6年生春からやっとやる気に。尻を叩くべきか見守るべきか。
Q
親としてどの程度まで受験に肩入れすべきなのかわからなくなってしまいました。親としての心構えをどう持てば良いのでしょうか。
中学受験生の6年男子母です。
大手塾に籍は置いてきたものの、まともに通わなかったのに6年春に本人がやっぱり受験はしたいと言い出しました。やる気になり始めたので、親としてはできるだけサポートしたいと思うのですが、何しろ3年生、4年生の間の蓄積は無いに等しく、本人が口にする志望校を考えるとかなり厳しい状況です。
しかし親の欲目か、よく見るとなかなかポテンシャルがありそうで、グッと押し上げれば結構な偏差値まで行くのでは、という期待感も持ってしまいます。
受験は本人次第、偏差値で学校の善し悪しが決められるものでも無い、親が乗り気になり過ぎて誰のための受験か分からなくなるような本末転倒な事にはしたくない、と元々どちらかというと一歩引いていた自身の立ち位置から、せっかく受験勉強をするなら結果を出して満足と成功体験を味わせてあげたい、多少の無理はさせてでも志望校に入れてあげるのが親の務めではないかと悩み、親としてどの程度まで受験に肩入れすべきなのかわからなくなってしまいました。
本人のやる気に合わせた勉強をさせて、志望校に届かなかろうが親から押し付けの無理はさせずあくまで見守る姿勢を貫くべきか、叱咤激励とまで行かなくとも大人がリードしてある程度の結果を出せるように親子で一緒に頑張るべきなのか、親としての心構えをどう持てば良いのでしょうか。
A
どんなかかわりをしたら息子さんの勉強の質が上がり、中学入試本番にベストの状態で臨めるのかを、息子さんの様子を見ながら考えてください。
6年生になってご本人が中学受験への意志を明確にもったのですね。それまでお母さまが一歩引いて見守っていたからこそ、本人の自発性が芽生えたのですね。
とはいえいままでのんびりと過ごしてきた分、遅れを取っていることは間違いないと。でも、それでもお母さまがポテンシャルを感じていることは、息子さんへのいちばんの励ましになると思います。
現状ですとご本人の志望校には手が届きそうにない成績なのですね。でもいままでゆるくやられてきたのなら、たしかにまだわからないですね。ただ、その可能性については私にはなんともいえません。塾の先生とよくご相談ください。
それはそうと、今回のご相談の主旨は、多少お尻を叩いてでもある程度の結果が出るように親が導くべきかどうかということですね。お母さまも全力で応援してあげて親子で頑張るのはとてもいいことだと思います。
でも、お尻を叩けば成績が上がって志望校に合格できるという単純なものでもありません。どんなかかわりをしたら息子さんの勉強の質が上がり、中学入試本番にベストの状態で臨めるのかを、息子さんの様子を見ながら考えてください。
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第5章 スパルタ教育での“成功”は美談か
第6章 理性の皮を被った感情の暴走
第7章 最凶の教育虐待を生む2つの機能不全
第8章 結局のところ、親は無力でいい
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