特集第6回「大学の就職状況について」:大学受験情報

inter-edu’s eye「何のために大学へ行くのか」を考えたとき、真っ先に思いつくのは「就職」についてではないでしょうか。では、お母さま方はお子さまが志望する大学の就職率をご存知ですか? 「NO」と答えた方は、必見です! こちらの記事を読んで、大学のキャリア教育や就職について、正しく調べられるようにしておきましょう。

就職状況を調べてみよう

ここ数年の大学生就職率は90%強

大学の就職状況について

文部科学省および厚生労働省が発表した「就職状況調査」によると、平成24年度大学卒業生の就職率(平成25年4月時点)は93.9%で、前年度の93.6%から0.3ポイント増という結果でした。なお過去数年を振り返ると、平成19年度に96.9%だった就職率は、平成22年度に91.0%まで落ち込み、その後2年連続で回復傾向にあるという状況です。

母数となるのは「就職希望者」

注意が必要なのは、文部科学省が掲げる就職率の定義が「就職希望者に占める就職者の割合」であるということです。つまり、進学を希望する卒業生や、就職を望まない卒業生は算出の母数に含まれません。なお、平成24年度における「卒業生全体に占める就職者の割合」(平成25年4月時点)は66.0%でした。つまり、「大学に行けば就職できる」というわけでは決してなく、お子さま本人が大学生活の中で何を学び、どんな希望をもつのかということがより重要であるということを覚えておかなくてはなりません。

大学ごとの状況は数字以外も要確認

各大学では、就職状況をHPやパンフレットなどに掲載しています。知っておいていただきたいことは、「難関大学だからといって、みんな就職するとは限らない」ということです。たとえば東京大学の場合、平成23年卒業生3,142名のうち、就職者数は1,023名。つまり「卒業生全体に占める就職者の割合」はわずか33%ほどを示します。この要因となるのは、進学者が1,792名で多いということ。大学によって、「進学希望者が多い」「この専門分野には強い」「この企業にたくさんOBがいる」など、就職率という数値だけでは見えない特徴があるのです。お子さまの目指す道について強みをもつ大学なのかどうか、就職先や進学先など、数字以外の内容にも目を向けるといいでしょう。

変わりゆく就職支援体制

キャリア教育の義務化

キャリア教育の義務化

昨今の厳しい雇用情勢などを踏まえ、大学設置基準の改正がなされ、2011年度より大学における職業指導(キャリアガイダンス)が制度化されました。つまり、それまで大学任意で行われていたキャリア教育が義務化されたのです。これにより、当該年度以降に大学に入学した学生の就職状況がどう変化するのか、今後注目したいところです。

就職活動の解禁時期見直し

学生が学業に専念できる環境づくりなどを目的に、2016年卒業生より、就職活動の解禁時期が「大学3年生の12月」から「大学3年生の3月」に後ろ倒しされることが決まっています。これに伴い、大学には留学やインターンシップの推進などキャリア教育の充実化が促され、大学ごとの就職支援にも影響があることが予想されます。

現在、小中学生や高校生のお子さまをお持ちの多くのお母さまが、将来の「就職」を視野に入れた教育を行われているのではないでしょうか。塾通いも中学受験も、その先の将来を見据えてのこと。世の中の変わりゆく就職状況には、常にアンテナを張っておきたいものですね。