賞は「すごいピタゴラ」という作品を作ったリュウガミさん。 受賞理由は「製作中は途方もない数の失敗をしていたが、会場では楽しいプレゼンを行った」ということ。表彰前のインタビューでは「今回発表したものは全然だめだったけど、次はもっとすごいの作りたい」と言っていたのですが、まさかの受賞です!

また審査員賞には「にわか兄弟」も選ばれていました。

全体を通して感じたのは、作品を発表する子どもたちが自信を持って自分の作品を発表していること。そしてそれを見る子どもたちが楽しみながらも真剣な表情で聞いていることでした。
ロボットやゲームなど自分で考えたものが形になって表現できること、そしてそれを見た人からの評価によってさらに自信になり、より深く追求する力が生まれるのでしょう。ものづくりへの、好奇心と楽しさが満ちあふれたイベントでした。

主催者コメント
本イベントも6回目。嬉しいことに年々規模拡大していく中で、子どもたちから憧れられる「先輩クリエイター」も登場するようになりました。会場のあちこちで生まれた「できる」や「楽しい」の体験や、新しい人やモノとの出会いが、ひとりひとりの世界をぐんと広げてくれることを願っています。


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