あなたとともに未来を紡ぐ、次の100年
創立記念日である2024年10月23日(水)、全生徒が参加し、文京シビックホール(文京区)で創立100周年記念式典が開かれました。同じ日に帝国ホテルで行われた懇親会には多くの卒業生が集いました。式典や懇親会の様子に加えて、創立当時のことについてお話をお聞きしました。
100周年を迎えた喜びの言葉をお聞かせください。
島田先生 100周年を迎えるにあたって、私たちは在籍中の生徒と卒業生、そして保護者の方々、関係している全員に喜んでもらえるような記念式典・懇親会にしたいと願っていました。式典は1,800人、懇親会が1,000人という極めて大きい規模で実施できたのは喜ばしいかぎりです。中高生も心から喜んで歓声を上げてくれたり拍手してくれたりしていたのが印象に残っています。
卒業生の皆さんからはどのような応援がございましたか。
島田先生 幼稚園・中学校・高校・大学・大学院まである総合学院なので、数多くの卒業生がいらっしゃいます。懇親会の参加者1,000人中、約350人が卒業生だったそうです。皆さんからはエネルギーをいただいただけでなく、嬉しそうな顔して集まってくれたのが嬉しかったですね。そこには女子校という特性があるからなのかな、ということを感じていました。
キャッチフレーズの「あなたと共に未来を紡ぐ」に込められた意味を教えていただけますか。
島田先生
55周年を迎えた時、私は高校生でしたが、戦前に通われていた卒業生が創立者の島田依史子先生を何重にも取りまいて、手を握ったまま離さないでいる様子を目の当たりにして、とても感銘を受けました。それから、45年が過ぎて、今年100周年を迎えることができました。懇親会には、3月に卒業したばかりの19歳の卒業生から80代の卒業生まで幅広く集まりました。本学が紡いできた人と人の絆は、世代が変わっても引き継がれていくものです。そうした思いを込めて掲げたキャッチフレーズですが、懇親会でそのことを実感しました。
創立55周年の時には、はるかかなたのゴールのように思えていた100周年の節目ですが、ゴールではなく、さらにその先にある未来を目指す中継ポイントだと思っています。
創立者のお話をもっと聞かせていただけますか。
島田先生
依史子先生は関東大震災の翌年、手に職も、経済力もない故の不幸があまりにも多かった女性に、手に職をつけてあげたいと、本学の前身である「島田裁縫伝習所」を始めました。3年後には、百貨店や銀行、あるいは商社に勤めたいという生徒の願いを叶えるために、早い段階で商業教育も導入しています。
戦後は、臨床検査技師の専門学校である「文京女学院医学技術者養成選科」や、東京オリンピックの年には「文京女子短期大学」も開学しています。依史子先生が逝去した後も、男女雇用機会均等法が成立したタイミングに合わせて、日本初の女子大学経営学部を開学しています。女性が社会で道を切り拓くことを何よりも願い、支援を惜しまない本学の姿勢は、依史子先生が自ら実践してきたことです。
こちらの資料は昭和16年の入学願書ですか。
島田先生
記念行事に向けて整理した際、大切に保管されていた本学院の公文書に改めて着目しました。大変貴重なものです。戦時中の苦しい時代に関わらず、学ぼうと集まってきた女性たちの人生が読み取れます。
100周年の1週間前、この願書の中に約90年も綴じられていた短冊が見つかりました。そこには、依史子先生による筆書きで「更なる覚悟を持って」の文字がありました。
それを目にした瞬間、100年の次なる先に向けて「更なる覚悟」で臨みなさいと言われたように思いました。「覚悟」という言葉は、人それぞれで受け止め方が異なるかもしれません。しかし、絶対実現させたいという強い気持ちや信念を表しているのは、揺るぎない事実ではないでしょうか。本学に関わるみなさんにも、この言葉を贈りたいと思います。
新時代にふさわしい学び方がスタート
系列大学にはコミュニケーションとデータサイエンスを駆使し、共生社会を実現に向けて学ぶヒューマン・データサイエンス学部が新設されます。その先進性が中高大連携教育として影響することで、文京学院の可能性が大きく花開こうとしています。
文京学院大学にヒューマン・データサイエンス学部が新設されますね。なぜこの分野に着目されたのですか。
島田先生
