センター試験速報 数学Ⅱ・数学B

2020年度

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全体概観

第1問は2015年度以降三角関数と指数関数・対数関数の問題の組合せが続いている。第4問のベクトルでは、2年連続で空間ベクトルから出題された。

難易度:やや難化

必答問題が2題と、選択問題3題から2題の選択、合計4題となっている。第1問は[1]が三角関数の不等式の解がテーマの問題、[2]が指数関数・対数関数からの出題で、指数の計算、及び対数の連立不等式が出題された。第2問は2つの放物線の共通接線と、囲まれた図形の面積に関する微分・積分の問題である。第3問は数列の問題で、隣接二項間の漸化式を誘導に従って解いていく問題であり、最後は項の和を3で割った余りを考える。第4問は昨年に続き空間ベクトルの問題で、基本的な計算が中心である。第5問は例年と同様、正規分布表が与えられた確率分布の問題であった。
第2問、第3問、第4問の計算量がやや多く、昨年と比べるとやや難化した。

設問別分析

【第1問】三角関数、指数・対数関数
[1](三角関数)

(1)は三角比の不等式を解き進める問題である。誘導は丁寧で、流れに沿って計算すれば難しくはない。基本的な内容である。(2)は方程式の2解をsinθ、cosθとする問題で、解と係数の関係、三角比の相互関係を用いて計算を進める典型的な問題である。こちらも基本的な内容である。

[2](指数関数・対数関数)

(1)は指数の基本的な計算、式の対称性を利用した計算である。典型的な出題である。(2)は対数不等式を多項式に置き換えて解く問題である。置き換えまでは基本的だが、整数解の決定という後半の設問で戸惑う受験生は少なくないだろう。

【第2問】微分法・積分法

2つの放物線の共通接線、およびそれらが囲む図形の面積に関する問題。よく出題される設定ではあるものの、曲線同士の位置関係などが読み取りにくく、また、計算もやや煩雑である。計算の工夫を行わないと、最後まで解き進めることは難しいだろう。

【第3問】数列(選択問題)

複雑な漸化式を、誘導に従い変形を進めて一般項を求める問題である。文字同士の対応関係、階差数列の理解、和の計算の工夫、など一通りの内容を理解していることが求められる。また、置き換えがやや複雑であり、正確に計算を進める力が求められる。

【第4問】ベクトル(選択問題)

(1)(2)は成分によるベクトルの大きさ、内積の計算である。(3)は四角形の形状を問う問題であるが、2線分が垂直であること、対辺の長さの比から判断できる。(4)では四面体の体積を問われている。(3)までで求めた事柄を利用して、必要な長さを求めれば解決できる。総じて、方針は立てやすいものの計算量が多い。ミスに注意しながら着実に解き進めたい。成分計算で進めるか、ベクトルのままで大きさと内積から計算を進めるか、要所で適切な判断が求められる。

【第5問】確率分布と統計的な推測(選択問題)

ある市の市立図書館の利用状況に関する調査の問題である。ある1週間で借りた本の冊数や利用者数、利用時間についての基本的、標準的な計算が中心である。最後に信頼度95%の信頼区間を求める問題が出題された。

2019年度

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全体概観

第1問は、昨年に続き、三角関数と指数・対数関数の問題の組合せ。第4問は、3年ぶりに空間ベクトルからの出題だった。

難易度:昨年並み

必答問題が2題と選択問題3題中から2題の選択、合計4題となっている。第1問は〔1〕が三角関数の問題、〔2〕が対数関数を含む不等式の問題である。第2問は、昨年が2つの問題に分かれた出題であったが、従来どおりの一大問に戻った。第3問は、等比数列、階差数列の問題である。初めから階差数列を絡めた問題になっており、前半から戸惑った受験生も多かったと思われる。第4問は3年ぶりの空間ベクトルからの出題で、四角錐の体積などを計算する問題。誘導も丁寧で計算量もそれほど多くない。第5問は例年通り、正規分布表を利用した統計の計算問題であり、様々な量を計算する。第3問の難易度がやや高いが、全体の分量、難易度などは昨年と同程度である。

設問別分析

【第1問】三角関数、指数・対数関数
[1](三角関数)

三角関数の最大・最小、および方程式の解を求める問題。2倍角の公式、三角関数の合成により式を書き換える必要がある。標準的な出題である。

[2](指数関数・対数関数)

