センター試験速報 生物

2020年度

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全体概観

知識問題が増加した。実験考察問題が平易なものが多いが、解きにくいものが散見され、難易度は昨年並み。

難易度:昨年並み

昨年と同様に、大問数は6題であり、第6問と第7問が選択問題である。設問数は第6問、第7問どちらを選択しても30問であり、昨年の26問よりも増加した。マーク数は第6問では34、第7問では35と、昨年(32)よりも増加した。知識問題は、生物の教科書の内容を押さえておけば解ける平易なものが多かったが、分量が増加した。実験考察問題の分量が多く、図・表などデータの量が増え、処理に時間がかかるだろう。また、実験の解釈が難しいものが散見され、全体として昨年並みの難易度であった。

設問別分析

【第1問】生命現象と物質(オペロン、細胞周期)

Aはラクトースオペロンと真核生物の転写調節に関する知識問題、Bは細胞周期に関する知識問題と実験考察問題である。全体に易しめである。問1~3は教科書レベルの知識があれば解けるだろう。問4は、細胞数が2倍になる目盛りを読めるかどうかが勝負。問5は図2のグラフ1を二次・私大の過去問で練習していれば難しくはない。

【第2問】生殖と発生(ホヤの発生、花のABCモデル)

Aはホヤの発生運命の決定に関する実験考察問題、Bはアサガオの花の形成とABCモデルに関する知識問題である。Aの実験結果の解釈が難しく得点差がついたであろう。問1は易しめの知識問題である。問2、問3は実験結果の解釈が難しく、大きく得点差があついたであろう。問4、問5は、考察問題のようであるが、ABCモデルの基礎知識があることが前提になっているので、覚えていないと大きく失点したであろう。

【第3問】生物の環境応答(視覚、神経、筋収縮、カイコガのフェロモン、植物ホルモン)

Aは視覚、神経系、筋収縮に関する知識問題とカイコガのフェロモンに関する実験考察問題である。全体に易しめである。問1、問2は、教科書レベルの知識問題、問3の実験考察問題は、易しめであり、得点差がつかなかったであろう。問4、問5は、選択肢の文章が平易であり、図1、図2と照らし合わせていけば正答にたどりつけ、難しくはない。問6は、易しい教科書レベルの知識問題である。

【第4問】生態と環境(個体群、種間関係)

Aは個体群に関する1問1答式の知識問題であり、Bは個体群の間接効果に関する実験考察問題である。全体に易しめである。問1~問4は、教科書レベルの知識があれば解ける。問5は実験の内容だけを見ると解釈が難しいが、正答にたどりつけるように誘導されているので、見かけほど難しくはないだろう。

【第5問】生物の進化と系統(進化のしくみ、集団遺伝、遺伝子突然変異、植物の系統)

Aは進化の知識問題、集団遺伝の計算問題、遺伝子突然変異に関するデータ考察問題、Bは、植物の系統に関する知識問題である。教科書のすみずみまで覚えておかないと失点する内容で、比較的得点差がついたと思われる。問1は突然変異の大部分は中立であることを知っていないと失点するだろう。問2は、簡単な計算問題である。問3は、非同義置換が起こるほど、生存必須のタンパク質ではないことが理解できないと正答できず、大きく得点差がついたと思われる。問4は易しめの知識問題である。問5はクックソニアと地質時代に関する知識がないと得点できず、難しい知識問題である。問6は易しめのデータ考察問題である。

【第6問】生命現象と物質、環境応答(タンパク質、スプライシング、光受容体)

タンパク質の細胞内の分布や、スプライシング、光受容体に関する実験考察問題で、全体に難しめである。問1は実験の内容さえ理解できれば難しくはないが、文章がやや難しめで時間がかかるだろう。問2は、終止コドンより手前のアミノ酸数に気づくかどうかで正答を導くことができる。問3は、文章の内容を整理して、解釈するのに時間がかかり、失点した受験生が多かったであろう。

【第7問】生物の進化(進化と大気の変遷、地質時代、動物の系統、光合成色素)

進化と系統に関する総合問題である。全体的に知識問題に偏っており、教科書レベルの知識がしっかりしていないと失点する。問1は教科書レベルの知識問題であり、易しめである。問2は、動物の系統樹をしっかり覚えきっていないと失点するだろう。問3は、緑藻、紅藻、褐藻の光合成知識と、図1を照らし合わせていけば難なく解ける。