本学は「誠実・勤勉・仁愛」の校訓に基づき、他者をケアする資格職を目指す学部学科が多く設置されています。保育や介護、看護といった領域は労働集約型の仕事として知られるようになり、ボランティアや奉仕の精神に依存する段階を脱却すべく、新技術を利用して高度化する必要があると考えています。そのための手段がヒューマン・データサイエンス、すなわちコミュニケーションとデータ利用研究の融合であり、人的リソースの比重が大きい領域にこそAIやロボットといったテクノロジーを導入し、状況の改善を実行できる人材を育てます。
大学で培ってきたノウハウを学部横断的に学べることは大きなメリットです。既存の多様な学部における基幹学部として位置付け、グローバルビジネス・医療領域・福祉などをデータサイエンスでうまく繋げるというイメージをもっています。
中高でもAIを活用されているとお聞きしました。
島田先生
オンラインのAIツールを用いて英検2次試験のスピーキング練習が始まっています。1クラス約30名の生徒一人ひとりがネイティブ教員と同時に会話することはできませんが、テクノロジーを駆使すれば新しい学び方を実践できます。こうしたツールは単純な繰り返し練習の域を超えて、リアルな会話と同じようなバリエーションで学べるんですよ。
来年からは、高校の国際教養コースのカリキュラムに情報IIを取り入れます。理数キャリアコースでは、情報分野の研究が増えていることもあり、より身近で、活用しやすいツールになっていくと思います。段階的に中学校のカリキュラムにも取り入れていくことを検討しています。
本当にすごい時代になりましたね。
島田先生 職業を含めて価値観が猛スピードで変遷しているので、あれこれするためには何を勉強しなければいけない、といった情報を私たちが率先して提供するくらいの心づもりがないと時代に取り残されます。生徒自身も、言われたから勉強するのではなく、夢を実現させるために必要な手順を組み立てるくらいの姿勢が求められるようになるでしょう。
次世代を担う若者へのメッセージをお願いいたします。
島田先生
依史子先生は17歳で中等教員採用試験を受けて教員への道を目指すことになりました。意外なようですが、依史子先生はとても気が弱い一面があって、試験本番にそうしたことが表に出てこないように克服する努力をされたそうです。
10代の皆さんに知ってもらいたいのは、欠点があることは悪いことではない、という考え方です。その欠点を自覚したうえで、どのように行動すれば克服できるかを学ぶことが本学の理念であり根本でもあります。
あなたの個性を曇らせることなく、社会で活躍できるスキルと知識を身につけたいのであれば、ぜひ本学の門戸を叩いてください。私たちと一緒に未来へと歩んでいきましょう。
編集後記
教育を受けることが当たり前ではなかった時代、日本の女性史に名を残す教育活動を続けてきた文京学院。ここに通う女性が、男性の介助ではなく独立した職業の領域を創り上げてきたことは、歴史の中でも特筆に値するものです。社会で活躍する卒業生を多数送り出してきた文京学院での学びについて、もっと知っていただきたいと思います。
イベント情報
日時 | イベント |
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2024年12月22日(日) 8:40~12:00 |
学校説明会・教科型入試体験
入試本番と同じような時間帯で入試を体験できます。 ご希望の方には説明会後に校舎見学、個別相談を承ります。 |
2024年12月23日(月) 9:00~16:00 | あなただけの説明会 受験生1組に教員または生徒1名が担当します。 学校の紹介、校舎の案内を承ります。 |
2024年12月24日(火) 9:00~16:00 |
あなただけの説明会
受験生1組に教員または生徒1名が担当します。 学校の紹介、校舎の案内を承ります。 |
2024年12月25日(水) 9:00~16:00 |
あなただけの説明会
受験生1組に教員または生徒1名が担当します。 学校の紹介、校舎の案内を承ります。 |
2024年12月26日(木) 9:00~16:00 |
あなただけの説明会
受験生1組に教員または生徒1名が担当します。 学校の紹介、校舎の案内を承ります。 |
2025年1月12日(日) 10:00~12:00 |
学校説明会
本校の教育方針、学校生活全般についてご説明します。 ご希望の方には説明会後に個別相談、校舎見学も承ります。 |