中学受験は「親の受験」ではなく「子の受験」。一歩引いて見守る強さを

Q

成績に悩む6年生の娘に勉強のアドバイスをしたところ、「勉強には口を出さないでほしい」と泣きながら言われてしまいました。どのような方法が本人のためになるのでしょうか?

小6の中学受験を控えた娘の母親です。

受験勉強へのかかわり方について悩んでいます。娘は小学4年から大手集団塾に通いはじめ、成績は上り調子だったのですが、6年になってから思うように結果が出ないようになりました。これまでは結果も出ていたので、勉強は本人に任せていたのですが、娘が成績に悩む姿を見て何かできることはないかと思うようになりました。

これまでのテスト結果を分析して苦手分野を見つけ、塾の先生のアドバイスや書籍などを参考に「こんな勉強をしてみたら…」と話してみました。しかし、娘には「勉強には口を出さないでほしい」と泣きながら言われてしまいました。おそらく一番気にしていたことを指摘され、辛く感じたこともあると思うのですが、母親に口を出されたくないという思いを持つのも分かるように思います。しかし、このまま本人任せでよいものか…どのようにサポートしてあげるべきか…と頭を悩ませています。

「中学受験は親の受験」という言葉も聞きますが、これまで大したことをしてこなかった反省もあり、残り半年しっかりサポートしてあげたいと思っています。どのような方法が本人のためになるのか、アドバイスいただけますと幸いです。

A

親の役割は子どもの受験を間接的にサポートすることだけです。焦ったときこそ一歩引いてお子さんを見守ってあげてください。

6年生になって、いままでエンジンがかかっていなかったお子さんも目の色を変えて頑張り始めますから、そのなかで成績を伸ばし続けることは至難の業となります。みんなが出力を上げていく中で、現状維持ができているのであれば、十分に頑張っている証拠だと思っていいでしょう。

娘さんには、これまで自分で工夫して勉強を頑張ってきた誇りがあると思います。ちょっと成績が伸び悩んでいるからといって、親に口出しをされることに強いいらだちを感じたのでしょう。中学受験生としてとても立派です。そのことを褒めてあげてください。その気持ちを理解せず、安易に手を貸そうとしたことを謝ってあげてください。そういう娘さんなら、すぐに気を取り直して、自分で頑張る方法を見つけると思います。

はっきり申し上げます。「中学受験は親の受験」は幻想です。忘れてください。「中学受験は子の受験」です。親の役割は子どもの受験を間接的にサポートすることだけです。親の熱心さが、勉強に直接的に口や手を出すことに向けられると、子どもは簡単につぶれます。親の熱心さは、焦りをグッとこらえて見守るエネルギーにこそ昇華してください。焦ったときこそ一歩引いてお子さんを見守ってあげてください。

編集部からの一言

中学受験まで1年を切ると、普段冷静沈着な親御さんですら、声を荒げたりして取り乱してしまうという話をよく聞きます。受験が迫ってくればくるほど、親は子どもへのプレッシャーを強めてしまい、その歯止めが効かなくなってしまう……。どのご家庭でも起こり得ることです。親御さんが現時点で焦りを感じているようでしたら、おおたさんが伝えた「『中学受験は親の受験』は幻想」だということをたびたび思い出してもらえればと思います。

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第2章 第一志望に合格しても癒えぬ傷
第3章 摂食障害や万引きというSOS
第4章 シェルターに来るのは女子が圧倒的多数
第5章 スパルタ教育での“成功”は美談か
第6章 理性の皮を被った感情の暴走
第7章 最凶の教育虐待を生む2つの機能不全
第8章 結局のところ、親は無力でいい


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