センター試験速報 生物基礎

2020年度

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全体概観

大問数、設問数は昨年と同様であるが、マーク数が大幅に増加した。また、大学入学共通テストの試行調査に類似した、会話文形式の問題が出題された。

難易度:昨年並み

大問数は3問、設問数は16問で昨年と同様であるが、マーク数は23個で昨年より5個多く、大幅に増加した。出題形式は空所補充、用語の組合せ、正誤判断が主体ではあるが、問題文が長く、解答に時間を要する。また、大学入学共通テストの試行調査に類似した会話文形式の問題が出題された。昨年に引き続き、計算問題も出題されている。全体の難易度は、難化した前年度とほぼ変わらないと思われる。例年同様、特定の分野に偏ることなく、幅広い内容が出題されている。出題内容は、第1問が「生物と遺伝子」から生物の特徴・代謝・ミクロメーターの使い方・生体構成物質・遺伝情報とDNA・遺伝情報とタンパク質の合成・DNAの研究史、第2問が「生物の体内環境の維持」から体液の濃度調節・ホルモン・免疫、第3問が「生物の多様性と生態系」からバイオーム・炭素の循環・生態系とエネルギーの流れ・地球温暖化・大気中の二酸化炭素濃度の変化である。全体として、解答までに時間を要する問題も散見されるが、問題ごとの難易の差が大きく、平均点は難化した前年とほぼ変わらないと予想される。

設問別分析

【第1問】生物と遺伝子(生物の特徴・代謝・ミクロメーターの使い方・生体構成物質・遺伝情報とDNA・遺伝情報とタンパク質の合成・DNAの研究史)

設問数は6問で昨年と変わらないが、マーク数は10個で昨年と比べて3個増加した。Aでは、生物の特徴・代謝・生体構成物質に関する知識問題と、ミクロメーターを用いた計算問題が出題された。問1は生物の特徴や代謝に関する知識問題であり、平易。問2はミクロメーターを用いてミトコンドリアの長さを求める計算問題。問3は生体構成物質に関する知識問題であるが、やや解答しにくい。Bでは、遺伝子の発現や塩基の相補性に関する知識問題と、DNAの研究史に関する考察問題が出題された。問4は問題文が長いが、問われている内容は遺伝子の発現に関する基本的な知識であり、平易。問5はDNAとRNAの塩基の相補性に関する知識問題であり、平易。問6はDNAの研究史に関する考察問題であるが、実験内容を覚えていた受験生は素早く解答ができたであろう。

【第2問】生物の体内環境の維持(体液の濃度調節・ホルモン・免疫)

設問数は5問で昨年と変わらないが、マーク数は5個で昨年より1個減少した。Aでは、体液の濃度調節に関する考察問題とホルモンに関する知識問題が出題された。問1は硬骨魚類の体液の塩類濃度に関する考察問題である。淡水魚と海水魚の尿中の塩類濃度を比較する考察はやや難しい。問2は塩類細胞がおこなう塩類の輸送に関する考察問題であるが、塩類の輸送方向を知識として習得していた受験生は素早く解答ができたであろう。ホルモンに関する知識問題は平易。問3は硬骨魚類における外界の塩類濃度の変化に対する体液の塩類濃度に関する考察問題であり、やや難しい。Bでは、免疫に関する知識問題と考察問題が出題された。問4は細胞性免疫に関する知識問題であるが、正確な知識が要求されており、解答に時間を要する。問5は体液性免疫に関する考察問題である。実験内容と図を組み合わせて考察する力が問われており、解答に時間を要する。

【第3問】生物の多様性と生態系(バイオーム・炭素の循環・生態系とエネルギーの流れ・地球温暖化・大気中の二酸化炭素濃度の変化)

設問数は5問で昨年と変わらないが、マーク数は8個で昨年より3個増加した。Aでは、バイオームや炭素の循環、生態系とエネルギーの流れに関する知識問題が出題された。問1は平易。問2は主要な元素が炭素と窒素のいずれであるかの判断に時間を要する。問3は平易。昨年度も同じような問題が出題されている。Bでは、地球温暖化に関する知識問題と大気中の二酸化炭素濃度の変化に関する考察問題が出題された。問4は平易。問5は大気中の二酸化炭素濃度の変化に関するデータ考察問題であるが、季節変動の大きい地域と小さい地域での光合成をおこなう期間の長さに関する考察に若干の時間を要する。

2019年度

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全体概観

実験考察問題が増加し、計算問題が出題された。

難易度:難化

大問は3題、問題数は16題で昨年と変わらず、解答数は18個で昨年より1個増加した。問題形式は空所補充、用語の組合せ、正誤判断が主体ではあるが、当てはまる選択肢を過不足なく含むものを選ばせる知識問題が出題され、実験考察問題が増加した。また、昨年は出題されなかった計算問題が出題された。難易は昨年に比べて難化した。例年同様、特定の分野に偏ることなく、幅広い内容が出題されている。出題は、第1問が教科書の「生物と遺伝子」から生物の特徴・代謝・遺伝情報とDNA・遺伝情報とタンパク質の合成、第2問が「生物の体内環境の維持」から血液凝固・血液の循環・酸素解離曲線・免疫、第3問が「生物の多様性と生態系」から生態系での窒素の循環・生態系とエネルギーの流れ・植生の多様性と遷移である。前年と同じく、教科書の項目に沿った出題であるが、実験考察問題の増加により、時間内で十分な解答をすることは難しかったと思われる。