2019年度

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全体概観

実験考察問題が増加したが、知識問題は解答しやすかったため、難易度は昨年並み。

難易度:昨年並み

昨年と同様に、大問数は6題であり、第6問と第7問が選択問題である。設問数は第6問、第7問どちらを選択しても26問であり、昨年の29問よりも減少した。マーク数は第6問、第7問どちらを選択しても32で、昨年(34)よりも減少した。知識問題は、生物の教科書の内容を押さえておけば解け、易しめであった。しかし、実験考察問題の分量が多く、図・表などデータの量が増え、処理に時間がかかるため、全体として昨年並みの難易度であった。

設問別分析

【第1問】生命現象と物質(光合成、生体膜と物質輸送)

Aは光合成に関する歴史的な実験に関する知識問題、Bは生体膜に関する知識問題とデータ考察問題である。全体に易しめである。問1は知識がなくても解けるが、教科書の知識とリンクできるかで大きく得点差がつくだろう。問2~問4は易しめの知識問題である。問5は食塩水の濃度と赤血球の体積が反比例することを理解していれば難しくはない。

【第2問】生殖と発生(X染色体不活性化、気孔密度の制御と遺伝子)

Aは三毛ネコの雌のX染色体不活性化に関する遺伝の計算問題およびデータ考察問題、Bは被子植物の気孔密度と遺伝子に関する実験考察問題である。全体的に問題自体はそれほど難しくはないが、大半が考察問題であり、文章の読解やデータの処理に時間がかかり、得点差がつくだろう。問1は伴性遺伝の遺伝計算問題の練習をしていれば問題なく解けるだろう。問2は完全に初期の状態のままネコが発生すると思い込む可能性があり、失点した受験生も多いだろう。問3・問4は、実験1・実験2の内容はシンプルであり、易しめである。ただし問4は、対照実験の考え方がないとミスをおかしやすい。

【第3問】生物の環境応答(眼と視覚のしくみ、植物の根の窒素分への応答)

Aは眼や視覚のしくみに関する知識問題とデータ考察問題でBは植物の根の硝酸イオンに対する応答と関連する遺伝子に関する実験考察問題である。Bは難しく、大きく得点差がついたであろう。問1・問2は錐体細胞と桿体細胞の性質を知っていれば容易に解ける。問3は網膜に映る像が倒立映像であることを失念すると解けないだろう。問4は文章の内容、図6と図8の解釈に相当時間がかかり、得点率は相当低いことが予想される。

【第4問】生態と環境(個体群、種間関係)

Aはジャコウウシに関するデータ考察問題であり、Bはイネ科植物に関する実験考察問題である。Bが難しく、得点差がついたであろう。問1は1988~1990年が指数関数的な増殖期にあることから容易に判断できる。問2は、選択肢の文章が平易であり、前文の内容とデータを見比べればそれほど難しくはないだろう。問3は実験の内容がわかりにくく、図3~図6の結果と選択肢を見比べて判断するのに時間がかかる。

【第5問】生物の進化と系統(生物の分類、地質時代と生物の変遷)

Aは、生物の分類に関する知識問題、Bは、地質時代と生物の変遷に関する知識問題である。全体としては易しめであるが、教科書のすみずみまで覚えておかないと失点するだろう。問1は分類階級を覚えていれば容易に解答できる。問2は、3ドメイン説の知識、およびミトコンドリアと葉緑体の祖先が細菌ドメイン由来であることを知っていないと解けず、やや難しめである。問3は、問2が正答しないと間違える構成になっており、得点差がつくだろう。問3の知識問題は選択肢がわかりやすく、易しめである。問4~問6は易しめではあるが、幅広い知識が要求される。

【第6問】DNAの複製と遺伝情報の転写・発現(DNAの複製、転写・翻訳の方向性)

生物基礎のDNAの複製、転写・翻訳と生物(4単位)のヌクレオチド鎖の方向性を合わせた総合問題である。全体にやや難しめである。問1は半保存的複製を理解していれば容易な知識問題である。問2は、○a鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは右から左へと読み、○b鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは左から右へと読むことに気づくかどうかで得点差がつくだろう。問3は、文章の意味を正しく捉えることができれば正解できる。

【第7問】生物の種間関係(食物網、種間関係、自然選択)

生物基礎の食物網、生物(4単位)の種間関係および自然選択に関する総合問題である。実験考察問題が主体であるが、見た目ほど難しくはない。問1は前文と実験1をしっかり読めば容易に正解できる。問2は、表1と表2の結果がわかりやすいので、時間さえあれば正解できるだろう。問3は易しめの知識問題である。

