THE世界大学ランキングから見る大学
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英国の高等教育専門誌『Times Higher Education』(以下「THE」)が毎年秋に発表しているTHE世界大学ランキング。先日2019年3月27日には、3回目となる「THE世界大学ランキング日本版」も発表されました。そこで、今回はこのランキングについて考えてみたいと思います。
日本のランクイン大学数、イギリスを抜いて第2位に!
2018年のTHE世界大学ランキングでは、86か国1250校以上の大学が順位づけされました。その中で日本からランクインしたのは103校(国立55校、公立10校、私立38校)。前回の89校から大躍進を遂げました。日本で最も上位にランクされた東京大学は46位から42位へ、国内2位の京都大学も74位から65位へと大きく順位を上げています。
2018年の傾向としては、校数第2位の座を日本に明け渡したイギリス、ランクイン数こそ伸ばしたものの順位が下降した大学の多かったアメリカなど、欧米の大学に陰りが見える一方で、中国(22位の清華大学がアジアトップ)、香港といったアジアの大学が勢いを増しています。地理的に近いアジアの大学とこれからどう渡り合っていくのか、2020年の大学入試改革などをきっかけに、日本の大学がこれからどう力をつけていくのか、動向を見守りたいと思います。
お子さまが海外大学への進学を検討する際の参考にも
近年、難関私立中高一貫校を中心に、日本の大学ではなく海外の大学を進学先として選ぶ生徒数が増えてきています。そういった優秀なお子さまをもつ保護者の方にとっても、「THE世界大学ランキング」の内容は大いに参考になります。
「わが子に最先端の研究をさせてあげたい」「わが子の才能には並々ならぬものを感じる」そんな保護者の方は、海外大学への進学という選択肢も頭の片隅にとどめ、お子さまの大学受験まで、毎年のTHE世界大学ランキングを定点観測しておくのもよいかもしれません。
順位 | 大学名 | 国名 |
---|---|---|
1 | オックスフォード大学 | イギリス |
2 | ケンブリッジ大学 | イギリス |
3 | スタンフォード大学 | アメリカ |
4 | マサチューセッツ工科大学 | アメリカ |
5 | カリフォルニア工科大学 | アメリカ |
6 | ハーバード大学 | アメリカ |
7 | プリンストン大学 | アメリカ |
8 | イェール大学 | アメリカ |
9 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | イギリス |
10 | シカゴ大学 | アメリカ |
世界版・アジア版と日本版では、ランキングの視点が異なる
さて、「THE世界大学ランキング」の評価ポイントは、「教育力」「研究力」「引用数(研究の影響力)」「国際性」「産業界からの収入」の5分野。大学を研究機関と捉え、博士号取得者数の比率、論文引用数など、大学院での「研究力」「引用数」が重視されています。
一方、日本版では、大学院ではなく学部での「教育力」に主眼が置かれた評価がなされています。学生と教員の比率、教員一人当たりの論文数などの「教育リソース」、学生の入学後の学力伸長、高校教員からの評判といった「教育充実度」、企業の人事担当者からの評価や所属する研究者の評判による「教育成果」、外国人学生数、外国人教員数、留学する学生数、外国での講義などを測る「国際性」がその評価基準で、より日本の社会事情にマッチしたものになっています。さらに、4つの分野別のランキングも発表されています。「THE世界大学ランキング日本版」は、高校の進路指導や企業の採用活動にも活かしやすい指標といえるでしょう。
分野別ランキングを大学選びのポイントの一つに
お子さまの大学選びの際には、どうしても目先の偏差値や家からの通学の利便性に目がいってしまうかもしれません。ですが、ここで大学の「THE世界大学ランキング日本版」の分野別ランキングも併せて活用してみることをおすすめします。
例えば留学を希望していたり、将来世界ステージに活躍したいと考えているお子さまなら「国際性」が、面倒見の良い環境でしっかりと研究に取り組みたいお子さまなら「教育リソース」や「教育充実度」が、大学選びの重要ポイントになるでしょう。高校までとは異なり、大学は多くのお子さまにとって最終学歴となります。だからこそ、大学名というブランドももちろん大事ですが、それ以上に大切なのは、お子さまが大学の4年間ないし6年間で何をどのように学び、身につけることができるか? 自信を持って社会に出て、活躍することのできる人間になれるか? ということなのではないでしょうか。
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