設問別分析

【第1問】生物と遺伝子(生物の特徴・代謝・遺伝情報とDNA・遺伝情報とタンパク質の合成)

設問数は6問、解答数は7個でどちらも昨年と変わらなかった。Aでは、生物の特徴に関する知識問題と、代謝に関する知識問題と実験考察問題が出題された。問1は当てはまる選択肢を過不足なく含むものを選ばせるという点でやや難しい。問2は紛らわしい選択肢が多く、得点差がついたであろう。問3は酵素に関する実験考察問題であり、仮説を検証するための実験を解答する必要があった点が真新しい。Bでは、DNAと遺伝情報に関する知識問題と、遺伝子の発現に関する計算問題が出題された。問4・問5はDNAに関する空所補充と知識問題であり、容易に解答できる。問6は遺伝情報とタンパク質の合成に関する計算問題であり、DNAが300塩基「対」であることを把握できたかで、正答率に差が生じたと思われる。

【第2問】生物の体内環境の維持(血液凝固・血液の循環・酸素解離曲線・免疫)

設問数は5問で昨年と変わらず、解答数は6個で昨年より1個増加した。Aでは、血液凝固に関する知識問題と、血液の循環と酸素解離曲線に関する考察問題が出題された。問1は易しい知識問題。問2は与えられた条件での血液循環の変化を考察する必要があり、解答に時間を要する。問3は酸素解離曲線に関する考察問題であり、二酸化炭素濃度による酸素解離曲線の左右へのシフトを考察する必要があり、やや難しい。Bでは、免疫に関する知識問題が出題された。問4・問5ともに解答し易い。

【第3問】生物の多様性と生態系(生態系での窒素の循環・生態系とエネルギーの流れ・バイオーム・植生とその環境・植生の遷移)

設問数は5題、解答数は5個でどちらも昨年と変わらなかった。Aでは、生態系での窒素の循環とエネルギーの流れに関する知識問題が出題された。問1・問2ともに解答し易い。Bでは、植生とその環境に関するデータ考察問題と、植生の遷移に関する実験考察問題が出題された。問3はバイオームに関する知識問題と、葉の寿命と厚さに関するデータ考察問題であり、やや難しい。問4は光‐光合成曲線のグラフを読み取る問題であり、解答に時間を要する。問5は遷移に関する考察問題であり、遷移の正確な知識を必要とするため、難しい。

2018年度

問題・解答はPDFファイルです。ご利用の端末や通信環境によっては表示に時間が掛かる場合がございます。

全体概観

細かい知識を問う問題と考察問題が出題された。

難易度:やや難化

大問は3題、設問は16問で昨年より1問増加し、マーク数は昨年と変わらなかった。問題形式は空所補充、用語の組合せ、正誤判断が主体ではあるが、「細かい知識を必要とする設問」が増加し、「データを考察させる設問」が出題されたため、全体的にやや難化した。また、昨年と同様で「当てはまる選択肢を過不足なく含むものを選ばせる設問」はなく、昨年まで毎年出題されていた計算問題もなくなった。出題は、第1問が教科書の「生物と遺伝子」から生物の特徴・代謝・遺伝情報とDNA・核酸の構造、第2問が「生物の体内環境の維持」から血液循環・尿生成・ホルモン、第3問が「生物の多様性と生態系」からバイオームの分布・遷移である。第3問のバイオームは現行課程に移行してから4年連続の出題であるが、遷移は初めての出題である。前年と同じく、教科書の項目立てに沿った出題であるが、細かい知識を問う問題や考察問題の出題により、時間内で十分な解答をすることは難しかったと思われる。

設問別分析

【第1問】生物と遺伝子(生物の特徴・代謝・遺伝情報とDNA・核酸の構造)

設問数・マーク数ともに昨年と変わらなかった。問1は生物の共通性に関する知識問題である。細かい内容を問う選択肢が多く、解答に時間を要する。問2は細胞の構造に関する空所補充、問3は光合成に関する知識問題である。問4は染色体とDNAに関する空所補充であるが、DNAがタンパク質と結合していることを覚えている必要がある。問5はDNAの研究史に関する知識問題であるが、題意に適した選択肢を選ばなければならず、また、紛らわしい選択肢が多いため、正答率は低かったと思われる。問6は核酸の構造に関する典型的な空所補充であり、容易に解答できる。

【第2問】生物の体内環境の維持(血液循環・尿生成・ホルモン)

設問数・マーク数ともに昨年と変わらなかった。問1は血液循環に関する全体的な知識が問われており、紛らわしい選択肢が多く、内容を正確に覚えていないと正答は難しかったと思われる。問2は腎臓の構造に関する典型的な空所補充であり、容易に解答できる。問3は尿生成に関する知識問題であるが、一部で紛らわしい選択肢があり、正答率は低かったと思われる。問4はホルモンに関する空所補充、問5は知識問題であるが、いずれも正答を選びやすい選択肢であった。

【第3問】生物の多様性と分布(バイオームの分布・遷移)

設問数が1問増加したが、マーク数は昨年と変わらなかった。バイオームについては4年連続の出題であり、遷移は初めての出題である。問1はバイオームに関する知識問題であるが、バイオームの位置を正確に覚えていないと正答は難しい。問2は図と日本のバイオームに関する知識を照らし合わせる必要があり、解答までに時間を要する。問3は遷移に関する知識問題であるが、一部で紛らわしい選択肢があり、正答率は低かったと思われる。問4は図と表を考察する問題であり、考察問題に慣れていないと解答までに時間を要する。問5は遷移に関する典型的な空所補充であり、容易に解答できる。

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