私立小学校の垣根を越えて「未来の学び」を考える先生たちのコミュニティ

inter-edu’s eye

「教育改革のソノサキへ」
全国の私立小学校の先生たちが、学校の壁、教科の壁を乗り越えて「未来の学び」についてともに考えるコミュニティ「私立小『未来の学び』Platform 192Cafe」。私立小学校の数は全国の小学校数のわずか1.1%。しかし私立だからこそ取り組める先進的な実践例が多くあります。そうした学校独自の教育環境、外部ソリューションをフル活用した教育実践について、フラットな立場で議論し、情報を共有し合い、さらに学び合う場が192Cafeなのです。

今回エデュナビでは、1月18日に開催された公開イベント「教育改革のソノサキへ」において行われたワークショップの模様を取材。自身の学校に、そして授業にどのように活かせるか、楽しみながらも真剣な面持ちで取り組んでいました。

企業×私立小のコラボレーションで、どんな新しい学びが創れるか

192Cafeは年2回の公開イベントを中心に、SNSやミニセミナーなど、常に積極的な情報交換を行っています。2019年活動開始から今回で3回目。教育改革を目前にした今、改めてその価値を世に問い、新時代へ向け、目指すべき未来の学び(教育改革のソノサキ)について考えていこうというテーマで開催されました。

会場となったのは2019年9月に新校舎が開設された成城学園初等学校。
当日はこの冬初めての本格的な雪が降る中、全国各地から多くの先生たちが集まりました。

第1部では広尾学園中学・高等学校の金子暁副校長が登壇。廃校の危機にあった同校を人気校に押し上げた教育改革について語られました。

第2部は「私立小×企業で創れる『未来の学び』ワークショップ」です。
プログラミングアプリやリアルタイム授業支援アプリ、AIを活用したタブレット型学習支援アプリなどの教育ICT企業5社が参加。各社の提供するツールを活用して、どんな学びができるのかを考えていく創造的なセッションです。こうした企業とのコラボレーションができるのは私立小学校ならではと言えるでしょう。

ワークショップは木材をふんだんに取り入れた真新しい教室を使って行われました。
各ワークショップの定員は40名ほど。参加者は先生や教育関連企業、通信会社の人などさまざまです。それぞれ参加希望するワークショップ会場に分かれて、まずはアプリの使い方の講習からスタート。その後、4~6人の班に分かれて、実際の授業ではどのような使い方ができるか、グループでディスカッションをし、最後に話し合った成果を発表するなど、ワークショップで得た成果を発表していました。

それぞれのワークショップには実際に導入している学校の先生も加わっているので、実際にどのように使っているか、どんな場合に有効なのかなど、実践的な話を聞くこともでき、さまざまな可能性を模索できた時間になったようです。

「LoiLoNote×創造性」

「LoiLoNote×創造性」

思考力やプレゼン力などを育成するクラウド型授業支援アプリを使ったワークショップ。まずはどんなツールなのかを体験した後、「もし自由に授業時間を使えるとしたら」というテーマで、アイデアをまとめ、最後にプレゼンしました。

「MetaMoji Classroom×対話」

「MetaMoji Classroom×対話」

MetaMoji Classroomは自由自在に手書きができるいわばデジタルノート。リアルタイムで画面共有もできます。タブレットペンの利用について「普段きれいに字が書ける子でもタブレット用のペンだとうまく書けないこともある。書くことにちゅうちょしてしまう子どもがいるかもしれない」という声も。また従来のアナログノートでは、生徒がその都度、先生にノートを見せることで生まれていたコミュニケーションが、操作一つで送信できるデジタルノートになるとどうなるのか、その場合、教師と児童のコミュニケーションにどんな距離感が生まれるのか、などグループごとに活発な議論が行われていました。

「schoolTakt×深い学びと関わり」

「schoolTakt×深い学びと関わり」

生徒の学習状況をリアルタイムに把握、生徒同士の解答を共有することができるアプリ。ここではオリンピックで注目していることを書き、一番多く使われている言葉をクラウド上で画面共有できることなどを体験。リアルタイムで情報を共有できることによって、授業にどんな効果があるのかが話し合われました。

「Qubena×つながり」

「Qubena×つながり」

AI型タブレット教材の「Qubena」は生徒の得意不得意をAIが分析し解くべき問題を誘導するというもの。実際の導入事例を聞いた後、このツールを導入したら、どんな授業設計ができるかなどをグループで話し合い、発表していました。ある先生からは、「解説、ヒントが出ることで生徒の思考を止めずにつなげていくことができる」という声も聞かれました。

「Springin’×プレゼン」

「Springin’×プレゼン」

ビジュアルプログラミングアプリ「Springin’」をまずは体験。実際にタブレットに絵を描いていきます。
慣れない操作に戸惑いながらも、どんどん絵を描き、それが動く!という楽しさに先生方も夢中になっているようでした。

ライトニングトーク

第3部は2つの会場に分かれてのライトニングトークが行われました。
持ち時間は5分。ICT教育の実践に向け、学校自体がどんな取り組みを行っているのか、リアルな状況が語られました。

先生たちだけでなく、企業も含めて行われた今回の公開イベント。
今後、学校におけるICTの活用は、単純に機械を導入するだけでなく、授業内容や、授業の進め方、生徒の成績管理など、学校教育に幅広く取り入れられていくことでしょう。実際にワークショップで、授業支援アプリをどのように活かせるか、現場目線での取り組み例が聞けるなど、多くの刺激が得られたイベントのように思われました。

192Cafeでの出会いからさまざまな取り組みが生まれる場に

今回のイベントを振り返り、192Cafe事務局より以下のメッセージをいただきました。

「今回のイベントは、170名もの方にご参加いただき、お陰様で盛況のうちに終えることができました。今後とも、私立小の先生方が、学校と教科を越えて集まり、未来の学びについて考えるプラットフォームとして活動を続けていきます。また、企業や一般の方が多くいるのも、192Cafeの価値です。ここでの出会いから、私学ならではの外部リソースをフル活用したさまざまな取り組みが生まれることを期待しています。そうして生まれた素敵な実践を、またこの場で共有することで、さらに高め合っていきたいと思い描いています。」


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