2018年度

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全体概観

難しめの実験考察問題が増加し、文章選択問題も増加したため、昨年よりやや難化した。

難易度:やや難化

昨年と同様に、大問数は6題であり、第6問と第7問が選択問題である。設問数は第6問、第7問どちらを選択しても29問であり、昨年の29〜30問と同程度であった。マーク数は第6問、第7問どちらを選択しても34で、昨年(34〜35)と同程度であった。知識問題は、生物の教科書の内容を押さえておけば解けるが、文章選択の問題がやや難しめであった。また、実験考察問題の分量が多く、時間が十分ではないため、全体として昨年よりもやや難化した。

設問別分析

【第1問】生命現象と物質(タンパク質・酵素、スプラシング)

Aはタンパク質の構造や酵素の性質に関する基本的な知識問題、Bはスプライシングに関する知識問題と実験考察問題である。全体としてやや難しめである。問1~問4は基本的な知識問題であるが、すべて文章選択問題であり、やや細かい知識が必要なこともあって時間がかかるだろう。問5の計算は問題集などで慣れていないと難しく、得点差がついたであろう。問6は見かけほど難しくはない。

【第2問】生殖と発生(外胚葉領域と遺伝子、花粉管の誘導と伸長)

Aは両生類の原基分布図に関する知識問題と外胚葉の領域の広がりにかかわる遺伝子に関する実験考察問題、Bは被子植物の重複受精に関する知識問題と、花粉管伸長の誘導と花柱のはたらきに関する実験考察問題である。知識問題、実験考察問題は標準的である。問1は原基分布図の知識があれば解ける。問2の実験考察問題は、実験結果を整理し、選択肢を照らし合わせ、明らかに矛盾する選択肢を除いていく作業に時間がかかり、得点差がついたであろう。問3は、実験結果が明確であり、解釈は難しくはないだろう。問4の重複受精の知識は典型的なものである。

【第3問】生物の環境応答(筋収縮、植物の病害抵抗性反応)

Aは筋収縮に関する知識問題と実験考察問題、Bは植物の病害抵抗性反応と遺伝子に関する知識問題と実験考察問題である。全体に標準的である。問1・3は基本的な知識問題である。問2は単収縮と強縮の収縮度合いが違うことがわかるかどうかが鍵である。問4は標準的な知識問題である。問5は標準的な実験考察問題であるが、遺伝子Xと遺伝子Yの関係を考えて遺伝子XとYの二重変異体を考えねばならず、時間がかかる。

【第4問】生態と環境(生態系の物質収支、種間関係)

Aは窒素代謝に関する知識問題と生態系の物質収支に関するデータ考察問題であり、Bは種間関係に関する実験考察問題と生態系に関する知識問題である。全体的に標準的な問題である。問1は標準的な知識問題である。問2・問3は総生産量や純生産量など物質収支の計算式を知っていないと解けず、得点差がついたであろう。問4は、文章の内容を理解するのに時間がかかり、ミスを誘発しやすい。また、カッコウの托卵は基本的には寄生であることがピンとこず、戸惑った受験生もいたであろう。問5は攪乱や生物多様性について理解していないと2つ正答するのは難しい。

【第5問】生物の進化と系統(集団遺伝、分子系統樹、適応進化、生物の進化)

Aは集団遺伝と分子系統樹に関するデータ考察問題と計算問題、Bは植物の適応進化に関するデータ考察問題と生物の進化に関する知識問題である。全体としては易しめであるが、分子系統樹の計算問題で得点差がついたであろう。問1は遺伝子頻度を計算しなくてよく、易しめの考察問題である。問2の計算は、計算方法を知っているかどうかで大きく得点差がついたであろう。問3の知識問題は選択肢がわかりやすく、易しめである。問4は実験結果を理解するのに時間がかかるが、それほど難しくはない。問5・6は易しい知識問題である。

【第6問】遺伝子組換え実験(制限酵素、プラスミド、選択培地)

遺伝子組換え実験と選別に関する実験考察問題である。問題文が長く、理解するのに時間がかかる。問1は標準的な知識問題である。問2・3は、国公立二次や私大の入試で典型的であり、一度解いていれば解けるが、初見だと、文章の内容を整理するのに時間がかかり、得点差がついたであろう。

【第7問】生物の進化と生態(学名、個体群、配偶者選択)

学名、個体群、生態と進化に関する複合問題である。問1・2は標準的な知識問題であり、易しめである。問3は問題文が長く、実験1~3の解釈に時間がかかり、得点差がつくであろう。

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