連立方程式の解を求める問題。真数の条件、および底の変換、置き換えを必要とするが、誘導に従って計算すれば難しくない。

【第2問】微分法・積分法

文字の定数を含む3次関数・2次関数のグラフに関する問題である。極値から係数を決定し、接線と曲線の囲む部分を問う内容で、よく出題されるテーマである。ただし、文字のままで計算する部分が多く、やや煩雑である。

【第3問】数列(選択問題)

等比数列、階差数列の問題であり、前半は和の計算問題。後半は、数列の一般項を求めるために別の数列を考えることで単純な漸化式を解く問題に帰着される。しかし、与えられた漸化式をどのように整理するかがポイントになっており、誘導に上手く乗りにくい問題であろう。

【第4問】ベクトル(選択問題)

四角錐・三角錐を扱った空間ベクトルの問題である。底面が等脚台形であり、前半はその平面の扱いが中心である。後半は四角錐を平面で切ったときにできる三角錐の体積を求める問題であり、垂線を下ろしてその長さを計算するという頻出の内容になっている。

【第5問】確率分布と統計的な推測(選択問題)

ある食品を摂取したときの血液中にある物質の量の変化をとらえる問題であり、前半は基本計算のみである。後半は正規分布、二項分布を利用した計算がメインであり、センター試験では頻出の内容である。

2018年度

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全体概観

第1問は、昨年に続き、三角関数と指数・対数関数の問題の組合せ。全ての大問で、答えを選択肢から選ぶ問題が出題された。

難易度:昨年並み

必答問題が2題と選択問題3題中から2題の選択、合計4題となっている。第1問は〔1〕が三角関数の問題、〔2〕が対数関数を含む不等式の問題である。第2問は従来、微分法と積分法の一大問であったが、今年は中問2つになり〔1〕が放物線と直線で囲まれた図形の面積がテーマの問題。〔2〕は曲線と直線で囲まれた図形の面積から、元の曲線の方程式を求める問題。第3問は、前半が等差数列、等比数列の初項、公差、和を求める問題、後半が新たに定義された数列の一般項を、誘導に従って求める問題。第4問は昨年に引き続き平面ベクトルの問題で、分点の位置ベクトルや、ベクトルの大きさが等しいときの内積を求めたりする問題である。第5問は例年通り、単純な試行における確率変数の平均、分散の計算、二項分布の正規分布による近似、および信頼区間の幅の大小比較に関する確率分布の問題が出題された。

設問別分析

【第1問】三角関数、指数・対数関数
[1](三角関数)

初めに弧度法の定義、および弧度法と度数法の対応に関する問いがあった。その後は三角関数を含む方程式を、加法定理や合成を用いて解かせる問題であった。変形の仕方が誘導されているので、それに従って進めていけば取り組みやすい。

[2](指数・対数関数)

対数関数を含む不等式の問題。対数関数を置き換えることにより、tの2次不等式や、2次式の平方完成を考えることになる。

【第2問】微分法・積分法
[1](微分法・積分法)

放物線と直線によって囲まれた部分と、直線によって囲まれた部分の面積を文字で表し、その差の増減を調べる問題。面積Sを問題文で与えられた形のまま進めると、高次方程式を扱うことになり、計算がやや煩雑になる。

[2](微分法・積分法)

曲線と直線で囲まれた部分の面積をtの関数として表し、それをもとに曲線の方程式を求める問題。基本的には原始関数からそれを微分してできる関数を求める容易な問題だが、設定が珍しいので、面食らった人も多かっただろう。

【第3問】数列 (選択問題)

等差数列、等比数列の問題であり、前半は初項や公差、公比、和の計算などの基本問題。後半はその結果を利用して、和の計算を行うように誘導されている。見た目は複雑な和の計算に見えるが、Σの式を展開し、具体的に書き出してみれば難しい計算ではない。

【第4問】ベクトル (選択問題)

三角形の分点がテーマの平面ベクトルの問題である。ベクトルの始点が三角形の内部の点であることに注意して計算していくことになる。難しい内容ではないが、文字が多く、結果が分数式になることもあり、丁寧に解き進めていく必要がある。

【第5問】確率分布と統計的な推測 (選択問題)

カードを取り出すことで起こる事象に関して、その回数の平均や分散の計算などを行う。また、二項分布を正規分布で近似する問題もある。最後には、ある信頼区間の幅に関して、標本の大きさなどを変化させることでの大小関係を調べる問題が出題された。

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