後編では、廣瀬先生のご経験やお考えをお聞きしながら「面白い!」と思う気持ちを育てていくヒントを探っていきます。(取材:2020年9月)
考えることが面白くなるためには「知識」が必要
エデュ:廣瀬先生は、新しい技術を生み出すことや、そのために思考することを大変面白いと感じていることが伝わってきました。そこで、考えることが面白くなるヒントとなるようなお話をうかがえますでしょうか。
廣瀬先生:今は考えることが趣味のようになっていて、逆に考えることがないというのは、非常につまらないと感じています。眠れないときに、未解決である課題について考え始めると、もの凄く面白くなって集中できて楽しめ、疲れたら自然に睡眠に入れます。
しかし、大学時代はそうではありませんでした。基礎の学科の勉強ばかりで、本当に疲れてしまって。大学内で見かけたIBMのロゴにある“think”という文字を見て、「こういった会社に行くと、考え続けなければならないのか…。消耗しそうで嫌だな」と思ったこともありました。
さらに遡ると、幼稚園のときに親から、「小学校に行ったら、その後に中学校に行って、高校に行って、大学もあるんだよ」と言われたときに、「そんなに勉強しなければいけないのか?」と思ったことをとてもよく覚えています。
それが実際には大学院まで行ったんですから、わからないものです。
大学入試時や大学時代に詰め込んだ知識が、今の思考にとても役に立っていることを考えると、やはり、受験勉強などを通して、基礎知識、あるいは忍耐力みたいなものを身につけていないと、考えることを楽しむというところに至らないのではと思います。
何かのコツを掴めば考えることが凄く楽しくなるというものでもなく、コツコツやるべきことをやっているうちに、段々と面白くなるということかもしれません。